1115私学助成の憲法89条との整合性

 

 

164国会 衆特別委 第8回(62日)

○土肥委員 …今度、教育基本法で私立学校が真っ正面から取り上げられました。政府案、民主党案ともに私立学校を入れているわけでございますけれども、御承知のように、憲法八十九条で、私学教育あるいは慈善たる福祉を許しておりませんね。これとの関係で、私立学校をそんなに簡単に教育基本法で取り上げていいのか、八十九条に合わないんではないかと思うんですが、政府案、民主党案、それぞれ答弁をお願いします。

○小坂国務大臣 学校法人に対する私学助成というのは、憲法第八十九条が公の支配に属しない教育事業に対する公金の支出を禁じているために、学校教育法、私立学校法及び私立学校振興助成法に定める各種の監督規定をもって公の支配に属しているものとして助成が行われるという形になっております。
 このため、今回、本条すなわち私立学校の規定を規定したことのみをもって、憲法第八十九条に規定する公の支配に属しているものとしての私学助成を行うことが可能になるというわけではないわけですが、この私立学校の規定は、私立学校の重要性にかんがみ、国及び地方公共団体に対して、私学助成に限らず情報提供や経営支援なども含めてその振興方策を講ずる責務を課すものでありまして、その意味においては、私学振興全般の根拠となり得る形をとっているわけでございます。
 このように、私立学校というのは、今日、我が国の教育に占める割合が非常に重要なものとなっておりますので、教育基本法の第八条における私立学校の規定は、国、地方公共団体の責務を明確にするという意味合い、そしてまた、この憲法八十九条の規定との関連を教育基本法として明らかにするために挿入をしたものでございまして、委員の御指摘になる懸念は、私どもは必要のないものと。必要のないものと言うと語弊がありますので、委員の御指摘は謙虚に受けとめるものの、私どもとしては、この八条の規定を設けたことによって、より一層公教育に果たす私学の役割が確立されるものと考えているところでございます。

○土肥委員 時間が来ておりますのはわかっています。後で、簡単にやってくださいね。
 要するに解釈憲法ですね。大臣、解釈憲法じゃないんですか。ひとつお答えください。

○小坂国務大臣 憲法上の解釈は、このような規定を設けることによって、先ほど申し上げたような、学校教育法、私立学校法及び私立学校振興助成法に定める各種の監督規定をもって公の支配に属しているという形の形式を整えているということを申し上げたところでございます。

○土肥委員 では民主党、お答えください。

○笠議員 土肥委員御指摘のとおり、私どもも、この私学助成についての憲法八十九条との適合性、これまで議論をされてきております。
 これについては、助成を受けた場合に、監督官庁の報告徴取や、質問、検査あるいは予算に係る変更の勧告、役員の解職の勧告等の権限も及ぶほか、大臣の定める基準に従った会計処理あるいは財務に関する書類の作成と提出、監査といった規制を受けるといったこともあって、公の支配に属するものとされていると承知しており、私どもといたしましては、この取り扱いに異議はなく、私学の助成に関する憲法八十九条の問題については決着していると理解しております。
 その前提のもとに、今回の第九条、建学の自由及び私立の学校の振興の規定を作成したところでございます。

○土肥委員 ありがとうございました。
 ちょっと問題だと思いますね。そうすると、八十九条はもうない、八十九条は死文化している条項だと言わざるを得ない。つまり、学校法人あるいは社会福祉法人、法人格をそれぞれつくって、監督官庁のもとに置いて、そして、お金をおろしやすいようにしてつくった私学であり社会福祉法人なんですね。この事実は間違いないわけでございまして、これはまた憲法改正論議のときに、当然この条項は問題になると思います。