公明党(2007年1〜6月)


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審議尽くした上で採決 イラク、教育の両法案 首相の主導で仕上げる こば参院幹事長

公明党のこば健太郎参院幹事長(参院選予定候補=比例区)は19日、国会内で記者団の質問に答え、同日のイラク復興支援特別措置法改正案と教育改革関連法案の委員会採決が、いずれも野党議員の妨害で混乱したことについて、「委員長の判断として、それぞれ採決に踏み切った。審議を尽くした上での採決だと認識している」と述べ、採決に瑕疵はなかったと強調した。

その上で、「(委員会採決は)少しさざ波が立ったが、きちんとした形で上がったと思っている。本会議は手続きに基づいて粛々とやる」と述べた。

また、こば参院幹事長は「イラク特措法は外交案件の極めて重要な課題、教育関連法は教育基本法を仕上げた後の大事な課題。この二つを(安倍首相の)リーダーシップのもとに仕上げることができたことは首相にとってプラスだろうし、与党にとっても大きなプラスになるだろうと判断している」と述べた。

公明新聞 2007年6月20日

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教育改革関連法案 教員の意欲と能力育てよう 子どもと向き合える環境づくりを 参院で審議入り

小・中学校に副校長などのポストを新設し教員の事務負担を軽減する一方、教員免許に10年ごとの更新制を導入し講習を義務付けるなどの教育改革関連3法案が18日、衆院本会議で可決され、昨日21日から参院での審議が始まった。

昨年(2006年)改正された教育基本法の理念を具体化する第一歩となる。時代の要請に即した教育を可能とするため、教員には常に一定の能力と新しい知識や技能が求められる。教員の意欲と能力を育てる仕組みづくりが始まったとも言える。

残念ながら一部には、子どもたちと接するのに問題のある教員がいる。しかし、大半の教員が情熱と子どもたちへの愛情を持って日々、教壇に立っているのも間違いのない事実である。そうした教員が存分に能力を発揮できるよう、教員が子どもたちとじっくり向き合うことができる環境を整える努力が、国・地方自治体に求められていることを改めて強調したい。

参院での審議が始まった3法案のうち学校教育法改正案では、学校運営体制充実のため幼稚園、小・中学校に校長を補佐する副校長、主幹教諭を、さらに教員に指導・助言を行う指導教諭を設置。教員の事務負担を軽減するとともに、優秀な教員の待遇を改善する。また、改正された教育基本法に基づいて、生命と自然を尊重する精神を養うことなどが義務教育の目標として規定される。

教員免許法改正案では、教員の資質を一定水準以上に保つため10年ごとの「教員免許更新制」を導入、30時間程度の「更新講習」を義務化する。併せて、教育専門家や医師、保護者の意見を聞いて、子どもたちへの指導が不適切な教員の「認定」を行い、指導改善研修を実施する制度も新設する。

地方教育行政法の改正では、都道府県・市区町村に設置されている教育委員会の体制を強化し責任体制を明確にする。このなかでは、重大な事案には国が一定の「指示」や「是正の要求」を行うことが明記され国の責務が明確化される。この点については、地方分権の流れに反する恐れもあることから、法的拘束力を持つ文部科学相の「指示」は子どもの生命にかかわる時に限り、その他は実行が地方自治体の裁量に任される「是正の要求」にとどめることで、その懸念を払しょくしている。また、私立学校について都道府県知事が助言を教育委員会に求める際には、学校の自主性に十分な配慮を行うことを付帯決議や改正後の施行通達で担保する。

法案検討・審議の過程で公明党は地方分権、私学の自主性の尊重や、教員が子どもたちと向き合える時間の確保などを主張し、それらは各所に盛り込まれた。「子どもにとって最大の教育環境は教員」との考えから、教員定数や教育予算の一層の充実を求める公明党の主張は、付帯決議に盛り込まれるとともに、委員会で安倍晋三首相も「必要な財源は必ず確保する」と答弁した。

地域との連携も
教員の充実が質量ともに求められるのは今後、学校が保護者や地域との連携を強めることが教育再生に欠かせないからでもある。教員が、学校という閉ざされた空間の特殊な存在であることは、もはや許されない。学校と教員が「開かれた」存在であるために、私たち地域住民も、学校のあり方に理解と関心を深めたい。それが、子どもたちの健全な成長を促すことにつながるのではないだろうか。

公明新聞 2007年5月22日

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時代に即した教育へ 教育関連法案 「生命尊重」を目標に規定 基本法を具体化 教員の“質”確保も取り組む

今国会の重要法案である教育改革関連法案の審議が進められています。昨年改正された教育基本法を具体化し、新しい時代に即した制度への改革を進める関連法案について解説します。

私学の自主性など 公明、現場の声を主張
学校教育を中心とする現行の教育制度は、戦後、教育の普及という面で大きな役割を果たしました。一方で、近年では不登校や引きこもりの増加、いじめや未履修問題なども明らかになり、現行の教育制度について、「子どもが成熟していくためのシステムが機能していないのではないか」との指摘もなされています。

こうしたことから、新しい時代に即した教育制度への改革を進めるため、昨年、教育基本法が改正され、その下に位置付けられる30を超える法律の見直しが始まりました。今国会では、学校教育法、教育職員免許法(及び教育公務員特例法)、地方教育行政法の改正案が提出され、現在、審議が進められています。

学校教育法改正案では、学校の運営体制を充実させるため、校長を補佐する副校長や、校務の整理に当たる主幹教諭などの新しい職を新設します。これにより優秀な教員の待遇改善や、子どもと接する時間を増やすため、教員の事務負担の軽減を進めます。また、改正された教育基本法を踏まえ「生命尊重」の精神を育むことなどを義務教育の目標として規定しています。

教員免許法改正案では、子どもにとって最大の教育環境となる教員に、常に一定水準以上の資質能力を保ってもらうため、10年ごとの「教員免許更新制」を導入します。一方で、一部とはいえ、教育・指導が不適切な教員の存在が指摘されていることもあり、「指導が不適切な教員」の認定を行い、指導改善研修を実施します。

地方教育行政法改正案では、昨年のいじめや未履修問題での教育委員会の不適切な対応を踏まえ、教育委員会の充実と責任体制の明確化を図ります。さらに、私立学校を所管する知事に教育委員会が助言できるようにするほか、子どもの生命にかかわる緊急時には、教育委員会に対して、国が一定の関与ができるようになります。

ただし、国の関与については、過度の権限強化や、地方分権の流れに逆行することを懸念する意見が教育現場や自治体に根強くありました。こうした点を踏まえ、いじめによる自殺など「生命や身体にかかわる緊急時」には、文部科学相は法的拘束力を伴う「指示」ができるようになりますが、未履修問題など「子どもの学ぶ権利が侵害」されている場合は、具体策は自治体の裁量となる「是正の要求」に留め、過度の関与の懸念は払しょくされました。

さらに、公明党は、公立学校と違い、多様な教育機会を提供する私立学校の自主性に十分な配慮を要請。この結果、自民、公明の与党両党は、法案の了承に当たって、教育委員会の私学に関する知事への助言について、「知事は具体的な運用に当たっては私学と協議し、教委は、知事に助言・援助を行う際、私学の自主性を尊重する」ことなどを確認。こうした与党の合意事項は、法案の付帯決議や改正法の施行通達などを通し制度的に担保されます。

今回の法改正にあたり、公明党は、現場の声を最大限尊重するよう強く要望。副校長などの新設に伴う教員の事務負担軽減や、私学、地方分権への配慮を一貫して主張してきました。

また、公明党は3月6日に「緊急提言・現場からの教育改革」を発表し、いじめ、不登校、公教育の充実など教育現場が直面する声を聞き、まとめた具体策を提言。その中から教員が子どもと触れ合う時間の確保などが法案に反映されています。

教育改革関連法案のポイント

○学校教育法改正案

 ・副校長など新設

 ・教員の事務負担を軽減

○教員免許法改正案

 ・10年の更新制

 ・教員の質を一定の水準確保

○地方教育行政法改正案

 ・教委の責任明確化

 ・地方、私学の自主性に配慮

公明新聞 2007年5月17日

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憲法記念日 問題意識深める論議を “60年の重み”正しく評価すべき

10年かけ慎重に議論
1997年の憲法施行50周年から施行60周年のきょうまで、日本国憲法はこの10年間、国会の中でかつてないほど活発な議論の対象になってきた。

護憲論・改憲論がそのまま左右両勢力のイデオロギーの柱となり、国会での与野党激突を招いてきた時代に比べると、この10年間の憲法論議は落ち着いた環境の中で真摯に進められたといえる。

今、進められている憲法論議は97年の超党派(共産、社民党を除く)による憲法調査委員会設置推進議員連盟の結成から本格化した。99年2月に公明、自民、民主、自由(当時)、改革クラブ(当時)の5党間で(1)議案提出権のない調査会にする(2)今後、議院運営委員会などで協議する――ことで合意。その後、必要な協議を経た上で法整備が行われ、2000年1月から両院に憲法調査会が設置された。両院の調査会は05年4月、それぞれ報告書を公表している。

いきなり改憲案を持ち出すのではなく、問題意識を深める議論を先行させた理由は、国会での憲法論議さえ憲法改悪の道につながるとするかたくなな意見に配慮した結果だ。現在、国会では憲法改正手続きを定める国民投票法案が衆院を通過し参院で審議されているが、法案が成立し両院に憲法審査会が設置されても、公明党の主張によってさらに3年間は憲法改正原案を提出、審査できない凍結期間が設けられている。その目的は、この間に再度、憲法改正が必要かどうかを議論することにある。

憲法論議の進め方としてこれほど慎重なプロセスを取ってもなお「改悪につながる」と憲法論議を阻もうとする意見が一部にあることは残念だ。しかも、憲法論議→9条改悪→戦争参加とつなげ、自分たちの「護憲」以外はすべて「反平和勢力」だと言わんばかりの姿勢はあまりに一方的にすぎる。

15年前の92年6月、日本は国連平和維持活動(PKO)協力法案をめぐって国論を二分する状況になっていた。今では自衛隊のPKO参加は、海外での武力行使を禁じた憲法9条に反しない国際平和協力として広く国民の理解を得ているが、当時、野党第1党の社会党(現・社民党)は「違憲である自衛隊の海外派兵」と猛反対した。ところが94年に社会党が政権に入るや、あっさり自衛隊を合憲とし、PKO派遣も進めた。ほんの2年前に「憲法違反の法案を通すなら抗議として議員を辞職する」と息巻いた党であるにもかかわらずだ。こうした不誠実な憲法論議は二度と再び行われるべきではない。

今後、9条も議論の対象となる。公明党も「加憲の対象として議論を継続中」(太田昭宏代表=2日、東京の街頭演説会)だが、これまで守ってきた平和主義を21世紀の国際社会の中で、どう確立していくかをテーマにしている。

大切な漸進的態度
一方に、自衛隊を個別的・集団的自衛権行使が可能な軍隊とし国際平和のために積極的に行動させることを望む意見があり、その対極には自衛隊違憲論がある。どちらも施行60年の重みに思慮を巡らすべきだろう。武力行使は自国防衛に限定し海外での行使は認めない「専守防衛」を貫き、その上で国際平和協力は他国の武力行使と一体とならない範囲で実施――という抑制的な活動を通して積み上げてきた日本の国際的信用をじっくり見つめる必要がある。憲法に向き合う時、歴史を見据えた漸進的な態度をもつことが大切だ。

公明新聞 2007年5月3日

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道徳教育の教科化に反対=太田公明代表

公明党の太田昭宏代表は27日午前の記者会見で、政府の教育再生会議が道徳教育の正式な教科化を検討していることについて、「どのような意義があるのか分からない。個人として反対だ」と表明した。

太田氏は「人の心を豊かにすることは大事だが、1つの価値観を押し付けるようなことはあってはならない」と強調した。

また、太田氏は憲法解釈で禁じている集団的自衛権の行使について「現在の政府の憲法解釈をあくまでしっかりと守っていくべきだ」と述べ、解釈の見直しに反対する考えを示した。(了)

時事通信 2007年4月27日

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教育基本法 そこが聞きたい

1947年の施行以来、初めて全面的に改正された教育基本法が2006年12月に施行され、同法に基づいて現在、学校教育法など教育関連法の見直しが進められています。そこで改めて、旧法の理念を堅持しつつ、新たな時代に必要な条文を盛り込んだ教育基本法についてまとめました。

なぜ改正したのか
新時代に即応した法律に

教育現場が直面する時代の変化に対応するためです。旧法が制定された47年当時に比べ、高校や大学への進学率は飛躍的に上昇しています。さらに、不登校や学級崩壊、児童虐待、ニート(若年無業者)・フリーターの増加など、青少年を取り巻く社会環境と教育現場が大きく変わったため、新時代に即応した教育基本法をめざし、全面的に見直されました。

最大の特徴は
理念堅持し8条文を追加

新しい教育基本法の最大の特徴は、「個人の尊厳」や「人格の完成」など旧法の骨格となる理念は堅持しつつ、時代の変化に対応した新しい項目を盛り込んだことです。

具体的には、「生涯学習の理念」「大学」「私立学校」「教員」「家庭教育」「幼児期の教育」「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力」「教育振興基本計画」――の八つの条文が盛り込まれました。大学の位置付けを明確にしたほか、家庭教育においては、父母の第一義的責任を明記し、国や地方自治体は、家庭教育の支援に努めるよう規定しています。また、「教育の目標」の条文では、「生命尊重」や「自然や環境との共生」といった概念が反映されています。

理念を定めた基本法として、今後の教育改革に十分対応できるものです。

国の管理が強化されないか
「愛国心」評価せず 政治的中立性を確保

焦点の愛国心については、国会審議を通して、「内心の自由にかかわって評価するものではない」(安倍晋三首相)、「小学生に対して愛国心があるかどうか、そんな評価は必要ない」(小泉純一郎前首相)など、その評価の在り方をめぐる明確な方針が示されています。

また、教育行政については、戦前の軍部政府による介入を教訓に旧法にうたわれた「不当な支配に服することなく」との文言も引き続き定められています。

さらに、閣僚や首長の教育へのかかわり方についても「選挙で選ばれており政党のイズム(主義)を持っているので、教育委員会制度は、やはり置いておかなければいけない」(伊吹文明文部科学相)として、教育に対する政治の中立性は保たれます。

今後は、どうなるのか
進行計画に明確な目標 個別法で教育再生推進

今後の焦点の一つが、基本法に新たに盛り込まれた「教育振興基本計画」の策定です。これは、5年程度の計画期間で、例えば「客観的な指標に基づく世界水準の英語力」など具体的な政策やその数値目標を示し、教育行政に“骨太”の方針を打ち出すものです。生涯学習や幼児期の教育なども含め、教育全般に関する明確な展望が示されます。

また、学校教育法など、基本法の下に位置付けられる30を超える個別法を見直し、教育再生の具体化を進めます。国会審議を通して、教育委員会は、政治的中立性確保のため、存続させる方針は確認されましたが、一方で、形骸化も指摘されており、活性化に向けた法改正を行います。このほか、いじめや必修科目未履修問題など、教育現場が直面する課題についても、検討が進められています。

公明の取り組みは
国家主義の懸念を払しょく 完成度の高い法律に

公明党は、基本法が戦前の国家主義を想起させる内容にならないよう、法案提出までに3年70回に及ぶ与党協議会などを通して、強く主張し続けました。教育について、国民の間にはさまざまな考え方があります。例えば、愛国心といっても、自己犠牲を求めるような愛国心を主張する意見もあれば、基本法に盛り込むこと自体に反対する声もありました。公明党の主張を受け、愛国心の表記については、誰もが容認できる「郷土愛」を基調とし、国際社会への広がりを持った表現に仕上げ、国家主義の懸念を払しょくしました。

また、大きな議論になった「宗教教育」についても、一般的な教養を教えるにとどめました。憲法に抵触する恐れのない、幅広い意見を最大限尊重した内容になっています。

教育基本法は、できるだけ多くの人たちが納得できるよう全条文に配慮が行き届いており、「公明党が与党にいたからこそできた、完成度が高い」(斉藤鉄夫・党政務調査会長)ものです。

公明新聞 2007年3月22日

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現場の視点で教育改革 公明党が緊急提言 レスキュー隊設置など具体策

公明党の教育改革推進本部(本部長=浜四津敏子代表代行)は6日、いじめや不登校対策などを柱とする「緊急提言・現場からの教育改革」を発表しました。提言の背景やポイントを浜四津本部長に聞きました。

格差、親の問題やいじめ、不登校の解決めざす
区民運動として幅広く展開へ

――『現場からの教育改革』とは。

浜四津本部長 「教育改革」「教育再生」といっても、現場が直面している課題は、さまざまです。中長期的に取り組むべき課題もありますが、今、最も悩み、悲鳴のような叫びを発している子どもたちや保護者、教員の方々への支援は待ったなしの課題です。その意味で、「現場から」「子どもの幸せのため」との視点で、緊急に取り組むべき課題について、具体的な提言を取りまとめ、発表しました。

――なぜ、今、発表したのですか。

浜四津 昨年(2006年)、いじめやいじめ自殺、未履修問題などの問題が明らかになり、多くの方々が、教育や子どもの未来に対する不安を強くされています。また、今年1月には、政府の教育再生会議の第1次報告書が発表され、政府による関連法の改正も議論されています。このような中で、「現場の視点」を国や地方自治体の施策に反映させるために、提言を発表しました。

 党の教育改革推進本部として、教員や保護者、子どもたちとの懇談や先進的な自治体、学校の視察を精力的に行いました。その中で、最も要望が多く、緊急の課題として集約したのが「いじめ、不登校、親、格差」の四つです。

――いじめ対策で特に訴えることは何ですか。

浜四津 まずは、「いじめレスキュー隊」の設置です。川崎市や兵庫県川西市では、子どもたちの問題を解決するための第三者機関として「オンブズパーソン」を設置して、成果を挙げています。学校の中だけ、また学校と教育委員会、保護者だけで、いじめの解決に努力しても、関係者にしこりが残り、なかなか思うような解決に至らないのも現実です。そこで「いじめられた」「いじめに気づいた」時に、誰でも安心して相談でき、公平に当事者の話を聞いた上で、最後まで子どもに寄り添って問題解決に力を発揮する「第三者」が必要と考え、レスキュー隊設置を提案しました。

また、深刻ないじめに発展する前には、必ず何らかのサインがあります。何がそのサインに当たるのか総点検し、多くの人に知ってもらうことが、いじめの早期発見、未然防止につながります。また、教員が子どもに向き合う時間を確保するため、ボランティアや事務職の増員で教員の事務も減らしていきます。

――不登校問題では。

浜四津 不登校の原因は、いじめや授業についていけない、友達がいないなどさまざまで、きめ細かい支援が必要です。滋賀県では、教職をめざす大学生を学校に派遣するメンタルフレンド制度を実施しています。学生ボランティアによる「気軽に何でも相談できる」お兄さん、お姉さんの存在は、子どもたちの心の拠りどころとなり、また、教員と子どもを結ぶ懸け橋として不登校の防止に役立っています。ぜひ、全国的に広めていくべきです。また、授業に苦手意識のある子どもに対しては、放課後子ども教室や土曜スクールでの1対1の学習指導などを進めていきます。

――親教育では。

浜四津 カナダでは、「親教育プログラム」が大きな効果を挙げています。これは、子育て真っ最中の「パパ・ママ」が集まって、日常の具体的な悩み、課題を相談したり、また専門家から助言を受けたりする中で、「親としてどうすればいいか」を身に付けていくものです。日本でも核家族化や、地域関係の希薄化を背景に、多くの保護者が「子どもにどう接すればいいか分からない」「相談できるところがない」などの不安を抱いておられます。この「親教育プログラム」を普及させたいと思います。

「格差」では、教育機会均等のために公教育の充実、教育費の負担軽減に取り組みます。

――今後の取り組みは。

浜四津 提言の実現に向け、地方議員と国会議員が一体となって、国や地方議会での提言、運動を進めていくとともに、NPO(民間非営利団体)など民間の取り組みの応援や、党員さんとも連携し、国民運動として広がりのある取り組みをしていきます。

――政府も教育再生の議論を進めています。その取り組みとの関係は。

浜四津 「現場からの教育改革」は、「現場第一主義」に徹してきた公明党だからこそできる改革です。先日、私たちの教育提言を政府に申し入れました。官房長官は、「この提言を大いに参考にするよう教育再生会議や安倍晋三首相に話す」と言っていました。しっかりと提言の内容を今後の施策や法改正に反映させていきます。

公明新聞 2007年3月13日

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問題解決へ具体策

緊急提言は、問題に直面する教育・生活現場の声を精力的に聞き、まとめられた。公明党の太田昭宏代表と教育改革推進本部の浜四津敏子本部長(代表代行)は6日、「緊急提言・現場からの教育改革―希望が持てる教育へ」を発表した。いじめや不登校、教育格差など、教育をめぐって諸問題が噴出するなか、調査活動と議論を丹念に積み重ね、公明党として解決への具体策を示した。

提言の柱は、(1)「いじめ」に立ち向かう強い絆づくり(2)不登校をつくらない「安心サポート」体制(3)「パパママ・スクール」の推進(4)教育の機会均等のための公教育の充実――の四つ。このほか、教員養成の見直しや教員免許更新制の導入、学習内容の在り方について公明党の考え方を示している。

昨秋、学校内のいじめが原因とされる生徒・児童の自殺が相次いで明らかになり、対策の必要性が改めて叫ばれた。これを受けて各種の対策が進みつつあるが、根絶への道のりは険しい状況にある。提言では、「いじめの連鎖」を断ち切るには、強い意志と人間同士の“絆”を結び付けることが必要だと強調。子どものSOSに瞬時に対応する、第三者機関による「いじめレスキュー隊」(仮称)の設置や、いじめの予兆を早期発見する仕組みづくり、子どもと触れ合う時間を確保するための教員の事務作業の削減などを提案した。

また、不登校問題の解決には、子どもが安心できる居場所づくりが欠かせないとして、「ほっとステーション」(仮称)の設置や、家庭や学校に不登校児らの相談相手を派遣する「メンタルフレンド制度」の普及、学業不安を解消するための「放課後子ども教室」「土曜スクール」の実施を挙げ、子どもたちのサポート体制づくりに直ちに取り組むよう求めた。

このほか、核家族化が進むなかで育児の仕方がまったく分からない親が増えていると指摘。「親へと育つ」環境を早急に整えることや、子どもたちに多様な学習機会を保障するため、教育費の負担軽減を図るよう提案している。

今回の提言は、昨年(2006年)11月からの党教育改革推進本部による子どもや教師との意見交換、積極的にいじめ対策に取り組む自治体の視察、地方議員からの意見聴取などを踏まえ、「苦しんでいる人にどう対応するかに焦点を当てて取りまとめた」(浜四津本部長)ものだ。それだけに対策は緊急性の高いものに絞られている。成功事例として、川崎市やNPO法人などの取り組みも提示している。

昨今の教育をめぐる混乱は、きのうきょうに始まったものではない。いじめや不登校、学力低下などの問題はかねてから存在しており、表面化するたびに対策が講じられてきた。「的確な分析がなされないままに“対症療法”だけが組み合わされてきた」との厳しい指摘もある。親、教師、そして大人が子どもたちともっと向き合うべきであろう。今、目の前にいる子どもたちの思いを、そして息づかいを目で耳で、五感をフルに使って感じ取っていく。そのための環境づくりが欠かせない。

首相あてに申し入れ

公明党は提言発表の当日、安倍晋三首相にあてて緊急対策を講じるよう申し入れた。今後は現場で効果を挙げている取り組みを自治体などに政策提言するとともに、運動論として展開する方針。現場からの改革、子どものための改革を前進させる必要がある。

公明新聞 2007年3月9日

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教委へ指示は慎重に 教育関連3法の改正で議論 党文科部会

公明党の文部科学部会(西博義部会長=衆院議員)は7日、衆院第1議員会館で会合を開き、地方教育行政法など教育関連3法の改正をめぐる中教審(中央教育審議会)の審議状況について、文科省と意見を交わした。

席上、文科省は、3日の中教審の内容について報告。地教行法の改正に関して、私学に関する首長の事務を首長の求めに応じて教育委員会ができるようにするとの方針について、あくまで首長が現在も関与している範囲に限るもので、権限を拡大するものではないと説明。出席議員からは「私学の独自性を考えると、関与すべきではない」との意見が出た。

また、出席議員から、文科相の教育委員会への是正指示について、「地方自治法では、自治事務に関する是正の指示ができるのは、国民の生命にかかわる場合など非常に限られている」との指摘が出され、慎重な対応を求める意見が出た。

公明新聞 2007年3月8日

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緊急提言 現場からの教育改革

2007年3月8日

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緊急提言 現場からの教育改革(概要版)

公明党は「人格の完成」「子どもの幸福」を教育の目的としこれまで、「読み聞かせ運動」や「朝の10分間読書運動」など具体的な運動を展開し、未来を担う子どもの教育に大きく寄与してきました。

今般、「いじめ問題」や「不登校問題」をはじめ「教育格差」に至るまで教育現場や生活現場からの悲痛な「叫び」を真摯に受け止め、「悲嘆を希望へ」と転換してきた公明党として問題解決の一助となる緊急提言をまとめました。

今後は、政策の実現と現場での取り組みを後押しする運動として展開してまいります。

提言1
「いじめ」に立ち向かう強い絆づくり

深刻化するいじめ問題。断ち切れない「いじめの連鎖」。このような状況を打開するためには、いじめを根絶するとの強い意志を持ちながら、人間同士の「絆」を結び付けていくしかありません。

1、SOSに緊急に対応する「いじめレスキュー隊」(仮称)の設置

2、「いじめサイン」総点検で早期発見、未然防止

3、教員の事務作業を削減し、教師と子どもが「触れ合う時間」を確保

4、「君を守り隊」など、生徒たちの自発的取り組みを応援

提言2
不登校をつくらない「安心サポート」体制

不登校問題を解決するには、子ども同士の人間関係づくりを応援するとともに、子どもが学校のほかにも学べる場所を選べるような環境づくり、居場所づくりが欠かせません。

1、子どもが安心できる「ほっとステーション」(仮称)づくり――フリースクール等との連携・協力

2、何でも話せる「お兄さん、お姉さん」の派遣――「メンタルフレンド制度」の普及

3、「放課後子ども教室」や「土曜スクール」で授業をサポート

提言3
「パパママ・スクール」の推進

核家族化がすすむ中で、育児の仕方などをまったく知らない親が増え、子育てへの不安が大きくなっています。子どもをめぐる問題を解決するためにも、親になるための応援・準備体制を整えることが重要です。

1、「パパママ・スクール」(仮称)の推進――「親教育プログラム」の普及

2、保育所・幼稚園を活用した育児相談の拡充

3、「ふれあい育児体験」の取り組み――体験学習の中で育児体験を推進

提言4
教育の機会均等のために公教育を充実

所得の違いが教育の機会に格差を生んでいるとの不安があります。このような不安を解消し教育の機会を平等にするためには、公教育を充実させることが重要です。

1、放課後や土曜日を活用した学習機会の拡充

2、教育費の負担軽減――きめ細かに家庭の教育費負担を軽減

その他
その他の諸問題に対する公明党の考え方

1、教員の資質向上――教員の養成・採用・評価・研修など総合的な制度見直し

2、学校の活性化――学校教育法の大綱的な見直しと学校長の権限強化、など

公明新聞 2007年3月7日

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いじめ、不登校に具体策 パパママ・スクールやレスキュー隊設置など 党推進本部、首相にも要請

公明党の太田昭宏代表と教育改革推進本部の浜四津敏子本部長(代表代行)らは6日、衆院第1議員会館で記者会見を開き、同推進本部がまとめた「緊急提言・現場からの教育改革――希望が持てる教育へ――」を発表した。会見には太田代表、浜四津本部長のほか、斉藤鉄夫政務調査会長、山口なつお政調会長代理(参院選予定候補=東京選挙区)、西博義文部科学部会長が同席した。

提言の概要

提言は、同推進本部として、いじめや不登校、教育格差など教育・生活現場の直面する声を精力的に聞き、まとめられた。対策の柱は、(1)「いじめ」に立ち向かう強い絆づくり(2)不登校をつくらない「安心サポート」体制(3)「パパママ・スクール」の推進(4)教育の機会均等のために公教育を充実――の四つ。さらに、教員の資質向上、学校活性化などの諸問題に対する公明党の考え方を別項目で示している。

いじめ対策では、いじめの連鎖を断ち切るには、強い意志と人間同士の“絆”を結び付けることが必要だと強調。子どもたちのSOSに瞬時に対応するため、「いじめレスキュー隊」(仮称)の設置や、いじめの予兆を早期発見する仕組み、子どもと触れ合う時間を確保するための教員への事務作業の思い切った削減などを提案している。

このほか、学生OBらが不登校児らの相談相手となる「メンタルフレンド制度」の普及、育児の仕方など“親”になることを応援する態勢、教育費負担の軽減などを提案している。

会見の席上、太田代表は、「教育改革は現場から前進させることが重要だ」と強調した上で、教育関連3法案と提言の関係については、「社会総がかりの教育再生という大きな動きの一部が法律として議論されていると認識している。教育改革はもう少し幅広い、大きな課題だ」との考えを示した。

浜四津本部長は、「机上の議論ではなく、教育現場から細かく声を聞き、苦しんでいる人にどう対処するかに焦点を当てて取りまとめた」と力説。学生ボランティアによる不登校児への支援などについて、「現場で効果を挙げているものを国や自治体に提言するとともに、ネットワーク政党として全国に運動論としても展開していきたい」と述べた。

記者会見後、浜四津本部長と斉藤、西両氏は、首相官邸に塩崎恭久官房長官を訪ね、安倍晋三首相あてに、提言の内容を踏まえ緊急の対策を講じるよう申し入れた。

塩崎官房長官は、特に、いじめレスキュー隊やパパママ・スクールの具体的な在り方に関心を示し、「公明党の提言はいつも具体的だ」と述べ、首相、政府の教育再生会議にしっかりと伝えると応じた。

<緊急提言の骨子>

(1)「いじめ」に立ち向かう
1.「いじめレスキュー隊」を設置
2.総点検で早期発見、未然防止
3.教員が子どもと触れ合う時間確保
4.生徒たちの自発的取り組みを応援

(2)不登校をつくらない
1.「ほっとステーション」づくり
2.何でも話せるメンタルフレンド
3.放課後子ども教室などでサポート

(3)親の応援体制
1.「親教育プログラム」の普及
2.育児相談の拡充
3.体験学習で育児体験を推進

(4)公教育の充実
1.土曜活用など学習機会の拡充
2.教育費の負担を軽減

公明新聞 2007年3月7日

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現実的な教委改革へ 国民投票法案 自公民で今国会成立期す 記者会見で太田代表

公明党の太田昭宏代表は22日午後、国会内で記者会見し、政府が通常国会への提出をめざしている、教育委員会のあり方を定める地方教育行政法改正案をめぐる論議や、憲法改正手続きを定める国民投票法案などについて見解を述べた。

この中で、太田代表は、地方教育行政法の改正に関して、文部科学相が教育委員会に是正勧告や指示ができるよう国の関与を強めるべきだとする政府の教育再生会議の提案をめぐって、文科相の諮問機関・中央教育審議会(中教審)で意見が対立していることに言及。「『国は教育に強く関与すべきだ』『教育は国家から自由であるべきだ』というイデオロギー論争にしない方がいい」との認識を示した。

その上で、「多くの人が(持っている)『教委のあり方については、何らかの検討が必要』という問題意識は共通だ」と指摘。「現実的な対応をすることが大事だ。きめ細かい論議が必要との印象だ」と述べた。

また、国民投票法案について、「あくまで自民、公明、民主の3党で、今国会成立を期すよう粘り強く進めてもらいたい」と強調するとともに、「何がなんでも、(与党が成立をめざす)5月3日(の憲法記念日)までというわけではない」との考えを示した。

さらに、従軍慰安婦問題への旧日本軍の関与を公式に認めた93年の「河野官房長官談話」の見直しを求める動きがあることに関して「(公明党は)『河野談話』を認めている」と述べた。

公明新聞 2007年2月23日

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慎重論大勢 教育委員会への国の権限強化ついて

公明党は22日、教育改革推進本部などの合同会議を開き、文部科学省が中央教育審議会に示した教育関連3法の改正の方向性について協議した。政府の教育再生会議も提唱している地方の教育委員会に対する国の権限強化について「こんな簡単な議論で国の関与を強めていいのか」など慎重論が大勢を占めた。

毎日新聞 2007年2月22日 22:49

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提言と緊急対応 学力向上へ脱「ゆとり教育」 教員免許の更新制度を導入

政府の教育再生会議は先月(1月)24日、学力低下やいじめ対策などを盛り込んだ第1次報告をまとめ、安倍晋三首相に提出した。これを受け今国会への教育関連3法案の提出に向けた作業も進められている。同報告のポイントを解説するとともに、教育再生の視点について、公明党教育改革推進本部長の浜四津敏子代表代行と、委員として教育再生会議の議論に加わったkt山英男立命館小学校副校長に聞いた。

「社会総がかりで教育再生を―公教育再生への第一歩」と題する教育再生会議の第1次報告は、学力低下や高校の必修科目の未履修、いじめ、不登校問題などを踏まえ、教育の現状を「公教育の機能不全」と指摘。その再生の第一歩として、義務教育を中心とする初等中等教育に焦点を絞って、「7つの提言」と「4つの緊急対応」を示した。

提言ではまず、子どもたちの学力向上を図るため「ゆとり教育」の見直しを明記。具体策として学習指導要領を早期に改訂し、(1)授業時間数を10%増加(2)基礎・基本の反復・徹底と応用力の育成(3)薄すぎる教科書の改善(4)土曜日補習の実施――などを挙げた。

「ゆとり教育」は、近年の度重なる学習指導要領の改訂で導入が図られてきた。かつての「詰め込み教育」の反省から実施されてきたものだが、その結果、学習内容や授業時間が大きく削減された。現場関係者からはその弊害がかねてから指摘されており、提言でも「国民に学力低下の不安が拡がっている」として、指導要領の改訂などを早急に行うよう求めている。

いじめ対策では、いじめ相談体制の抜本的拡充や、暴力行為を繰り返す子どもに対する出席停止制度の活用、教員が毅然とした指導ができるよう体罰の規定の見直しを挙げた。

また、「不適格教員」を排除するため教員免許法を改正し、教員免許の更新制度を導入するよう提言。10年ごとに30時間の講習受講のみで更新するような方法ではなく、「メリハリのある講習」など厳格に修了認定を行う仕組みを求めた。

廃止論も出ていた教育委員会については、教育委員会での議論や学校における問題の情報公開の徹底、住民、議会による検証、権限の見直しなどの改革案が示された。当面の取り組みとして、第三者による教育委員会の外部評価制度の導入を挙げている。

さらに高校での奉仕活動の必修化や学校への外部評価の導入、副校長、主幹職の新設とともに、家庭、地域、企業も加わった社会総がかりで教育にあたるよう求めている。また教育再生のための緊急対応としては、教員免許法、地方教育行政法、学校教育法の改正など4項目を挙げた。

第1次報告のポイント

<7つの提言>
▼ゆとり教育を見直し、授業時数を10%増加
→学習指導要領の改訂
▼いじめ相談体制の抜本拡充。いじめを繰り返す子どもに出席停止措置
▼高校での奉仕活動の必修化
▼教員に社会人経験者を積極採用。教員免許に更新性導入
→教員免許法改正
▼第三者機関による学校の外部評価の導入。副校長、主幹職を新設
→学校教育法改正
▼教育委員会の外部評価制度を導入
→地方教育行政法改正
▼家庭、地域、企業が子どもの教育に当たる

<4つの緊急対応>
▼体罰に関する通知の見直し
▼教員免許法の改正(教員免許更新制導入)
▼地方教育行政法の改正(教育委員会改革)
▼学校教育法の改正(学習指導要領改訂など)

「社会総がかり」が焦点
公明、現場からの改革進める
浜四津 敏子 党代表代行、教育改革推進本部長

教育再生会議のメンバーに、首相、官房長官、文部科学相も参加されて、精力的に議論された上でまとめられた報告書を重く受け止めている。特に、報告書には「社会総がかりで」教育に取り組むとあるが、従来から公明党が主張してきたことであり、教育再生の柱になると考えている。

「ゆとり教育」の見直しもポイントの一つだ。本来、ゆとり教育は、知識偏重教育を転換し、子どもの人間力向上、学習意欲の向上を目指していたが、現実は学力低下と、「たるみ」と言われても否定できない状況になっている。学力低下の対策に何が必要か、授業時間を増やすだけでいいのか、十分に検討したい。

公明党はこれまで読書や体験活動を推進してきた。学力世界一のフィンランドでは詰め込み教育は行われていない。同国は世界一の読書国であり、また家族団らんを楽しめる働き方、地域全体で子どもを見守るなど総合的な教育環境を整えている。現場の教師から、「学力が伸びる子どもの共通点」は家庭で生活の基本がしっかりしつけられ、保護者や大人の愛情が十分に注がれ、情緒が安定しているとの指摘もある。

教育が目指す人間力の向上、真の学力向上のために、何をすべきか、各国での取り組みや現場の意見を参考に、推進本部として十分に検討し結論を出していく。今国会では教育3法が提出される予定だが、教育委員会のあり方など重要なポイントがある。内容について、与党として国会提出前に十分議論したい。

今国会は教育国会だ。議論すべきことは十分議論を尽くし、公明党は「現場からの教育改革」「子どものための教育改革」を前進させる。

公明新聞 2007年2月7日

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ゆとり教育 見直しの考え方明確に 政府再生会議の報告など議論 与党検討会

与党教育再生に関する検討会(大島理森座長=自民)は31日、衆院第1議員会館で会合を開き、政府教育再生会議の第1次報告と今国会にも提出される学校教育法改正案など関連3法案をめぐり、意見を交わした。公明党から、西博義文部科学部会長、伊藤渉衆院議員、山下栄一参院議員が出席した。

会合では、第1次報告に盛り込まれた「ゆとり教育」の見直しに関して、出席議員から、「『考える力』や『人間力』を育むなど、ゆとり教育が本来めざした理念に対する政府の考え方を明確にすべき」「ゆとり教育の見直しに際しても、理念のどこに、どのような問題があったのかを整理してから施策に反映させるべき」などの意見が出された。

今後、自民、公明の与党両党でそれぞれ関連3法案の議論を進め、今後の検討会については、検討過程で適宜必要に応じて開催することで一致した。

法案の提出にあたっては、検討会での議論と与党の幹事長、政務調査会長らで構成する協議会の了解を得て与党の承認とする方針。
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公明新聞 2007年2月1日

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党推進本部 改革のあり方で意見交換

党教育改革推進本部(本部長=浜四津敏子代表代行)は30日、参院議員会館で会合を開き、東京大学大学院の小川正人教授から「地方教育行政のあり方」と題する講演を聞き、意見交換を行った。

この中で、小川教授は、教育委員会制度が教育に関する権力・権限の均衡を図る目的で設置されたと説明し、「現在は過度の均衡が活動できない状況を生み出している」と指摘。

その上で、「責任の所在を明確にすることが必要ではないか」と述べ、(1)教育委員会と教育長の役割区分の明確化(2)教育委員会の運営の弾力化(3)教育専門職員の育成システムの構築――などを提案した。

浜四津本部長は、「講演を参考にしながら、2月中旬をめどに『現場からの教育改革』との具体的な提言を取りまとめていきたい」とあいさつした。

公明新聞 2007年1月31日

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安倍首相 教育関連3法の改正表明

政府の教育再生会議(野依良治座長)は24日午後、安倍晋三首相や伊吹文明文部科学相も出席して首相官邸で総会を開き、第1次報告を正式決定した。これを受け、首相は総会で「報告の実現に内閣を挙げて取り組む」と表明。その上で、教育職員免許、学校教育、地方教育行政の関連3法を挙げ「通常国会に改正案を提出するよう文科相に指示し、与党に(協力を)お願いしたい」と述べ、成立をめざす方針を示した。

1次報告では、学力低下の一因とされる「ゆとり教育」の見直しを打ち出すとともに、教育委員会の抜本改革に取り組むと明記。いじめ対策として、学校教育法が禁じる「体罰」の基準の見直しや出席停止制度の活用を提言した。再生会議は、政府の「骨太の方針」に反映させるため5月に第2次報告、年末には最終報告をそれぞれ策定する方針で、1次報告に盛り込んだ教育再生策のさらなる具体化に取り組む。

「社会総がかりで教育再生を―公教育再生への第一歩」と題する1次報告は、「基本的考え方」として、いじめや高校必修科目の未履修問題を踏まえ、現状を「公教育の機能不全」と指摘。七つの提言と四つの緊急対応から成る「当面の取り組み」を記すとともに、「今後の検討課題」を列挙した。

当面の取り組みでは、ゆとり教育見直しを明記し、具体策として(1)学習指導要領を早期に改定し、授業時間数を10%増加(2)薄すぎる教科書の改善(3)土曜日補習の実施――などを挙げた。

また、「不適格教員」を排除するため教育職員免許法を改正し、教員免許更新制を導入するよう求めた。高校での奉仕活動の必修化や、大学の9月入学普及なども盛り込んだ。

今後の検討課題には、学校週5日制や各自治体に教育委員会の設置を義務付けた規定の見直し、自由な学校選択を可能にする教育バウチャー制度の導入などを挙げた。

「社会総がかりの再生」評価
斉藤政調会長がコメント

公明党の斉藤鉄夫政務調査会長は24日、政府教育再生会議の第1次報告について、衆院第1議員会館内で記者団の質問に答え、次のような見解を示した。

一、(1次報告について)われわれは「教育のための社会」(の構築)を訴えてきた。(その意味で)“社会総がかりで教育再生を”という提言(の方向性)は評価したい。

一、(ゆとり教育について)「考える力を養う、人間力をつける」という、ゆとり教育が本来めざしたものは間違っていないと思う。(学力低下については)よく検証して議論を進めるべきだ。

一、(いじめ対策として出席停止制度を活用することについて)いじめは、いじめる側が百パーセント悪く、毅然たる態度で臨まないといけない。出席停止も方法の一つだが、どう具体化していくか。与党として教育の放棄にならない形で、きちんとした対応策を練る必要がある。

一、(法改正について)改正自体は賛成だが、中身については、与党として責任をもって一つずつ詰めていく必要がある。

公明新聞 2007年1月25日

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新春対談 教育再生へ人が輝く社会めざして

公明党代表 太田昭宏
教育再生会議担当室長 義家弘介

新年あけましておめでとうございます。新春対談は、“ヤンキー先生”こと、政府・教育再生会議担当室長の義家弘介さんと、公明党の太田昭宏代表の顔合わせです。いじめ問題など教育課題の解決へ奔走する義家さんと、「闘う人間主義」を掲げて改革に挑む太田代表に、子ども、家庭、地域をテーマに熱く語り合ってもらいました。

義家  「愛情の反対は無関心」と戒め。学校、家庭、地域で子ども守る
太田  いじめ解決のカギは周りの人。“人間の力”付ける教育が必要

太田昭宏代表 義家さんは、“ヤンキー先生”と呼ばれているんですが、子どもの時、いじめたことはあるんですか。

義家弘介氏 あります。と言っても“強い者いじめ”とでも言うのでしょうか。当時は強い者に向かっていくのが主流で、弱い者いじめは、最も恥ずかしい行為でした。

太田 いじめには、どんな対応が必要でしょう。

義家 いじめられた子どもに「声を上げなさい」と言うだけでは解決になりません。私は「5人組を作ろう」と呼び掛けています。5人が「いじめは嫌だ」って言えばなくなっていきます。

太田 それにカギを握るのは「周りで見ている人」ですね。「いじめられる人も悪い」は間違いです。いじめられる人に問題があるわけではありません。いじめた側が百パーセント悪い。

義家 加害者に対する教育が必要です。陰湿ないじめをした子が、明確な指導もなされないまま社会に出たらどうなるでしょうか。

太田 弱い者をいじめて、自分を正当化するような不誠実な人は、周りから信用されないでしょう。

義家 その子は社会で、いじめられることになります。加害者もまた大事な子どもです。いじめが、いかに悲しいことかを教えることが必要です。

太田 多くの社会の課題について議論すると、最後に「結局、一番大事なのは教育だね」となりがちです。私はまず教育改革を最初に論ずることが大切だと思います。「元気で未来を担っていこう」という希望を持った若者をつくることが、非常に大事だと思います。

義家 その通りですね。戦後教育は1割の優秀な子どもと、1割の問題を起こす子どもの両者にすごく手を掛けてきたと思います。

太田 義家さんは・・・・・・。

義家 私は問題を起こす側で(笑い)、大人にすごく手を掛けてもらいながら育てられたんです。

太田 今、思えば幸運だった(笑い)。

義家 多くの「普通の層」が、ある意味で放置されてきました。そこから、いじめや不登校などの問題が起こっている気がします。

太田 その子たちを、どう手塩にかけていくかですね。心を豊かにしたり、鍛えたり、養ったりしながら「人間の力」をどう付けていくかに、焦点を当てた教育が必要だと思います。

義家 以前、「愛情の反対は憎しみではなく、無関心である」というマザー・テレサの言葉に触れた時、衝撃を受けました。

太田 愛情こそ、人の心の奥底を突き動かすものですね。

義家 実は、そういう当たり前の教育現場を、どう取り戻すかが大きな課題です。高校生からメールが届きました。「うちの学校は、いじめや未履修問題で大変なのに、先生は自習にして“集会”に出ていて本当にがっかりした。なぜ僕らを残していくのか」と。

太田 一方で、子どもと真剣に向き合って頑張っている先生がつぶれそうになっています。教員のサポート(支援)体制も強化しなければなりません。

義家 今、インターネットや携帯電話などの普及で社会の情報がそのまま子どもたちに伝わっています。

太田 社会の教育環境が激変する中で、子どもがデリケートになっている。

義家 学校や教師、大人がどんな道徳を説いても「実際は違うよ」となってしまいます。

太田 その意味では、社会総掛かりの教育が不可欠ですね。

義家 学校だけを再生させても社会自体が当事者意識を持たないと、子どもたちを守ることは難しいと思います。

太田 家庭という視点では、「早寝、早起き、朝ごはん」も大事だと考えています。家庭では、「忘れ物はない?」といったひと言が、人間的なしつけにつながっていくのだと感じます。

義家 家庭での朝食の時間は大事です。家族で朝食を取りながら、お互いに心を向き合わせてほしい。子どもの心の声を聞くための「15分早起き運動」を提案したいですね。

太田 若者の問題として、フリーターやニート対策も重要です。

義家 彼らに埋まっている才能を考えると、財産の損失だと思います。私はやり直しをかけて闘ってきた人間ですが、再チャレンジは容易ではありません。

太田 それだけに、真剣に、本気で努力した分だけ報われる社会をつくるべきですね。

義家 政治は、子どもや若者の実態を、しっかりと見ることが大切です。そして、具体的にどうしていくのか、というビジョンを持ってもらいたいですね。

太田 確かに「現場」と「政策」、この両輪が同じように動かなければ前に進まない。私たちが“現場からの教育改革”を訴え続ける理由もここにあります。

義家 公明党の役割は大きいと思います。

太田 ありがとうございます。公明党は、どこまでも「現場第一主義」です。そこで分かったことに対し、具体的な「一手」を打っていきます。これが政策実現政党の責任です。

義家 教育再生には「問題が起こったら、この人に相談すればいい」と思える、前向きな学校や家庭、地域の存在が必要です。多くの人が安心できるように、ぜひとも公明党が牽引していってほしいと思います。

太田 ご期待にこたえられるよう頑張ります。“連立与党2期目”に入った公明党は、「人と地域が輝く人間主義の国づくり」を重点政策に掲げています。今年(2007年)は、4月に統一地方選、夏には参院選に挑みますが、政策を実現するため、この政治決戦の完勝をめざし、全力で戦います。

よしいえ・ひろゆき 政府の教育再生会議担当室長。横浜市教育委員会教育委員。東北福祉大学特任講師。中学時代から不良と呼ばれ、高校2年の春、退学処分。家から絶縁され、里親に引き取られる。その後、北星学園余市高校に編入、明治学院大学法学部卒。1999年同高校に社会科教師として赴任。その模様は「ヤンキー母校に帰る」としてテレビドラマ化される。

公明新聞 2007年1月1日

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