2550国による財政上の措置の意義

 

 

164国会 衆特別委 第3回(524日)

○谷垣国務大臣 日本の国柄を考えました場合に、資源等々大変乏しい国で、日本が誇り得るものは人材の力である、そのために、教育をしっかりやっていこうということで教育基本法にも取り組んでいただいている、私は全くそれに共感するものでございます。そして、そうなりますと、それを支える財政はどうあるべきかという議論、よりよい予算は何だろうという議論、これは徹底的にやっていかなきゃならないだろうと私も思っております。
 それで、今町村委員がおっしゃいました、確かに公財政支出対GDP比、私の手元にございますのは、英米仏独日、この五カ国で比較したものでございますが、今おっしゃいましたように、日本が一番低いのは事実でございます。他方、今高等教育をお比べになりましたが、初等中等教育で生徒一人当たりの額を比べますと、今のG5の国の中では三位になって、欧米諸国と比べて遜色はない水準であるというふうに一応言えると思うんですね。
 それで、我が国における生徒数一人当たりの初等中等教育の支出を見ますと、平成元年から十五年までの間に五一%増加している。ところが、なかなかその効果が出てこない。どうしたらその効果が上がるのか。
これはいろいろ御努力もいただいておりますし、私どもも予算の上でさらに議論をしていかなければならない点だろうというふうに私は思っております。
 それに加えまして、もう一つ、一般政府総支出の対GDP比が今の五カ国の中では日本が一番低いということも、では教育をどうしていくんだという議論の中でお考えをいただきたいと思いまして、今後、このあたり、町村委員とも十分議論をさせていただきたいと思っております。

 

164国会 衆特別委 第3回(524日)

○松本(剛)委員 ありがとうございました。
 それでは続いて、教育への姿勢というものを問うてまいりたいと思っております。
 その意味で、予算は政治だという言い方をされる方もあるように、財政的にどういう形で教育に対して取り組んでいるかということは大変重要な問題でございます。
 先ほど、これも自民党町村委員の方から、予算のGDP比のウエートが国際的に大変低いという問題をお取り上げになっておられました。私どもも、現在の国際的な水準から見て大変低いということは大きな問題だというふうに思っております。
 ここに、国際比較をパネルにしてお持ちしております。委員の皆さんにはお手元にもお配りをさせていただいているかと思いますが、問題は、我が国はもともと低いところから一生懸命引き上げてきてここまで来たんではなくて、むしろ、比較的高かったのに、多くの国が教育にどんどんどんどん力を入れていく中で、我が国においては教育の予算というのが、割合からいえばどちらかというと下がっていって今の実情になったということが大きな問題だというふうに思っています。
 ちょうど自民党ができた一九五五年から私も少し数字を拾ってみましたけれども、国の予算の中に占める構成比が一四・五から五十年で一〇・二に下がりました。地方においても、二八%から二〇%に下がっております。ちょうど二対一でそのまま比例して下がったような形であります。それぞれが作成する、特に国の場合、策定する予算の中でどのぐらい教育の予算に割合を充てるのかというのは、まさに政治そのもの。これを自民党ができたときから五十年間でどんどんどんどん減らしてきた歴史というのが、大変大きな問題だというふうに思っております。
 私たちはここできちっと方向を変えるべきだというふうに思っておりますが、そして、そのことも民主党の日本国教育基本法の中には含ませていただきましたけれども、小坂大臣、変えていこうという気持ちがあるかどうかだけ、決意をお伺いしたいと思います。

○小坂国務大臣 一概にGDP比で規定するのがよろしいかどうかというのは、これは同じ公教育の中における公立学校と私立学校の構成比というものが外国と日本と違うということ等もございますので、私どもとしては、一概にGDP比を指標とすべきではないというふうに思いますけれども、御指摘をされております、今後とも教育に対する予算というものは十分に確保していくべきだという観点においては、私どもも同じ考えでございます。

○松本(剛)委員 時間が限られていますので再答弁を求めませんが、今後ともではありませんので、これからはですので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、民主党案の中で、やはり教育の予算に対する姿勢をきちっと日本国教育基本法では明記をしていただいているかと思いますが、御説明をお願いいたします。

○大串議員 お答え申し上げます。
 ただいま委員から御指摘のありましたように、我が国における教育に関する公財政支出の国内総生産に対する割合は三・一%と他国に比べて非常に低い状況になってございます。これに関しまして、我々の教育基本法においては、しっかりとした財政手当てを行っていくことによって、我々の日本国教育基本法の考え方を実施していくということを考えております。
 そのため、我々の法案におきましては、第十九条の二項におきまして、教育の振興に関する基本的な計画の中に、我が国の国内総生産に対する教育に関する国の財政支出の比率を指標として、教育に関する国の予算の確保及び充実の目標が盛り込まれるものとするというふうにしておりまして、またさらに、第二十条におきましては、政府及び地方公共団体は、第十九条の計画の実施に必要な予算を安定的に確保しなければならないというふうに規定をきちっと入れることによって、財政支出もきちんと確保していくことを担保していくことを考えているわけでございます。
 こういう措置を通じまして、OECD諸国並みあるいは米国並みといった水準の予算を確保していくということを旨として考えているところでございます。

 

164国会 衆特別委 第4回(526日)

○山口(壯)委員 今お手元にお配りさせていただいた資料、「過去五ケ年の文部科学省予算の推移」、一番最新は十八年度の数字です、五兆一千三百二十四億円。
 これを五年間ずっとごらんになっていただいて、はっきり数字が物語っていることですけれども、十三年度は六兆五千が、十四年度にちょっと数字がこうなっても、その後ずっと、六兆三千に、六兆に、五兆七千に、五兆一千に、順番に着実におっこちてしまっているわけですね。歴代の、町村さんを初めとする文部大臣あるいは文部科学大臣の努力はあったでしょうけれども、現実に数字はこうなってしまっている。
 この中で、特に公立学校に入っている数字はどうなんだろうな。二番目の義務教育費国庫負担金、これは人件費ですけれども、それから、下の方の公立学校施設整備費、この二つを足した数字がどうなっているかな。やはり同じように、当然のことながら、ずっと減ってきてしまっているわけです。
 これはやはり、全体の財政状況というもので、ついつい、文部省あるいは文部大臣の方も、それはしようがないなという気持ちにどうしてもなりがちでしょう。そうすると、全体を縛る一つの大きな枠組みというものもどうかなという発想は、私はあり得ると思うんです。逆の意味で言えば、防衛費の一%枠というものも昔はありました。いいかどうかは別にして、それが非常に大きな意味を持ったことは確かでしょう。
 そういう意味で、教育に関する公財政の支出に対してできるだけ予算を確保する工夫というのは、今回、教育基本法ということで考えられると思うんです。民主党案では、この点、どういうふうに考えておられますか。

○大串議員 今御質問いただきました教育予算に関する我が法案での手当てのあり方でございますけれども、今御指摘ありましたように、我が国における教育に関する公的支出の割合は他のOECD諸国に比しても低い状況にある、そういう認識に立ちまして、教育の質を高めていくためには制度面から財政的な手当てもしっかり確保していく必要があるということで、十九条の第二項におきまして、教育の振興に関する基本的な計画には「我が国の国内総生産に対する教育に関する国の財政支出の比率を指標として、教育に関する国の予算の確保及び充実の目標が盛り込まれるものとする。」というふうにしておりますし、また、二十条におきまして、政府及び地方公共団体は、十九条の計画の実施に必要な予算を安定的に確保しなければならないというふうに制度的に確保しているところでございます。

○山口(壯)委員 これは法律の中でも基本法と呼ばれているものです。そういう意味では、例えば交通規則、スピードを決めるような法律とはまた別途違う意味を持っていると思うんですね。スピード違反であれば、五十キロをオーバーすれば違反が生じる。これはもう厳然とメーターではかればはっきりわかってしまう。そういう意味では、基本法の場合には、我々がどういうことを願い、それが十年後のみならず、二十年後、三十年後、場合によっては今回のように六十年後の、こうあってほしいと我々が願う気持ちを入れ込みたいわけですね。ですから、この法案、基本法の中で、言ってみれば、もともと米百俵の精神ですよ、それをいかにできるだけ具体的なものに近づけていきたいか、そういう願いというものは私はあっていいと思うんです。
 したがって、別に私は政府の案をこのままだめだという話をしているんじゃないんです。政府の方としても、これはぜひ一考に値することとして前向きに受けとめていただきたいし、まさにその共通点をじっくり議論する中で、十年後、二十年後のみならず、五十年後、六十年後のあるべき姿、あるいはあってほしいと願う姿を言う中では、私は、このことに関しては、ひとつ大臣、全体の政府の中で、あるいは場合によってはさらに広い枠の中で、一考に値することとして受けとめていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○小坂国務大臣 今回の教育基本法案の中では、第十六条の第四項に「国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。」と規定をいたしまして、今委員が御指摘のように、教育が大変厳しい財政のもとでもしっかりと財政的に担保されるような規定をこの基本法の中に盛り込んでいるところでございます。
 先ほど委員が御指摘をされました五年間の文部科学省予算の推移でございますけれども、この中には幾つかの勘案していただきたい事項があるわけでございまして、これは当初予算でございますので、余り大きなものではございませんけれども、施設費関係におきましては、補正予算として十四年、十六年、十七年度にそれぞれ増額が行われておる状況がございます。
 例えば、公立学校施設整備費は一千四百二十八億円、国立学校施設整備費は二千四百七十四億円を計上しているところでございます。また、義務教育国庫負担金につきましては、三位一体改革における補助金改革及び人事院勧告の減というものをその影響として受けているわけでございます。
 まだいっぱい申し上げたいことはありますが、いずれにしても、言いわけではなくて、私どもも精いっぱい、教育の水準と必要な教員定数の確保については努力をしているところでございまして、今後ともさらに必要な教育予算の確保に最大限の努力をしていくことは改めて申し上げておきたいと思います。

 

164国会 衆特別委 第6回(531日)

○糸川委員 ありがとうございます。
 次に、第五条の義務教育の規定についてお尋ねをさせていただきたいと思いますが、子供たちの一人一人が人格の完成というものを目指して個人として自立をする、それぞれの個性を伸ばしてその可能性を開花させる、そして、どのような道を選んでも、どのような道に進んでも、みずからの人生を幸せに送る、こういうことができる基礎を培うということが義務教育の大切な役割であるというふうに思います。そうであるからこそ、国が一定水準の教育を保障する、こういう責任を担っていくべきであるというふうに考えておるわけでございます。
 このような義務教育に対する国の責任を考えますと、義務教育費の充実に取り組んでいくべきではないのかな、こういうふうに思いますが、文部科学大臣としての御見解をお聞かせいただければと思います。

○小坂国務大臣 この点は、委員のおっしゃるとおりでございます。義務教育は、一人一人の人格形成と国家社会の形成者としての育成を図るわけでございますので、国が責任を持って充実を図るべき最重要課題、このように認識をいたしております。
 その水準の維持向上のために必要な財源は国において確実に確保される必要がある、委員の御指摘のとおりと思っておりますので、今後とも義務教育の構造改革の推進に必要な予算の確保を図ってまいりたい、このように考えております。

 

164国会 衆特別委 第9回(65日)

○田嶋(要)委員 言葉で並べればどこの国の政府もそういうことを言うと思います。
 ただ、私が申し上げているのは、これも何度も御指摘がいろいろされているところでございますが、よく対GDP比の数字が示されますね。そればかり見るなとおっしゃるかもしれませんけれども、それをまず見ると、明らかに日本の政府だけが突出して少ないんですよ、パーセンテージが。このことを小泉総理にも二度、少なくとも二度、今回指摘がありました。しかし、小泉総理は、ほかの数字も見てくださいとおっしゃるばかりなんですね。ほかの数字を見てくださいといったって、まずその数字を指摘しているんですよ。
 だから、その数字を見て、文科大臣、おかしいと思いませんか。やはり手抜きをしてきたな、この五年間の教育に対する手抜きの結果、十年、二十年日本の復興はおくれますよ、そういう意味で。私は、その点をこの小泉五年間の最大の問題の一つだと思うんです。なぜこんなに手をこまねいてきたか、あるいはなぜこんなに手を抜いてきたか。責任ある大臣として、大臣まで同じ認識でおられるのか、いや、おれは実は内心腹が立っているんだ、そういうことなのか、そこを教えていただきたいということです。お願いします。

○小坂国務大臣 教育予算の充実に関しては、私は非常に欲張りでございますから、まだ足りない、まだ足りない、いつでも足りないと思っているのは事実でございます。しかしながら、これは小泉内閣としての財政再建という方針もあり、またどの政府にあっても同じでございますけれども、財政の許す範囲内で施策を行うのは当然のことでございます。そういう観点から、限られた予算の中ではございますけれども、それを効率的に使うという視点で日々努力をしているところでございます。
 GDP比に占める割合という形で御指摘をいただきましたけれども、OECDの統計によります、またOECD平均の五・一%に対して日本の三・五%は低過ぎるではないか、そういった御指摘もあるわけでございます。
 これはたびたび答弁申し上げているように、GDPに対する公財政支出の割合が日本は小さいということ、また児童生徒の総人口に占める割合が小さいということ、また、私立大学ということで高等教育に占める私立の割合が非常に高い、高校では三割、大学では八割ということになりますので、こういった費用が公財政支出という形の教育費という形ではあらわれてこないということがございますので、公財政教育支出という中に含まれない数字が日本の場合には高くなっているために、含まれない部分が多いですから比率が低くなってしまう。こういう理由もあるということで、これがすべてで言いわけになるということではございませんけれども、まだまだ充実をしたいところがたくさんあることは事実でございます。

○田嶋(要)委員 財源の問題は、それはもうどの国でも厳しいとは思います。しかし、例えば、これも指摘がされております国際人権規約における高等教育の無償化条項に関して、どの国も厳しい中で、やはり我が国は留保している数少ない国の一つだというのは、明らかに日本は余りそういった分野に関しては力を入れていないんだよということを世の中にアピールをしているような、そのような印象を私は受けるわけですね。その点、ぜひ、一日も早くそういったところで評判、名前が知れ渡ってしまうのは解消をしていただきたいというふうに私は思っておるところでございます。
 そして、同じGDP比の話の中でよく出てくる話として、生徒一人当たりの教育への財政支出はほかの先進国に比べて決して低くないということでございましたので、その論拠は何かということを私は文部科学省から資料をちょうだいいたしました。それを見ると、やはり低いのではないかと私は思うわけでございますが、その点、御説明いただきたいと思います。
 初等中等教育と高等教育に分かれております。今、大臣がおっしゃったように、それは、中には要素として若干日本が違う部分もあるかもしれない。けれども、それはそれぞれの国がそれぞれ特徴はやはりあると思うんですが、これは足し算すると、日本は恐らく一番低い国よりも四割低いですね、初等中等と高等を足し算しますと。やはりこれはおかしいですよ。これは、力を入れていないということをメッセージとして世界じゅうに言っているようなものです。日本にとって教育というのは一番後回しだ、そういうことを言っているに等しいと私は思いますけれども、細かい数字で恐縮ですが、いかがでしょうか、大臣。

○田中政府参考人 一人当たりの公財政支出学校教育費でございますけれども、二〇〇二年の比較でございますが、初等中等教育に関しましては、アメリカが七千八百三十七ドル、フランスが六千六百十ドル、ドイツが五千二百七十ドル、イギリスが五千百八十七ドル、日本は六千十六ドルということで第三位になっておるところでございます。高等教育につきましては、ドイツが一万七十五ドル、アメリカ合衆国が九千二百六十六ドル、イギリスが八千五百十二ドル、フランスが七千九百五十ドル、日本は四千八百六十二ドルということで、五位ということでございます。

○田嶋(要)委員 数字はわかっているんですけれども、全然少ないでしょうということを言っているんですよ。先進他国に比べて決して低くない、私はこれは間違った答弁だと思いますよ。決して低いんですよ。決して低いというのは日本語でおかしいですね、済みません。低いんですよ。
 こういうことを、国民には伝わらないですよ、党首討論のときもですし、それから本会議場での答弁ももうすり抜けているような答弁ばかりで、まずはそこを認めなきゃ私はいけないと思う。今までは力が入っていなかった、そういうことから、しっかりとした教育、あるいは教育基本法の議論も含めて全力でやっていかなきゃいけない、私はそのように思います。非常に残念な状況が今続いておると思います。
 そこで、お伺いをします。
 今回、教育基本法で、そういった観点からどのような重視を、教育にもっともっと力を入れていかなきゃいけない、そういったメッセージが今回の教育基本法の改正案の中に入っておるかどうかということでございますが、これはまず民主党の方にお伺いをいたします。
 民主党の改正案の中には、こういった教育支出、今までのことを深く反省をして、これからの日本が教育最重視で国を立て直していくんだ、そのことがこの改正案の中に盛り込まれているかどうか、その点を御答弁いただきたいと思います。

○藤村議員 現行教育基本法が議論された昭和二十二年当時に、憲法で、義務教育は無償とするという大変画期的な条項が入った。そして、教育基本法においては、義務教育で授業料は徴収しないとした。そのときに、義務教育で授業料を徴収しないだけでいいのかという議論は相当あったようでございます。ただ、昭和二十二年当時は、まだまだ日本の経済的なもの、体力、非常に厳しい中で、しかし、英断をもって、義務教育、特に授業料は徴収しないとして、それも六年から九年に延ばしたわけです。
 そういう意味では、今回の教育基本法を変える際にはやはりそういう英断が必要だと我々は考えまして、私どもは、十九条に、教育の振興に関する計画というところの二項で、この計画には、「我が国の国内総生産に対する教育に関する国の財政支出の比率を指標として、教育に関する国の予算の確保及び充実の目標が盛り込まれるものとする。」とし、さらに、この基本法においては、予算の確保ということで、「政府及び地方公共団体は、前条第一項又は第四項の計画の実施に必要な予算を安定的に確保しなければならない。」とし、教育にはお金をかけていくぞというメッセージをここで発信させていただいたつもりでございます。

○小坂国務大臣 私どもの方は、条文は同じ十六条なんでございますけれども、教育行政という項目の中で、「国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。」としております。同様に、地方公共団体も、「地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。」としておりますし、また第四項におきまして、「国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。」としているところでございます。
 さらに、十七条におきまして、教育振興基本計画を策定し、そして、計画的に教育基本法に規定された事柄が実施できるように、計画的な推進について定めているところでございまして、これらの規定をもって、今日まで努力してまいりました他の法律、例えば義務教育国庫負担法とかあるいは標準法とかあるいは教員の人確法と言われるような形で、予算面でも配慮されなければならない、給料面でも配慮されなければならない、こういった規定を設けながらその確保に努力をしているところでございます。


 

164国会 衆特別委 第12回(68日)

○小宮山(洋)委員 先ほどから、幼児教育あるいは高等教育の無償化の問題、奨学金の問題、そうしたことが、やはり実質的な裏打ちがないと、幾ら学びたくても学べない状況というのがどうしても今のような経済状況やさまざまな格差が生じている中で出てきてしまう。教育基本法という教育の憲法も変えようということなんですから、それが実質的に、現実的に前進するもの、よくなるものでなければ、国民は一体何のための改正なんだと言わざるを得ないと思うんですね。
 もちろん、教育基本法もいろいろつけ加えたり変えたりした方がいいところがあるということで民主党も提案をしているわけですけれども、先ほどから財源のことがいろいろ出てきますが、そもそも子供をいつも後回しにして、子供への財源が足りな過ぎるわけです、日本では。それが少子化を生んでいると言ってもいいと思うんですね。
 ですから、教育の憲法とも言えるこの教育基本法を改正しようというからには、もちろん理念、土台の考え方をしっかりすることも必要ですが、日々の教育の現場はそれだけでよくなるわけではありません。そういう意味では、やはり財源をしっかり確保するというような覚悟があって、そのことがきちんと政府案の中にもあらわれていないと、何のための教育基本法改正かと国民は思うと思うんですが、いかがですか。

○小坂国務大臣 教育の財源確保につきましては、小宮山委員の御指摘のとおり、私どもも充実に努めたい、そのように考えているわけでございますが、やはりここは財政状況というものがございますので、私どもとして努力をさせていただくとともに、財政当局と今後とも折衝を重ねるなど、今日の義務教育費の国庫負担制度等を堅持しながら、教育費全般の確保に今後とも努力をしてまいりたいと存じます。

 

164国会 衆特別委 第12回(68日)

○岩國委員 文字の国、言葉の国と言われる日本が、失礼ですけれども、こういうざまなんですね。教育基本法を論ずる前に、我々は、まだまだ国の枠づくりをきちんとしなきゃならないという点を強調しておきます。
 次に、安倍官房長官、もう一問だけ。
 小泉総理は、内閣総理大臣に就任されて、そして米百俵の精神をおっしゃいました。これは、まさに日本に教育の時代がやってきた、また、そうでなければならないと国民は大変感動したんです。そして、米百俵の精神、その逸話は全国に知れ渡りました。米百俵から五年たちました。この五年間に米百俵はどれぐらい、今百五十俵か二百俵ぐらいになっていますか。
 こうして教育予算、どの予算を見ましても、いただいたものを見たら、小泉内閣の前よりも減っているではありませんか。米百俵の精神は、どのように小泉内閣五年間の成果に生かされたのか。端的に、幾らが幾らにふえたということをお答えいただけませんか。

○安倍国務大臣 総理が米百俵の精神について述べたことは、これは、この故事にあるように、資源の少ない我が国においてはまさに人材こそ宝である、そして教育は国政上の最重要課題であるということで総理はおっしゃったわけであります。
 そして、その中で、公教育に対する公財政支出についてどうかという御指摘でございますが、教育に対する公財政支出について、諸外国と比較をいたしますと、OECDの調査によれば、我が国の学校教育費に対する公財政支出の対GDP比は、小泉内閣二年目の二〇〇二年が最新データとなるわけでありますが、二〇〇一年と比較しても変化はなく、他国においても大きな変化は見られないわけであります。
 なお、公財政支出の対GDP比については、国によりさまざまな条件が異なりますので、単純な比較が困難な面もあるわけでございます。他方、初等中等教育における在学者一人当たりの額を見れば、欧米諸国と遜色のない水準であるというふうに認識をしております。
 いずれにいたしましても、教育への投資は我が国の発展に欠かすことのできない未来への先行投資であり、必要な教育予算の確保に最大限尽くしていきたい、こう考えております。

○岩國委員 この米百俵というのは、米百俵を食べてしまえということじゃないんでしょう。森内閣のときの六兆五千七百八十四億円、それからずっと今、五兆一千三百二十四億。どんどんどんどん右肩下がりの文部省の予算になっております。そして、文部省予算で見ますと、対GDP比で一・三%だったものが今は一・一%ぐらいまで下がっている。
 元気の出るような数字ではないんです。米百俵は結果的には失敗したのか。(発言する者あり)うそ八百というやじが出ておりますけれども、私はそういう下品な言葉は使いません。しかし、米百俵というのは、結果的には失敗したとお認めになるか、十分成果を上げましたと言えるか、端的にお答えください。

○安倍国務大臣 今まで委員の御質問に対しては文科大臣からも答弁がなされている、このように思うわけでありますが、この五年間、教育に関しさまざまな新たな取り組みを行っているところでございます。と同時に、生徒数が減少する中にあって、一人当たりの教育費ということにつきましては、決してそれを減額していくということではないだろう、このように思っております。
 いずれにいたしましても、子供は国の宝、人材育成、教育には、今後とも、限られた財源の中でも全力を挙げて、そのための財源を確保するために努力していきたい、こう考えております。

○岩國委員 子供の数が減ったから一人当たりの金額はふえていますよというのは、まるで社会保険庁のおっしゃっていることとちょっと似ているような気がします。分母が小さくなったから一人当たりの教育費がふえている、そういう面も評価してくれということかもしれませんけれども、これは、子供が減ったから一人当たりがふえたといって喜ぶんじゃなくて、子供が減る原因が、教育費の負担が父兄に多過ぎる、つまり、日本の子供は教育費の負担つきで生まれてくるから両親が育てにくいんです。
 そこで、猪口大臣に質問させていただきます。
 こうした教育費の国際的な負担が多過ぎる、これは、予算の中でも、GDPに対する比率を見ても、あるいは家計の中に占める教育費の負担、これはOECDが発表しております。そういうものを比較しても、どこからも日本は、他の先進国、あるいは、産業の面で、貿易の面で競争しなければならない国と比べて、教育費をしっかりと使っているという国にはなっていないんです。教育費が少ないから、子供を産みにくい、育てにくい環境が既にでき上がっているんじゃありませんか。
 少子化現象で、安倍官房長官の割り算のように、分母をどんどんどんどん少なくすることによって一人当たりの教育費予算が結果的にふえるというのは、これは全く逆じゃないかと思います。教育費にもっと国が責任を持つことによって、学校へ行かせやすい、高校まで、場合によっては大学までも、そういう教育費の負担がないから、子供を産んでも十分やっていける、そういうメッセージをお母さんたちに出すことが一番大切。
 にもかかわらず、赤ちゃんを産む、赤ちゃんがお母さんから生まれてくる、その段階で赤ちゃんの出産費を無料化しようというのは、言ってみれば入り口だけの話であって、入り口から十八歳まで、赤ちゃんが生まれたら両親というのは、私の場合もそうですけれども、少なくとも十八歳まで責任を持たなきゃいけない、産んでしまえばいいというわけではありませんから。
 十八歳まで、赤ちゃん一人が生まれた場合に、平均的にどれだけのコストがかかるのか、それを計算されたことがありますか。当然それは計算された上での出産奨励とかいう発想を出していらっしゃるんでしょう。まず、一人の赤ちゃんが生まれたら、十八歳まで、公立の小学校、中学校、高校、公立ベースで行った場合に、幾らかかるのか、どういう数字が出ておりますか。

○猪口国務大臣 少子化対策といたしましては、さまざまなことを総合的に組み合わせて行わなければならないのですが、教育費が過重な負担を保護者にかけているという指摘は多々受けております。
 したがいまして、奨学金の充実は大きな柱となっております。また、先ほどからの米百俵の御議論の中のことでございますけれども、平成十三年から十八年まで、奨学金につきましては六九%の増加となってきておりまして、この分野を特別に重視し、発展させてきたということを申し上げさせていただきます。
 また、少子化対策についての御指摘は、岩國先生の御指摘を十分に踏まえまして、教育費につきまして、今後、保護者の負担の軽減についても政府内で調整していく決意ではございます。
 また、推計をしたことがあるかとの御質問でございますけれども、民間機関がさまざまな推計を出しています。その場合、例えば、幼稚園から大学までほとんど公立に行った場合、あるいはほとんど私立に行った場合、いろいろな推計がございますが……(岩國委員「公立の場合だけで」と呼ぶ)公立の場合だけでございますか。十八歳までではちょっと把握しておりませんで、大学まで公立に行った場合ということで大体千五百万と推計されている民間の推計がございます。
 政府といたしまして、国民世論、世論調査等に基づきまして、どのようなニーズがあるかということに基づいて政策を策定しているところでございます。

○岩國委員 では、民主党にお伺いします。
 民主党案で最も私は高く評価したいのは、こうしたお金の面をしっかりと基本法の中にうたい込んでいこうと。
 日本は、国の形がおかしい。凜とした国とはとても言えない。次に、それでは、お母さんがお金をしっかり出してくれる国なのか、教育費を。お父さんは自分の家族を守ろうとしない、それが日本の現状。国が教育費を出し渋り、よその国よりも教育にお金をかけない。民主党は、その点をしっかりと、GDPあるいはその他に換算して、財政的に国の責任を明示していこう、私はこれは高く評価したいと思います。
 ところで、どういう数字を想定してこの法案を提出しておられるのか、GDP比どれぐらいが適切と考えておられるのか、それをお答えください。

○大串議員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘いただきましたように、我が国の教育に関する公財政支出が非常に低い、国際的に低いレベルにあるということにかんがみまして、我が党の法案におきましては、十九条二項において「国内総生産に対する教育に関する国の財政支出の比率を指標として、教育に関する国の予算の確保及び充実の目標が盛り込まれるものとする。」となっておりますけれども、この具体的な数値に関しましては、必要な予算が安定的に確保できるように今後検討していきますが、一つの目安としましては、教育機関に対する国と地方を合わせた公財政支出の国内総生産に対する比率、OECDのデータで見ますと我が国は三・一%となっておりまして、OECD諸国並みの四・七%、あるいは米国並みの五%といった水準を目指して予算を確保していく必要があるというふうに考えております。

○岩國委員 これは、一般的な教育コストの国家の負担が少な過ぎる、家計費の負担が多過ぎる、外国に比べて。日本では子供を産みにくい、学校へ行かせにくい、そして、十八歳まで、二十二歳までのコストのほとんどは家計が負担しなければならない、私はこれを一日も早く是正すべきだと思います。
 それに加えて、この小泉内閣の三位一体、地方分権、これが学校教育における地方分権、私は反対です。義務教育、公教育は国家が責任を持つべきであり、そうすることによって初めて、島根県の子供も、青森県の子供も、東京の子供も、東京の会社に勤務するときに差別感情が生まれないんです。島根県は貧乏な県だから、多分半分ぐらいしか勉強してこなかったのが隣の席におるのか、そういう差別感情で私は見られたことがないのは、今までは国がきちっと責任を持ってきたからだ。これからは、地方分権。地方によって、豊かな県と豊かでない県のばらつきが出てくるでしょう。つまり、地方自治体ごとの地域経済格差というものが出てくる。
 島根県は、小泉内閣が始まる前は、東京が一〇〇とすれば六〇でした。五年間の、その最初の二年間に五五に落ちています。山口、岡山、七〇でしたが六五に落ちています。二年間で五%の所得格差が拡大しています。あと二十年間小泉内閣が続いたら、島根県はなくなってしまうんです。
 これぐらいの地域格差がどんどん広がっている中で、教育コストの負担というのが地方にとって特に重くのしかかってくる。だからこそ、文部大臣も猪口大臣もしっかりと、この教育予算、特に公教育については国がしっかり責任を持つという方向を打ち出すべき。地方分権だから何でもかんでも、それに乗じて教育負担も地方の自治体に押しつけようと。豊かな地方をつくってくれる小泉内閣ならともかく、所得格差をどんどん広げている状態においては、これは危険な思想だということを申し上げざるを得ません。
 大変残念ですけれども、私の時間が終了しましたので、後は同僚の山田委員に譲りたいと思います。