0010立法目的、立法事実

 

 

164国会 衆特別委 第3回(524日)

○小坂国務大臣 教育基本法を変えれば教育は自動的に変わっていく、そのようなことを申した覚えもございませんし、委員もそのようには考えていらっしゃらない、だからこそ野党の皆さんも提案をされた、こういうことだと思います。
 この教育基本法を変えるとともに、関連の教育の改革のための推進基本計画も策定をするわけでございますし、また、学校教育を初めとしたそれぞれの関連法律についても、順次、この教育基本法の精神に従って改正の必要な部分については改正を行っていく、そういう必要があるところでございます。

 

 

164国会 衆特別委 第4回(526日)

○小坂国務大臣

 今日、この改正に至ったその考え方の中で、現行法が起因するというふうに現行法のせいにするわけにはいかぬと思うんですね。それには、多くの社会的な変化、戦後の日本の発展、そして、さらなる発展を求めて経済活動を展開する中での世界の変化、グローバリゼージョンと言われるような世界全体の変化というもの、こういうものが大きく影響していることはあるわけでございますが、我が国の教育は、第二次大戦後に、機会均等の理念を実現し、そして、国民の教育水準を高めてその時々の時代の要請に対応してきた、また、人材の育成を通じて我が国の社会発展の原動力となってきた、そして今日、世界からも高く評価をされる日本というものを実現したということにおいて、大きな役割を担ってきたと思っております。
 しかし、戦後六十年が経過をして、科学技術も進歩いたしまして、少子高齢化など社会情勢も大きく変化する中で、昨今の教育の現場を見ますと、例えば、平成十五年三月の中央教育審議会答申において指摘された内容にありますように、一つ目は、青少年が夢や目標を持ちにくい状況の中での規範意識や道徳心、自律心の低下が見られる、このように指摘をし、さらに、いじめ、不登校、中途退学、学級崩壊などの深刻な問題や青少年の凶悪犯罪の増加、こういったものも挙げて、また、家庭や地域社会の教育力の低下ということも指摘をし、学ぶ意欲の低下などさまざまな課題が生じているとしているわけでございます。また、昨今、子供の虐待や、学校や通学路における事件が生じていることも大きな問題でございます。
 これらの課題に対応するためには、教育現場が直面する諸課題に対して迅速かつ的確に具体的な施策を講じていく必要がある。一方で、教育の根本にさかのぼった改革が求められているという認識を持ちました。
 このために、新しい時代の教育理念を明確にすることで国民全体の共通理解を図りつつ教育改革を着実に進めて、そして我が国の未来を切り開く教育の実現を図るために、この改正案を提案するに至ったわけでございます。

 

○小坂国務大臣 …学力低下の問題があって、十五年の三月の中央教育審議会の答申では、青少年が夢や目標を持ちにくい状況の中で、規範意識や道徳心、自律心の低下が見られる、また、いじめ、不登校、中途退学、青少年の凶悪犯罪などの深刻な問題が発生している、家庭や地域社会の教育力が低下をしている、さらには、学ぶ意欲が不十分だ、こういった現象が指摘をされておりまして、これらの指摘に加えまして、今日、我々が毎日テレビを見るについて、なぜこのようなことが、なぜ子供を親が殺すことになり、あるいは子供が他の子供を、いじめではなくて殺すところまでいってしまうようなことが毎日報道されなければいけないのか、一体日本の教育はどうなったのかという国民の皆さんの声そのものが、やはり今日の大きな問題として国民の間に認識をされている。
 そのことが、私どもにとって、今教育改革を進めるに当たって、その基本理念をしっかりと定め、教育基本法の改正によって国民の理解を得ながら改革を進めることが必要だ、このような認識に至ったわけでございます。

 

 

164国会 衆特別委 第3回(524日)

○町村委員…言うまでもなく、この法律は、終戦後間もなく、昭和二十二年につくられた法律で、憲法と同じ、一度も改正をされていない法律でございます。しかし、この間、日本の経済社会は大きく変化をいたしました。貧しい中から豊かな社会になり、民主主義は定着をし、そして教育水準も相当向上し普及してきたというすばらしい成果が上がった反面に、物の豊かさと反比例した形の心の貧しさ、倫理、道徳の退廃等々さまざまな変化、それが学校内にも及び、校内暴力とか青少年の凶悪な犯罪とか、あるいは個人の権利、自由というものを大変尊重してきた、それはそれでいいんですが、その反面に、必要な義務とか権利、あるいは公、パブリックですね、これを軽視してくるというような傾向も非常に顕著になりました。
 こうしたことを、やはり基本法のせいに全部するつもりはありません。また基本法を変えたからといって、こうした問題が全部解決するものでもございません。しかし、一つの切り口として、一つの方法として、やはり教育の基本にさかのぼってこうした問題に取り組む。いや、対症療法をどんどんやればいいんだ、当面する問題だけ一生懸命解決すればそれでいいんだという意見もあるかもしれないけれども、やはり戦後六十年余を経て、この際、もう一度根本に立ち返って、この基本法を改正するということが私どもは必要なんだろう、こう考えております。

○池坊委員 …教育をめぐる今日の諸問題が現行法に起因しているとは私も考えてはおりません。先ほども申し上げたように、現行法の理念は高く評価いたしておりますし、これは今回の改正でも変わらなく、そのまま残されております。むしろ、生命の尊厳や自然との共生が入るなど、さらにすばらしいものに私は発展させているのではないかと思います。
 二十一世紀に生きる私たち並びに未来を生きる子供たちのことを考えたときに、足りない点、追加すべき点が多々ある。これはだれしも認めるところだと思います。確かに、それだけで教育現場がよくなるというわけではございません。(発言する者あり)ちょっと、やじをお飛ばしになる方、おやめいただけたらと思います。

 

 

164国会 衆特別委 第4回(526日)

○大前委員 …こういった知徳体のすべてに見られる深刻な教育力の低下、こういうことが果たして今回の基本法改正によって是正され得るのか、改善され得るのかということ、そこが一番大事なところだと思うんですよね。そういうことについての大臣の思いといいますか、意気込みをお聞きしたいと思います。

○馳副大臣 改正教育基本法第二条第一項、先生御指摘いただいたとおり、知徳体について、教育の目標を明確に規定しているところでありますし、第十七条において、国は振興基本計画をつくらなければいけないですし、国会に報告をし、これも公表しなければならない。また同時に、地方公共団体が、その振興基本計画に応じて適切な振興策をつくっていかなければならない。
 当然、家庭教育も学校教育も社会教育も含めて、国として振興基本計画をつくり推進していきましょう、こういう姿勢を持つことになりますから、改善に向けての貴重な第一歩というふうに今回の法案を位置づけております。