0820統合教育という理念との関係

 

 

164国会 衆特別委 第9回(65日)

○鳩山(邦)委員 打って変わって、最後に一つだけ、障害児の教育の話をいたします。
 今度の教育基本法に、これは第四条の二項でしょうか、「国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。」とあります。この解釈についてお尋ねをしたい。
 私は、インクルーシブ教育あるいは統合教育、インテグレーションと呼ばれるような、要するに、障害の有無にかかわらず、まず一緒に生活をする、教育を受けるということが必要であろうと思っております。ところが、実際には就学前の振り分けというのをやる、親や本人の希望ではなくて、あなたはこうだからと。私は、就学前の振り分けはやめて、原則全部一緒に、今では特別支援教育というのがあるんでしょうが、そちらの学校というのは、全部普通の学校に受け入れるという姿勢を見せて、その中で、いろいろな状況に応じて、親や本人の状況や希望を聞いて、特別支援教室あるいは特別支援諸学校へ移すという方向にしたいと思うんですね。それは、障害者基本法の方にはそういうようなことがはっきり書いてあるので、この教育基本法、若干ニュアンスが違い過ぎる。
 したがって、障害のある者が、障害の状況はあなたはこうである、だからこっちへ行け、あっちへ行けという押しつけにこの条文が使われたらたまらないと思いますので、原則は障害児も一緒に教育をする、どうしてもできない人は、いろいろな親の希望を聞いて別にあれするというふうに大臣も考えているということをおっしゃってください。

○小坂国務大臣 改正法の第四条第二項は、これまでの取り組みを踏まえまして、障害のある児童一人一人の多様なニーズに応じた教育上の支援について、小中学校の通常の学級での対応を含めまして、一層充実することを目指したものでございます。また、現在国会に提出しております学校教育法等の一部を改正する法律案におきましても、小中学校を含むすべての学校段階で特別支援教育を推進することを明確に規定するということになったわけでございます。
 その中で、そういった条件を踏まえた上で、共生社会の実現のための教育に課せられた役割には極めて大きいものがあると認識をいたしておりまして、特に児童生徒の就学先の決定については、保護者等の意見をこれまで以上に十分に聞くようにしていく方向で積極的に検討をしてまいる所存でございますし、また、障害のある子供とない子供の交流及び共同学習ということに一層の推進を図ってまいる所存でございますので、何とぞ御理解のほどお願いを申し上げます。

○鳩山(邦)委員 いや、実際には、普通の学級に行きたかったのに行けなかったというお子さん方と、私は何度も何度もお会いをしているんです。そうすると、今の小坂大臣のおっしゃったような形ではなくて、希望を言ってもだめという感じで就学前の振り分けをやる。だから、原則、就学前の振り分けはやらないという方がいいと思うんですが、猪口大臣、いかがでしょうか。

○猪口国務大臣 この政府提案で述べている四条二項のところは、文科大臣がお伝えしたように解釈されているものと思います。
 つまり、まず保護者の意見は徹底的に重視する、そして交流及び共同学習の方向性を、これは国連で議論されているインクルージョンの思想を取り入れ、そのように実質的な運営をしていくという考え方であると考えております。

○鳩山(邦)委員 では、今の言葉を信じて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

 

164国会 衆特別委 第6回(531日)

○保坂(展)委員 障害が入っていないからといって、ここも本当は含んでいるんだ、こういうお話だと思いますけれども、この第二項で、障害のある者が、その状態に応じて、十分な教育を受けられるように、教育上必要な支援を講じなければならないとあるのは、これは新設されているわけですよね、新たに今回の政府提案で。
 そうすると、統合教育、インクルージョンあるいはメーンストリーミングという、障害のある子供もない子供もできるだけともに学んで、ぎりぎりのところまでともに過ごしていく、こういう国際動向と逆行することにならないだろうか。新しくここで新設しているわけですから、少なくともそういう危惧を感じるわけですね。例えば、可能な限り障害のない者と統合された環境の中で十分な教育を受けられるようにするというようなことをきちっと加えていればそういう危惧はないわけですが、その点はいかがですか。

○小坂国務大臣 学校教育法と、いわゆるインクルージョン教育と言ったらいいんでしょうか、統合教育と言われている部分についての考え方でございますけれども、障害児の教育につきましては、統合教育を志向することが国際社会の中での大きな流れとなっていることは承知をいたしております。
 こうした国際的な動向を踏まえながら、各国においては、特別な学校における教育を含め多様な取り組みが行われ、就学する学校の決定に際しては、児童生徒の障害の状況を勘案しつつ、何らかの形で保護者の意見を把握し、学校の教育の場の決定に反映をさせるようにしているわけでございます。
 我が国におきましても、学校教育法等に定めるところによって、特別支援学校を含む多様な教育の場を設けつつ、就学する学校の決定に際しては、保護者や専門家の意見を聞きながら、総合的な観点から判断することとしているわけであります。児童生徒の障害の状況のいかんにかかわらず一律に通常の学級に就学させる、こういったことに関しては、現在の状況ではまだこれは困難であるということから、このような判断を加えて就学先を決定することとしておるわけでございますが、今回、この新たな規定を設けることによって、国や地方公共団体が必要な支援を的確、適切に講じられるようにしたところでございます。