0070科学技術の高度化

 

 

164国会 衆特別委 第12回(68日)

○小杉委員 …そこで、現在、小中高における理数科教育について、小坂文科大臣に伺いたいと思います。
 たびたびここの国会でも取り上げられますが、小中高の国際科学オリンピック、これでは、もはや日本は、中国、韓国よりも低かったと聞いておりますし、最近、日本の子供たちは、理科、数学に興味や楽しさを覚えていないのではないかと気になっているところでございます。
 そこで、科学技術創造立国に向けて、小中高等学校の理科教育をどのように強化する方針でしょうか。そして、総合科学技術会議、ここでは理数教育の抜本的強化が話し合われたと聞いております。理数教育、特にその中でも教科書の充実というようなことにどう取り組んでおられるのか、お答えください。

○小坂国務大臣 今松田大臣から答弁させていただきましたように、世界に通用する科学技術系の人材を育成すること、これが二十一世紀の日本の発展に非常に大きな使命を担っている、こういうことでございますし、知価社会と言われる二十一世紀において、しっかりと科学技術を根づかせていくことが必要だと考えております。そういった意味で、今小杉委員が御指摘なさいましたように、小中高等学校における理数教育の充実を図ることが喫緊の課題だと思っております。
 現在のことからまず申し上げたいと思いますけれども、理数教育の教育内容につきましては、学習指導要領におきまして、児童生徒の知的好奇心や探求心を喚起し、思考力を育成する観点から、観察、実験などの体験的、問題解決的な学習を重視するとともに、理解が進んだ児童生徒については、選択教科や発展的な学習によって、より先へ、発展的に学ぶことができるようにしたところであります。
 文部科学省といたしましては、理数教育の振興のための施策である科学技術・理科大好きプランを実施しておりまして、理数教育については現在、中央教育審議会において、教育内容を充実することが必要との認識のもとに、学習指導要領の見直しについて具体的に検討を進めていただいております。あわせて、教科書についても検討をしていくことにいたしております。

 私は、基本的に理数というのは、理科が本当に大好き、おもしろいと思ってもらわないとリテラシーというのは向上しないんですね。ですから、まず小学校のときから、理科、科学というのはおもしろいものなんだなと、体験的にそれを学んでもらうこと、それが一番大切なことだと私は思っております。それが好奇心を発揚させ、そしてその好奇心でさらに先を学んでみたい、知りたい、そういう気持ちになって学びが進んでいく、こう考えております。
 そういう意味で、それを満足させるために、今の教科書だけではなくて、外国の教科書のように発展的な部分がもっとたくさん書いてあって、自分が進みたいときにはそこへ進めるように。日本の教科書は、自分で持ち帰って、独習できるようになっています。外国の教科書の場合には、教室に置いてあるような、非常に分厚い、百科事典のような厚さのものもあるわけですね。
 私は、心の教材のように副読的な教材というものを科学技術においてももっと充実すべきだと思っております。各教室に一冊はそれが置いてあって、そして、興味のある子はそれが見られるように、そしてそれが本当に必要ならば貸し出しができるような、そういう体制も整えて、いろいろなものが勉強できるようにすることがやはり理数教育には必要だと思っております。

 

164国会 衆特別委 第12回(68日)

○小杉委員 終始一貫、この科学技術分野の予算については、第一期十七兆円、第二期二十四兆円、第三期二十五兆円と、ほかの公共事業、ODAその他が大幅に削られていく中で、科学技術予算だけは例外的にふやし続けてきた。しかし、これだけ多額のお金をつぎ込んだのに一体どういう成果が上がったのかというのは、一般国民はやはり関心を持っているんですね。
 ですから、これは、成果というのはなかなかそう簡単には出ないので、長年月を要しますけれども、現状ではどのぐらいの成果が上がったのか、それは国民にやはり説明されるべきだと思うんですね。
 その点と、もう一つはこの予算、二十五兆円ですけれども、どうも今、歳出歳入一体改革、歳出見直しということで、かなり厳しい枠が来年度予算にはかかりそうであります。今の予測ですと、科学技術予算は一一%伸ばさないと今後の二十五兆円の予算は実現できない、こういう状況です。
 今年度、平成十八年度はわずか一・一%の伸びにとどまっております。こういう状況と、それから諸外国、特に最近はアメリカ、イギリスといった先進国、そして中国、韓国、ここ数年もう急速に科学技術予算をふやしてきております。今の現状で、この予算確保というのが非常に大変だと私は思うんですけれども、それについての決意なり見通しをお伺いしたいと思います。

○松田国務大臣 お答え申し上げます。
 委員がおっしゃるとおり、科学技術の成果を国民にわかりやすくする。
 現在、経済はおかげさまで立ち直りつつございます。非常に力強いものを感じておりますけれども、その背景には、やはり過去十年間、他の経費が削減されるにもかかわりませず、科学技術に関して一貫してちゃんと支出してきたということも大きいと思います。
 例えば、今、一、二申しますと、垂直磁気記録装置という新しいハードディスク技術ができまして、それが、これから恐らく五年ぐらいの間には何兆円オーダーのイノベーションを起こすだろうと。現に、生産が既に始まっておりますけれども、そういったことが幾つも起こっておりまして、そういったことがやはり今、日本の経済のこの底がたさ、底がたい回復過程を可能にしておると私は認識しておりますが、そういったことも含めて、もっともっと国民にしっかり説明していきたいと思っております。
 それから、今後の予算でありますけれども、おっしゃるように、諸外国も大変、今や知の大競争時代、科学技術競争時代でございます。
 御案内のように、例えば、アメリカの過去五年間の科学技術予算の伸び率は年平均一一%でございます。中国は、二〇〇三年までの過去四年間の平均伸び率は、二割弱の予算の伸びを示しておるわけでございます。その他もありますけれども、時間の関係もありますので、一、二、例示を申し上げました。
 どの国も、正直、科学技術に対しては国家の最高戦略の一つとして大変な力を今注いでおるところでございます。おかげさまで、皆さんの力で、我が国政府も第三期二十五兆円という目標を掲げることができました。おっしゃるとおり、一一%でありませんと、この目標を達成することができません。そういう意味で、私ども、一生懸命頑張っていきたいと思いますが、科学技術こそが国の支えだということで、ぜひ皆さんの力で実現させていただきたく思うわけであります。よろしくお願い申し上げます。