1090専修学校の位置づけ

 

 

164国会 衆特別委 第12回(68日)

○臼井委員 なかなか難しいところだと思うんですが、目標であるということはおっしゃっていただきました。その評価というものは問題になりますが、ぜひとも実効は上がっているというようなことをしっかり把握、理解できるような方法でお願いをいたしたいと思います。
 条文についてお伺いをいたしたいと思いますが、第七条で大学という項目が新設をされております。かつての我が国の教育というのは、小学校から大学まで、いわゆる単線型であったわけでございますが、現在では御承知のとおり、専修学校、各種学校というのは、非常に御努力いただきまして、多くの方々が学んでいる。また、文科省当局もこうしたものに対してしっかり対応していただいておりまして、専門士というような称号も与える、また大学への連結、編入も認めるというふうに、複線型になってきているというのが現実であります。
 そこで、項目として挙げるならば、民主党さんの方にも出ておりますが、大学とするよりは、むしろ高等教育というふうにした方が幅広く、より現代に合っているんじゃないだろうかなと、率直にそう思うわけですが、なぜそれをあえて大学というふうにしたのか。そして、専修学校、各種学校の教育に対する考え方というものをどのようにして明らかにしていくのか、お聞かせをいただきたいと思います

○田中政府参考人 大学の規定についてのお尋ねでございますけれども、教育基本法は教育の理念や基本原則を規定する法律でございます。その性格にかんがみまして、小学校、中学校、高等学校、専修学校、各種学校といった個別の学校種類につきましては、学校教育法において規定することが適当と考えておるところでございます。
 大学につきましては、中教審でも御指摘をいただいておるように、知の世紀をリードするための人材育成を行う上で、今日非常にその役割が重要となってきている。また、大学は、研究と教育を一体として行う、大学の自治に基づく配慮が必要である、さらには国際的にも一定の通用性が認められている存在である、こういう固有の特性を有しておるところでございまして、これを踏まえまして、特に第七条に規定を置いたものでございます。
 御指摘のように、専修学校、各種学校は職業教育の中核的機関でございまして、法案第二条第二号では新たに「職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。」と職業教育の重要性を規定したところでございまして、今後、専修学校、各種学校の果たす役割はますます重要になると考えておるところでございまして、私どもといたしましても、そのさらなる振興に努力してまいりたいと考えておるところでございます。

 

164国会 衆特別委 第12回(68日)

○遠藤(利)委員 高等学校につきましてはまだまだ議論したいんですが、私に与えられた時間は二十分しかありませんので、また委員会でお伺いすることにしまして、二つ目は、専修学校についてお伺いをしたいと思います。
 先ほど臼井議員のお話の中にもありましたが、専修学校、実は、職業教育に関しましては、現行の基本法では、第一条に単に、単にといいますか、「勤労と責任を重んじ、」と、この大変短い言葉が書いてあるだけであります。しかし、今回の改正法案におきましては、第二条、教育の目標の中に、第二項、「職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養う」、そういう意味では、文章が長いからということではありませんが、大変重きを置いて書いている。
 最近、ニート、フリーターが大きな社会問題化をしております。例えば、少子化の問題でも、いろいろな研究機関の話を読みますと、ニート、フリーターは、当然経済力がないわけですから婚姻が少ない。婚姻が少ないということは、当然子供の生まれる比率も少ない。それによって二十数万人ぐらい影響しているのではないか、こんな議論もあるようであります。そういう意味でも、職業教育、いわゆる職業観というものを学校の中で、教育の中でしっかり教えていかなきゃならない。本来は、家庭が働く者のとうとびを教えなきゃならないわけでありますが、しかし、それにしても、学校教育の中でしっかり取り組んでいかなきゃならないと思っております。
 今、職業教育、大学、短大、もちろん高等学校でもやっておりますし、高等専門学校、いろいろな場所でやっているわけでありますが、専修学校につきましては、実は、現基本法ができた昭和二十二年にはこの制度がまだ制定されていない。御存じのように昭和五十一年に制定をされたわけですから、当然、現基本法の中では専修学校というのは全く想定、想像さえもされなかった制度であります。
 しかし、現在、実用的であるといいますか、大変就職もいいし、いろいろな意味で効率的な授業をしているということがあって、全国におよそ三千五百校、八十万人の皆さん方が専修学校で学んでいる。たしか大学が二百五十万ぐらいだと思いますが。そういう意味でも、短大の倍以上、そんな大きなウエートを占めているんではないかと思います。
 そこで、これも時間がありませんのでコンパクトで結構ですが、まず一つは、改正案の中では、どこにどのようにこれを位置づけているのか。そして二つ目は、職業教育の中核的機関、先ほど政府委員からも答弁がありましたが、中核的機関としての役割を果たしているこの専修学校の格差是正のために、そろそろ学校教育法の第一条に規定している学校として位置づけてもいいのではないだろうか。第三点は、教育振興計画では専修学校の振興策をどのようにしていくのか明確にすべきと思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

○小坂国務大臣 御指摘のように、専修学校は、学校教育法の八十二条の二項に規定をされているわけでございまして、実践的、専門的な職業教育を行う教育機関として、これまで産業界の第一線で活躍するスペシャリストを数多く輩出をいたしているところでございます。我が国の職業教育において重要な役割を果たしていることは論をまたないところと思います。
 今回の教育基本法の改正におきましては、教育の目的、第二条第二項に「職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。」としましてこれを規定し、専修学校も含めた職業教育の重要性を明らかにしているということは、今委員の御紹介いただいたとおりでございます。
 今後、学校教育法の第一条に規定する学校として位置づけられてはどうか、こういう御指摘もありましたが、専修学校は個人立、法人立、いろいろな態様も持っておりまして、個別の学校種について定める学校教育法の見直しの中で検討をさせていただきたいと考えているところでございまして、関係者の意見も十分に伺いながら検討を進めていく必要があると認識をいたしているところでございます。
 専修学校の今後の振興計画の中での取り扱いでございますけれども、専修学校が果たすべき役割が大変に大きいものであり、また、今日その態様が皆さんの中でも広く認識をされているところでございますので、そういったものを踏まえながら教育振興基本計画の中に規定をするという形で、委員の御意見等も踏まえながら今後さらに詰めていきたい、このように考えているところでございます。