0595統治機構、政府の具体的施策への肯定的姿勢が愛国心に含まれるのか

 

 

164国会 衆特別委 第7回(61日)

○糸川委員 …文部科学大臣にお尋ねしたいんですけれども、我が国と郷土を愛する態度のこの規定につきましては若干私もまだ不安があるわけで、この我が国という文言の解釈についてお尋ねをしたいんです。
 一般に、国には、主権ですとか領土、国民、こういう三要素があるというふうにされておるわけでございます。私は、この規定の我が国には、この三要素のうちの主権は含んではいけないんではないかなというふうに思うわけでございます。
 そこで、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」、この対象には、主権、すなわち統治機構というものは含まない、こういう理解でよろしいのでしょうか。

 

○小坂国務大臣 ただいま委員も読んでいただきましたように、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた」ということで、歴史的に形成されてきた国民、国土、そして伝統、文化から成る歴史的また文化的な共同体としての我が国ということをあらわしているわけであります。今おっしゃったように、国ということは、すなわち、そこに国土、国民、統治機構というものが入るわけでございますが、ここで言う我が国というのは、そういった説明を付することによって、統治機構は含まないということを明確にしたわけでございます。

 

164国会 衆特別委 第6回(531日)

○保坂(展)委員 この点が、多分、三年かかった与党内の協議でも一番多くの時間を費やした部分かなと思うんですが、もう一度官房長官に伺いたいんです。
 こういった協議がどうだったかということについて、我々はぜひ資料を出してくださいと求めていますけれども、これはなかなか出てきていないんですが、説明によると、我が国という表現は統治機構を含まないんだ、これは何回も説明されています。統治機構を含む国、つまり、統治機構を愛するということは問題があるという政府の認識だと思いますが、どういう問題があるのか、お答えいただきたいと思います。

○安倍国務大臣 統治機構を含むということになれば、そもそも自民党も、統治機構を含むということにおいて国という言葉は使っていないわけでありますが、統治機構を含むということになれば、例えば今の与党政権、小泉内閣を含めて愛せよということでございまして、これは、例えば保坂議員にそれを求めても、そもそもそれはあり得ない話でございますが、つまり、私どもは、統治機構としての国ではなくて、日本という、この日本が織りなしてきた歴史、そして文化、伝統も含めた、そして、ある意味では私たちの抱いてきたいろいろな理想等々も含めて、こういう国のあり方を愛する心という意味で私たちは使っているわけであります。

 

164国会 衆特別委 第7回(61日)

○保坂(展)委員 少し例を挙げたいと思うんですが、五月十五日、沖縄が本土に復帰した記念の日、私は沖縄に行ってまいりました。そのときに、なかなか進まない普天間基地の周辺、そしていわゆる海上ヘリ基地という移設予定地でありまた今も焦点の辺野古の人たちと、特に七十代の昔からこの地に生きた方のお話を聞いてきたんですね。
 確かに、美しい海があり、そして豊かな自然の恵みで漁業は盛んですし、また大変豊かな生態系である。そこで、彼らが、海上ヘリ基地に反対をして、船やボートを出して、抗議というよりは説得活動といって、若い工事作業員に対して我々の心をわかってくれということを繰り返されていたんですね。彼らが、自然や郷土を守る人たちであることは疑いないと思うんですが、しかし、統治機構である国は、方針として海上基地をつくるということを急いでやろうとしましたから、郷土、自然を守るために声を上げている人たちと形の上では衝突をするといいましょうか、そういうことになりました。
 今回の教育基本法から見ると、こういう人たちの抱くふるさとを守る、美しい自然、郷土を守る心と法律に掲げられるいわば我が国を愛する態度、ここはどういうふうに関連をするんでしょうか。総理に伺います。

○小泉内閣総理大臣 これは、政治問題であって、地域の問題であって、愛国心とは別の問題だと私は思いますけれども……(保坂(展)委員「いや、愛郷心」と呼ぶ)
 愛郷心というのは、どなたにもあるし、それは、普天間の飛行場を返還していく地域の人は賛成でしょうし、地域だって、同じ沖縄県でも、賛成、反対いるんですから。日本国民だって、沖縄の基地負担軽減賛成、しかし自分のところは反対でしょう。ここが基地問題の難しさなんですよ。日本の安全を確保してくれ、賛成、日本独自で今の日本の安全は守れない、日米安保条約賛成、しかし自分のところは基地はだめだと。これを解決するのが政治の難しいところですよ。だから、それは愛国心とはまた別の問題だ。反対する人も賛成する人も愛国心はあると思いますよ。

 

164国会 衆特別委 第9回(65日)

○横光委員 …イラクに派遣して行くべきだという人は、日本の国のためにはその方がいいということが根底に、日本に愛国心がある発露だと思うんですね。それから、派遣すべきでないという人たちも、やはり派遣しないで別な形で貢献すべきだ、日本の国はそうあるべきだ、日本の国を思う余り反対する、これも愛国心だと思うんですよ。これは両方とも愛国心だという認識、思いでよろしいでしょうか、大臣。

○小坂国務大臣 例えば、それをどっちを愛国心と評価するかということを子供に聞いたとすれば、それは内心の問題だと思います。ただ、今委員が御質問したものをそのまま受け取りますと、それは外交的な評価あるいは政治的な評価として、そのような、国としてどの政策をとるかという選択の問題になってくると思っております。
 したがって、それぞれの政党とかあるいは国民の中でもそれぞれの御意見があるところだと思いますが、外交上そのようなことをすべきかどうか、あるいは、政党政治の中で政治上の判断としてそのような決断をすべきかどうか、こういうことになる、このように思いますので、国益という観点から評価することはあっても、内心上の愛国心の観点から評価することはないと思っております。