2510教育委員会制度存続の理由

 

 

164国会 衆特別委 第9回(65日)

○田嶋(要)委員 精神論としてはどちらも同じということかもしれませんけれども、やはり民主党の案の中に盛り込まれた文言の方がより踏み込んで、そして、現状の厳しい財政状況を踏まえつつも、しかし教育に関してはしっかりやっていくぞというメッセージ性、まさにそのメッセージ性が非常に強い中身になっているのではないかという印象を私は受けます。
 続きまして、教育委員会の関係に関しまして質問をいたします。
 これは、必置義務規定ということが現在ございまして、せんだっても総務委員会の方で地方自治法の改正というのがございました。その中でも、さまざまな答申等に、改正の中の一つとしてこの教育委員会の必置義務規定の廃止ということがございましたが、聞くところによりますと、総務大臣の御答弁によりますと、文部大臣の強い反対によってそれは改正の中には盛り込まれなかったというふうに伺っておるところでございますが、なぜこのような必置義務規定の改正に反対をされたのか、御答弁ください。

○小坂国務大臣 教育委員会の役割から御説明するべきかもしれませんが、教育委員会には、地域住民の要請に応じた教育行政を主体的に企画し、実行していくことが求められているわけでございまして、それの推進を一層図る必要がございます。
 これまでも、特区において教育委員会の廃止を提案するものもあったこと、また、民主党の日本国教育基本法においては教育委員会制度の廃止が盛り込まれていることは承知をしているわけでございますけれども、教育委員会は、いわゆる首長、議会、住民とのチェック・アンド・バランスのもとに、多様な民意の反映と教育の中立性、継続性、安定性を確保するための地方教育行政の基本的な組織でございまして、国が制度の枠組みを定めているものであって地方の教育の担い手として不可欠なもの、こういう認識を私ども持っております。
 したがいまして、昨年の十月の中央教育審議会答申においても、このような考え方から、教育委員会をすべての自治体に設置することが必要と提言もいたしておりますし、私どもといたしましては、この教育委員会を必置義務から外すということは適当でない、このように考えているところでございまして、むしろ充実した教育行政を行えるように教育委員会の活性化を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

○田嶋(要)委員 一方で、教育委員会の形骸化ということを指摘する声も大変私は多いと思います。これは、先ほどの話と同じように、一斉にということがいろいろな理由で困難であれば、やはり、今回は特区でございますが、特区のような形で、特に、過去に五回も希望を出しておる行政、自治体もあるというふうに聞いておりますけれども、そういったところだけでも試行的にやってみる必要があるのではないかなというふうに考えておるところでございます。
 特に、教育委員会の教育長や委員というのは、実質的にこれは首長による選任ということでございますので、さらに、教育予算の編成や執行に関する事務の権限というのは今でももちろん首長に権限が集中をされておるというわけでございますので、この必置義務規定の有無ということとその中立性というのは関係が余りないのではないかな、私はそのような印象を持っております。
 それに加えまして、公立小中学校における学校教育以外の事務、文化、スポーツ、生涯学習、そういったものに関しては、先行してこの部分だけでも規制の緩和を行っていってはどうか、私はそのように考えておりますけれども、いかがでしょうか。

○小坂国務大臣 ただいま委員が御指摘のスポーツとか文化とか、こういった面について権限移譲をしてもいいのではないか、これは考えられる範囲内のことであろうと思っておりまして、私どもも検討してきたことがございますし、今でも行革担当大臣には御相談を申し上げていることでもございます。
 しかしながら、教育の人事権の問題についても可能な範囲内においては地方分権を進めてまいりましたけれども、教育のチェック・アンド・バランスと申し上げたところでもう少し御説明するべきだったかもしれませんけれども、教育というのは中立性を持っていなければならないということから、時の首長が特定の政党または組織の意思に基づいて行動しようとしたときにそれをチェックするのが議会であり、またその議会との対立の中でバランスをとっていくのは教育委員会の役割でございますので、教育委員会の役割は依然として必要なものという認識を持っているところでございます。

 

164国会 衆特別委 第12回(68日)

○中井委員 教育行政についてお尋ねをします。
 現行法十条では、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」こう書いてあります。これを、今回、政府案十六条では、「不当な支配に服することなく、」は残したわけでありますが、「国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」というのは削除されております。
 この「国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」という条項をもとに、アメリカ型の教育委員の選挙が行われたと言われているんではないでしょうか。昭和三十一年に教育委員会の選挙というのは廃止になって、今の教育委員会、首長が任命して議会が同意をするという形に変わりました。
 しかし、この項目を取り外したら、教育委員会というものをつくる論拠が政府の案の中にどこにも出てこないじゃないか。文科省は地方教育法何やらのどこやらに教育委員と書いてありますと言うけれども、それは法律の中であって、教育委員会制度という根幹をなすものの法的論拠がなくなるのだと私は思います。
 自民党さんが教育委員会をなくすというのなら、僕は大賛成であります。ところが、きょうの新聞を見ていますと、中馬行革相が、教育委員会選択制度導入を経済財政諮問会議で要求したら、文部大臣に拒否された、こう載っているわけでございます。教育委員会を続けてやる、あるいは強化するというお言葉が、過般の答弁でありましたが、どこにあるのか。私は、少しおかしい、こういうふうに思います。
 その点、民主党は、ばさっと不当な支配というところを切って、国の責任、首長そして理事会、こういうスタイルをおつくりになった。僕は、それは一つ本当に発想の転換、責任の明確化だ、こんなふうに考えております。
 小坂大臣、この点についていかがですか。

○小坂国務大臣 教育委員会の問題につきましては、第十六条の教育行政におきまして、国と地方公共団体との適切な役割分担、相互協力のもとに公正かつ適正に行われなければならないとしているわけでございますが、教育委員会の設置など行政組織の具体的なあり方については、現行法と同じように規定はしておりません。
 しかし、教育委員会の設置等につきましては、地方自治法や地方教育行政の組織及び運営に関する法律によって具体的に定められているわけでございます。
 教育行政を教育委員会ではなくて長が行ったらどうか、こういう御意見もあるわけでございますけれども、教育委員会制度は、いわゆる合議制、あるいはレーマンコントロールと言われるような住民による意思決定ということが言われる中で、政治的中立性の確保、継続性、安定性の確保それから地域住民の意向の反映を図るものとして、地方教育行政の基本的な組織として定着をいたしておりますし、今日、教育委員会には、地域住民が参加してその要請に応じた教育行政を主体的に企画、実行していくことがますます求められていることから、今後とも、教育委員会は各都道府県において必置なものとして私どもは基本的に考えておりますが、その役割については、今後とも柔軟な取り組みもあわせて検討してまいりたい、このように考えているところでございます。
 むしろ、教育委員会については形骸化等が指摘される部分もありますが、私は、活性化を図ることによって、教育行政の今日的課題に的確に対応して、教育の機会均等や水準の維持向上を実現する行政組織として展開ができるように、さらなる改革を進めることが適切である、このように考えているところでございます。

○中井委員 改革を言われる小泉内閣が、教育委員会やあるいは警察の公安委員会、アメリカの制度をまねして、全く日本流にして形骸化して、高い月給だけをお取りになって責任のない所在になっておる。こういうシステムをいつまでも残されて改革だと言われているというのは大いなる疑問だ、私はこのように考えております。