0890民主案における国の最終責任の意義

 

 

164国会 衆特別委 第6回(531日)

下村委員 せっかくですので、民主党案についてもお聞きしたいと思いますが、同じところ、「その最終的な責任を有する。」というのは、具体的に法律でどんなふうに担保されるのか、またその意味するところはどういうことなのか、お聞きしたいと思います。

○武正議員 下村議員にお答えをいたします。
 日本国教育基本法案第七条三項、「国は、普通教育の機会を保障し、その最終的な責任を有する。」についての御質問でございます。
 この意味は、機会均等の保障と水準の確保をきちっと国が責任を持って行うということでございます。具体的には、前者は財政的支援、後者は学習指導要領などで基準を示すということで責任の所在を明らかにしたものでございます。


164国会 衆特別委 第9回(65日)

○鳩山(邦)委員 …第七条三、「国は、普通教育の機会を保障し、その最終的な責任を有する。」と。最終的な責任を有するのは普通教育と義務教育だけですか。

○笠議員 …この第七条の部分、今御指摘がございました、普通教育、義務教育に国の最終的な責任が限定されるのかというようなお話については、もちろん教育全般にわたって国の責務というのはあると思いますけれども、特に今回この法案に明確にさせていただきましたのは、普通教育の機会を保障し、そして、その水準を確保するということについては国が最終的な責任をきちんと有するということを明記させていただいております。

 

164国会 衆特別委 第4回(526日)

○山口(壯)委員 今の答弁でも、やはり、最終的責任というのはどこが背負うかということがはっきりしていない。そのままで今文部科学省が実際にはある意味で頑張っている、こういう図柄なわけですね。
 今度、民主党案。今回の民主党案の中で、いわゆる普通教育に関する責任の所在についてはどういうふうに規定されようとしていますか。

○森山委員長 提案者はどなたが答弁されますか。

○山口(壯)委員 では、もう一遍言いましょう。
 民主党に伺います。大串さん、頼みます。
 今、国の責任ということについて私は議論を始めたわけですけれども、今回、民主党の出された日本国教育基本法案の中で、普通教育に関して、国はどういう責任を負うというふうに規定されようとしていますか。

○藤村議員 私どもは、普通教育において、国が最終的に責任を持つという基本的な態度でございますが、その意味は、まず教育は基本的に、一番子供たちや学校、地域に近いコミュニティーのところで基本的な運営が行われるということが理想であります。その意味では、法律の中に、学校理事会を置く、こういうことを決めております。これは全く新しい考え方だと思います。
 さらに、小学校、中学校、義務教育段階においては、設置者は市町村ですよね、だから、市町村における長が地域における教育の責任を持つということを決めております。今までの教育委員会ではなしに、市町村の長、これがいわゆるレーマンコントロールになろうと思います。選挙があります。
 一方、国はというときに、国の責任は、一つは機会均等ということがあろうと思います。これはすなわち、背景はお金。私、先日の質問でも図を示して申し上げましたように、教育の、特に義務教育費が全体で十兆円ぐらいですが、その七五%は人件費であります。そのまさに人件費、この基本の予算の確保という部分で国がきちっと責任を持つということ。
 それからもう一つは、水準の維持ということがございます。これが学習指導要領であったり、検定制度も一つかもしれませんが、国のナショナルスタンダードを、これはやはり国が責任を持って決める。
 大きく地方分権という単純な言い方ではなしに、教育の場合、やはり基本的に学校が主体となって自主自律の運営をしていただくけれども、そのまさに環境をつくるのは最終的に国の責任、こういう書き方、理念でございます。

○山口(壯)委員 金は出すけれども口は出さない、こういう言い方にもなろうかと思います。

 

164国会 衆特別委 第4回(526日)

○山口(壯)委員 国が普通教育に関して最終的責任を負う、これが民主党案の内容です。しかし、このことは、今、小坂大臣が心配される、例えば内容に関してまでいろいろ国が言うということとは少々違う規定に民主党の案ではなっていると思うんです。
 そういう意味で、民主党案としてはどういうふうにその点を配慮して書かれているか、御答弁いただけますか。


○藤村議員 一般的な地方分権というイメージと、教育については私は相当新しいイメージを想定しないといけないと思うんですね。
 私どもの今回の法律の第十八条において、四項なんですが、「地方公共団体が設置する学校は、」公立の学校ですね、「保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家等が参画する学校理事会を設置し、主体的・自律的運営を行うものとする。」というものを法文に書き込みました。すなわち、コミュニティ・スクールもその一つではありますが、学校運営、特に子供に一番近い学校運営について、これら四者の自主的、自律的運営をうたっております。
 一方で、第七条で、我々の方は、普通教育及び義務教育というところにおいて、「国は、普通教育の機会を保障し、その最終的な責任を有する。」としておりますが、さらに続いて、「国は、普通教育に関し、地方公共団体の行う自主的かつ主体的な施策に配慮し、地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえつつ、その地域の特性に応じた施策を講ずるものとする。」
 ですから、政府案における国と地方の連携というのは当然のこととしてここに書き込んだ上に、でも、やはり最終的に国ですよということを、国が最終的な責任を有するというところであらわしたところでございます。


 

164国会 衆特別委 第6回(531日)

○土屋(正)委員 …ただ、一つだけ、ずっとそれぞれの法律を通して見て、政府案と民主党案の中で幾つか際立った違いがあります。その点について、まず民主党の皆さんに御質問したいわけでありますが、いわゆる教育における、あるいは教育行政における国の役割をどう考えるか、こういうことであります。
 民主党の皆様が提出した対案の中には、教育行政について第十八条で触れられているわけでありますが、この中には、先ほど下村委員が御指摘ありましたように、民主という言葉がたくさん出てきて、急にここになったらたくさん出てくるんですが、民主党だからやむを得ないかなと思ったりしているわけでございますが。それはともかく、こういうことがあるわけでございますが、国ということが一言も書かれてないわけであります。
 教育行政に国の役割はないのか。この間のクエスチョンタイムでは、党首の小沢一郎先生は、国が教育に対して責任を持つんだ、こうはっきりとおっしゃったわけでございますが、もしそのことが本当だとすると、教育について国は責任を持つけれども、教育行政については責任を持たないのか。これらについて、十八条のことについてお答えいただきたいと思います。

 

○笠議員 今、委員の方から、三点についてお尋ねがありました。

 まず、第一点目の質問でございますけれども、私どもの国の最終的な責任ということは、この第七条の普通教育及び義務教育の項で書かせていただいております。そして、その意味は機会均等の保障と水準の確保ということで、それをはっきりしろということで先ほど御指摘もいただきましたけれども、前者については財政的な支援ということで、これは、あわせて十九条の二項の教育の振興に関する計画というところで、私どもは、政府が、国内総生産に対する教育に関する国の財政支出の比率を指標として教育に関する国の予算の確保を図っていくということも、国の最終的な責務の一つとして位置づけております。また、後者については、学習指導要領などによって基準を示すということで、その責任の所在を明らかにしているわけでございます。

 

164国会 衆特別委 第7回(61日)

○達増委員 鳩山委員の質問を受けまして、憲法との関係について総理に伺いたいと思います。
 導入的な質問を飛ばしまして、憲法との関係についての質問に、もう核心に入っていきたいと思いますけれども、これは、総理が一生懸命進めてきていたいわゆる三位一体の改革とも関連するんですけれども、教育予算、義務教育予算の財源が大幅に国から地方に移されることになっているわけですね。義務教育の財源を国が保障する仕組みから、地方が自主財源で集めなければならないようになっていく。これで、今まで二分の一国が負担していたものが三分の一に減らされたりしておりますけれども、今、地方は未曾有の財政危機に直面しているわけでありまして、そういう財政危機に直面する自治体に、これからは義務教育の財源は皆さんで自主的に調達して自由にやってくださいねということは、その自治体の子供の学ぶ権利を危険にさらすことであって、これは憲法違反じゃないかと私は思うわけであります。総理、いかがでしょうか。

○小泉内閣総理大臣 私はそうは思っておりません。
 ということは、達増議員は、今まで地方六団体の要求というものは憲法違反と思っておられるわけですか。

 

 

164国会 衆特別委 第6回(531日)

下村委員 それもぜひ民主党の中でまとめていただきたいと思うんです。最終的な責任を負うという答弁の中で、政府案とどう違うのかということについては明確な答弁ではありませんでしたから、それは民主党の中で明確にされる必要があると思います。
 それで、最後に大臣にお聞きしたいと思うんですが、戦後教育の問題点として、やはり先ほど申し上げましたように、教育について、特に義務教育について、文部科学省があって、都道府県の教育委員会、市町村の教育委員会、学校現場、これが親方日の丸的なもたれ合いで、明確な責任がどこにあるかもわからないままこのような状況になっている。
 今、国民の大多数は、学校教育についてうまくいっていると思っている人は少ないわけです。信頼性が非常にないという中で、この教育基本法改正と同時に思い切った改革をする必要があると私は思うんですね。実際に、文部科学省は監督権限がないわけです、法律的に。そういう意味では、文部科学省が最終的な責任を負うということが私は必要だと思うんですね。
 そのために、例えば監督権限を持つ。これは、下部法令の中で、教育における自治法の中にそれを入れるとか、いろいろな法令等を変えながら、ただし、全部国がコントロールするということではなくて、今の民主党の指摘も私は半分はそのとおりだと思っていまして、できるだけ学校現場に任せる、途中の県教委や市町村教育委員会の関与をなくして学校現場に任せる、人事権も予算権も含めて。しかし、何かあった場合には国がそこにきちっとチェックできるような仕組みをするということは必要ではないかと思っております。この辺の国の監督権限、これは今後大きな課題だと思いますが、これを教育基本法にあわせて私は明確にする必要があるのではないかと思いますが、大臣にお伺いいたします。

○小坂国務大臣 下村委員の御指摘の趣旨は理解できるところでございますけれども、最終的なという意味が、なかなか不明確な部分があります。すなわち、国が最終的なとか文部科学省が最終的な責任を持つというのは、どういう場合が最終的に当たるのかという点においては若干の議論が必要かな、こう思います。
 そういう中で、今回の法律案の第十六条で「教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担」と、こう書いたわけでございます。したがいまして、今後の指導に当たりましても、十分な地方公共団体との協議、また教育委員会とのコミュニケーションをしっかりする中で適切な指導を図るということをやってまいりたいと思うわけでございまして、委員がおっしゃるように、文部科学省が、委員が言われるところの最終的な責任という観点から、直接的に教育委員会にもっとこうやれというような指導をするということについては、やはり役割分担を踏まえた上での、地方自治体との協議も踏まえて役割を果たしていきたい、このように思うところでございます。