2260第十四条の趣旨

 

 

164国会 衆特別委 第12回(68日)

○糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。前回に引き続きまして、本日も法案の条文について質問をさせていただきたいというふうに思います。
 先日、政治教育につきましては、最後に猪口大臣から、国民が国家及び社会を形成していく、そして諸問題の解決に積極的に関与していく、そのための能力、意義を深める教育が必要である、このようなことですとか、民主主義、憲法、地方自治についての知識を身につけることや、そして、それらが社会で達成されていく中でどのような苦労やとうとさがあったかということを教育で教えていくことがこの十四条の趣旨に込められている、このような説明をいただいたわけでございます。
 そこで、文部科学大臣にお尋ねをさせていただきますが、改めて、現行法に引き続いて政治教育を規定する第十四条の趣旨、これをお尋ねさせてください。

○小坂国務大臣 民主主義社会にあっては、国民は、国家や社会の形成者として諸課題の解決に積極的にかかわっていくことが必要であります。
 このために、民主政治、憲法、地方自治等に関する知識を身につけて、まずその意義を理解することが必要であることから、第一項においては、教育において政治的教養を身につけるためにこれを涵養することが規定されているわけでありまして、また、公の性質を持つ学校における教育の政治的中立を確保するために、第二項においては、学校における、特定の政党を支持する、あるいは反対する党派的な政治教育を禁止する旨を規定したところでございます。

 

164国会 衆特別委 第9回(65日)

○糸川委員 ありがとうございます。
 もうほとんど時間がございませんので、ちょっと先に進ませていただいて、第十四条の政治教育について一問ぐらいお尋ねをさせていただきたいと思うんですが、私は、そもそも、国民にとっての国家や社会のあり方というものは、変更ができないものではなくて、その構成員である国民の意思によってよりよいものに変わり得るものではないかなというふうに思うわけです。つまり、国民は、現在ある国家、社会のあり方に消極的に順応せざるを得ないという存在ではなくて、よりよい国づくり、地域づくりのために主体的、積極的に参画することを求められている、こういう存在であるというふうに思うわけでございます。
 しかし、これまでの日本人は、ややもすると、国や社会というものはだれがつくってくれたのか、だれかがつくってくれるのではないか、そういう意識が強いから、自分自身の問題として考えて、そのために積極的に行動しよう、こういう努力を怠りがちであったのではないかなというふうに思います。ここ数年の国政選挙ですとか地方選挙の投票率の低下、これも、国民の、国家ですとか社会への主体的な参画への関心の低さというものが端的にあらわれているものだというふうに思うわけでございます。
 しかし、我々人間は一人だけで独立して存在できるものではなくて、個人が集まって公共を形づくることによって生きていくことができるものでございます。
 私は、国家、社会の形成者としての国民を育成する、こういう教育の役割を再度見詰め直して、政治や社会に関する豊かな知識や判断力、批判的精神を持って、みずから考えて、そして公共に主体的に参画して、公正なルールを形成し、遵守することを尊重する意識、それから態度、こういうものを涵養することが重要だというふうに考えるわけでございます。
 もうほとんどこれで最後でございますので猪口大臣にまとめていただきたいんですが、御専門でいらっしゃる猪口大臣なんですが、これからの社会を担っていく国民として、今申し上げたような意識や態度を身につけるということは重要であって、ぜひ必要であるというふうに考えますが、これについての御見解をお聞かせいただけますか。

○猪口国務大臣 まさに先生今御説明いただきましたとおり、第十四条、政治的教育についての規定は、これはそのことを示していて、現行法におきましても、そして政府案におきましてもそのように明記しているわけであります。
 やはり、民主主義社会にあって、国民は国家や社会を形成していく、そして諸問題の解決に積極的に関与していく、そういう能力あるいはそのことの意義を深めていく、そのような教育が必要であるという趣旨であると考えております。
 民主主義について、憲法について、あるいは地方自治、このようなことについての知識をまず身につけなきゃならない。そして、その深い意義、そういうことが達成されていく、あるいはそのような考え方が人間社会において共有されていくプロセスにおいてどのような苦労があったか、そして、それはどのようにとうといものであったか、そういうことも含めて教育として受けるということが重要であると思います。
 これは、言うまでもなく、公の性質を持つ学校におきまして、特定の政党の支持あるいは反対、そのような党派的な政治教育、これは禁止される必要がありますけれども、例えば、今十四条は教育基本法なんだけれども、憲法の十四条におきます、すべて国民は、法のもとで平等であって、人種、信条、性別その他云々において差別されない、こういう民主主義の規定の背後にどれほどの歴史的な努力があったかということも含めて、その意義を教育の中で生徒たちがよく理解していくというような機会が、この十四条に込められた趣旨であると思います。


164国会 衆特別委 第12回(68日)

○小宮山(洋)委員 もう一点、政治教育について伺いたいと思います。
 民主主義をしっかりと小さいころから学ぶ教育というのはぜひ必要だと思っています。やはり若者が政治に参画しませんと投票率も上がりませんし、これからこの日本で長く生きていく若い人たちこそ政治に関心を持つべきだと思うんですね。
 民主党案では、「国政及び地方自治に参画する良識ある真の主権者としての自覚と態度を養うことは、教育上尊重されなければならない。」と明記しております。政府案でも、必要な政治的教養は教育上尊重されるということが盛り込まれておりますが、この政治教育について、政府としてはどのようにお考えでしょうか。

○小坂国務大臣 民主主義の社会にありましては、国民は国家や社会の形成者として諸課題の解決に主体的にかかわっていくことが大変重要なことであります、また必要なことであります。このため、教育基本法案におきましては、第二条におきまして、教育の目標として「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。」を規定するとともに、第十四条におきまして、「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。」と規定をしたところでございます。
 ここで言う政治的教養は、民主政治、地方自治など、現代民主主義の各種の制度、法令についての知識だけにとどまるものではなく、実際の政治についての理解力、批判力などを指すものでありまして、国家社会の形成や諸課題の解決にかかわっていくために必要なものでございます。
 また、委員が御指摘のように、この民主主義の社会にあって、子供のころから民主主義についての正しい理解を持つことは私も大変重要と考えておりまして、国会にいらっしゃる小学生の見学者等については、自分の地元いかんを問わず、できるだけ機会を通じて出まして、そして、民主主義って何だろうということを申し上げながら、そういった民主主義の若い皆さんに対する理解の促進に努めているところでございます。