衆議院・教育再生特別委員会(2007年4月)


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教師の心の余裕奪う 免許更新制 参考人が批判 石井議員質問

衆院教育再生特別委員会は二十六日、教育三法案に関する参考人質疑を行いました。四人の参考人がおもに教員免許更新制について意見を述べました。

嶺井正也・専修大学教授(野党推薦)は、三月の中央教育審議会答申に教員の養成制度や職場環境の改善が大事であると書かれているが、「そういうものが考慮されずに免許更新制度が導入されようとしている」と指摘し、「学生が教職に魅力を感じなくなる制度だ」と教員免許法改定案に反対しました。

勝野正章・東京大学准教授(同)は「免許が更新されたからといって教師が尊敬と信頼を得られるものではない。更新制は教師から子どもたちとの交流の時間や心の余裕を奪っていく」と批判しました。

日本共産党の石井郁子議員は「国主導で免許更新講習や研修が行われると、教員に必要な資質・能力が画一的な方向になる懸念があるがどうか」と質問。高倉翔・明海大学長(与党推薦)は「講習が国主導で画一的ということになると、自主性・自律性がおかしくなる」と答えました。

また石井氏は、学校での成果主義や評価がどのように教員の仕事の性質を変えているのか尋ねました。勝野氏は「成果主義の中で、数値目標を立てると、単純に学力の点数や不登校の生徒を減らすことが目的となってくる。教育活動が本末転倒になる」と述べました。

しんぶん赤旗 2007年4月27日

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教育改革法案、来月9日に地方公聴会

衆院教育再生特別委員会は27日、政府が提出している教育改革関連3法案と民主党の対案に関する地方公聴会を5月9日に山形、福岡両市で開催すると決めた。野党側は追加の開催を求めており、与党側も応じる方向で検討している。

時事通信 2007年4月27日

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学校教育法改定案 文科相の基準で評価 石井議員 国の統制につながる

日本共産党の石井郁子議員は二十五日の衆院教育再生特別委員会で、学校教育法改定案が学校の評価を「文部科学大臣の定めで行う」と新たに規定している問題について、「国の学校統制につながる」と追及しました。

現在、学校の自己評価のために全国各地で「スクールマニフェスト」が作られています。茨城県のある市では、学力テストの正答率を「県平均より各教科5―10ポイントアップ」などの数値目標で自己評価、教員評価を行っています。埼玉県では「あいさつや身の回りの整とんができる」「元気に外遊びができる」などが何%の子どもができるか数値で評価しています。いまでも数値での学校評価が現場を縛っています。

学校教育法改定案は四二条で、「小学校は、文部科学大臣の定めるところにより当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行い…」としています。

石井氏は「文科大臣が定める基準で一律に評価するなら、各学校が達成目標を迫られることになる」と指摘し、「文科大臣の定める内容」を明らかにするよう迫りました。文科省の銭谷真美初等中等教育局長は「内容には『授業』も含まれる。評価項目・評価の基準は、法案審議後、政令・省令で決める」と答えました。

石井氏は「重要な中身であり、法案審議中に提出すべきだ」と追及。理事会で協議することになりました。

しんぶん赤旗 2007年4月26日

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受験企業誌に文科局長 石井議員指摘 学力テストの委託先

全国一斉学力テストの採点・回収などの業務を文部科学省から委託されている受験産業大手のベネッセコーポレーションが発行している雑誌『VIEW21』に、文科省の担当局長などが登場し、学力テストの意義などを語っている問題が、二十三日の衆院教育再生特別委員会で明らかになりました。日本共産党の石井郁子議員が指摘したものです。

登場しているのは、文科省の銭谷真美初等中等教育局長や学力調査室長の高口努氏、全国学力調査の「専門家検討会議」座長を務めた梶田叡一氏などです。学力テストを受託した企業の雑誌で、文科省の担当者がテストを宣伝している実態に、自民党委員から「まるで官製談合だ」との声が上がりました。

伊吹文明文科相は「学力テストを利用して商売としてやっているのは、企業としては決していい企業ではないという印象を持っている。職員に企業との関係について厳しく言っている」と答えました。

石井氏は、二〇〇四年からベネッセの雑誌に十人近くの文科省の役人が出ていることを示し、「まるで文科省公認の機関誌のようだ。テストの委託は先にベネッセありきだったのではないか」と批判しました。

しんぶん赤旗 2007年4月24日

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教育長に文科省官僚 石井氏 地方分権に反する

日本共産党の石井郁子議員は二十三日の衆院教育再生特別委員会で、文部科学省の官僚が教育委員会に出向し、教育長、教育次長などのポストに継続的についていることを指摘し、「文科省による教育委員会の直接支配だ。教育の地方自治、地方分権を否定するものだ」と批判しました。

石井氏の調べによると、千葉県教委には、一九九五年から文科省からの出向者が教育次長になっています。広島県教委、香川県教委も十年以上にわたり教育長、教育次長のポストは文科省の出向者が占めています。

金沢市でも九八年から文科省出向者が教育次長に、千葉県成田市では九八年から文科省出向者が教育長についているなど、市町村教委でも多くの教委で文科省の官僚が重要なポストについています。

九九年成立の地方分権一括法で、文科相の教育長任命承認制の廃止など教育の地方分権が進みました。石井氏は「最高裁学テ判決も『地方自治の原則が基本原理の一つをなすもの』としている。それに逆行して、国の権限強化につながるものだ」と批判しました。

伊吹文明文科相は「自治体の要請があるから出向している。お互い合意の上でやっている」などと答弁しました。

しんぶん赤旗 2007年4月24日

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教育関連3法案:安倍首相、教員定数・予算増には慎重

安倍晋三首相は20日、教育関連3法案が実質審議入りした衆院教育再生特別委員会で、教員の定数減を定めた昨年の行政改革推進法について「安倍内閣でも行革を進めなければいけない。ボランティアの活用や教員の質の向上にまずは取り組む」と述べ、法改正を伴う定数増や教育予算の増額には慎重な姿勢を示した。松本剛明氏(民主)への答弁。

これに対し、伊吹文明文部科学相は「法律に手を入れないと(教育が)最優先課題という首相の熱い思いの実現は難しい」と述べ、法改正に期待感をにじませた。

また、首相は教員免許法改正案に盛り込んだ教員免許更新制に関し「先生をたたこうということではない。資質、能力を刷新する前向きな制度として絶対に必要だ」と強調した。【竹島一登】

毎日新聞 2007年4月21日

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教員関連3法案:参院補選もにらみ、激しい応酬

教員関連3法案の実質審議が始まった20日の衆院教育再生特別委員会の基本的質疑は、22日の参院福島・沖縄補選をにらんだ激しい応酬となった。「『美しい国』の根本、基本は教育だ」と保守色を前面に出す安倍晋三首相に対し、民主党の菅直人代表代行が沖縄戦に関する教科書検定を引き合いに、首相の歴史認識を「ダブルトーク(でたらめ話)」と批判。「場外乱闘」気味の幕開けだった。【竹島一登】

「菅さんは沖縄の選挙があるからこんな議論をしているのか。法案に何の関係があるのか」

首相は再三声を荒らげ、「沖縄戦の認識」をただす菅氏へのいらだちをあらわにした。文部科学省は06年度の教科書検定で、沖縄戦の集団自決の記述から「日本軍の強制」を削除。菅氏が「(首相の言う)戦後体制の中にこの問題があるのではないか」と政治介入をにおわせたためだ。

「沖縄のみなさんが怒っている。選挙にかかわる地域の議論を封殺するのはおかしい」

菅氏は、与野党の推薦候補が競り合う沖縄補選の民主党の責任者。県民の不満を代弁する格好で首相を攻撃した。「菅さん得意のすべて混同させてイメージを作る論法」。首相に切り返されながら何度も食い下がる菅氏には、民主党内からも「(何でも聞ける)予算委員会ではないのに……」と脱線ぶりを危ぶむ声が出た。

首相は26日からの訪米を控え、歴史認識に絡んで米下院のいわゆる従軍慰安婦問題に関する謝罪決議案という火種を抱える。菅氏はこの問題で旧日本軍の関与を認めた河野洋平官房長官談話(93年)に関連して「自虐史観と言い募ることで解決済みの問題に火をつけた」と述べ、一度は「狭義の強制はなかった」と河野談話に距離を置いた首相に揺さぶりをかけた。

首相は「関係ない」と3回否定した上で「もう少し日本語力を鍛えてもらいたい」とはねつけたが、足元は穏やかではない。この問題で自民党内の急先鋒(せんぽう)、中山成彬氏は菅氏に先立つ質疑で「強制連行の事実はなかった」と持論を展開。答弁者には首相を避けて伊吹文明文科相を指名するなど、首相と与党のぎくしゃくぶりも露呈した。

菅氏は質問終了後、記者団に「首相のアキレスけんは歴史認識。過去をねつ造する首相だ」と言い残し、足早に沖縄に舞い戻った。

一方、首相は記者団に「(歴史的事実は)専門家に任せるべきだ」とかわした。

毎日新聞 2007年4月21日

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安倍首相、菅氏が火花 衆院教育再生特別委員会

■首相「もう少し国語力を」
■菅氏「首相は最近攻撃的」
衆院教育再生特別委員会で20日、安倍晋三首相と民主党の菅直人代表代行が、22日投開票の参院福島、沖縄両補選もにらみ激しく応酬した。

菅氏は、教科書検定で沖縄戦での集団自決は旧日本軍の命令によるものだった、との記述が修正されたことを取り上げ「(修正を)推し進めている人物と知り合いではないか」と質問。首相は「沖縄の選挙があるからこんな議論をしているのか。誰を知っているか答えることに何の意味があるのか」と反論した。菅氏の発言は「首相が検定に影響力を発揮したような印象を、有権者に与えることを意図した」(与党幹部)と受け止められ、騒然となった。

今国会では党首討論が一度も行われておらず「今日が事実上の党首討論」(民主党国対関係者)との声も意識してか、菅氏は「首相は割とキレやすい」と挑発。首相は「私は菅さんよりキレにくいと思いますけどね」と切り返した。

「首相は最近攻撃的になった。地金ともいうべき(タカ派的な)持論が出始めた」とたたみかけた菅氏は、首相の著書「美しい国へ」も取り上げ「戦後教育を自虐的とあげつらうことで日本への誇りを促している」。首相は「もう少し国語力、読解力を鍛えてほしい」と痛烈に皮肉った。

産経新聞 2007年4月21日

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いじめ防ぐ自発性はぐぐめ 教育関連法案実質審議入り 教育委員会の助言透明性確保へ 衆院特委で西氏

衆院・教育再生特別委員会は20日午前、教育改革関連法案について実質審議入りし、公明党から西博義氏が質問に立った。

西氏は、いじめ問題に関して、千葉県市川市の南行徳中学校の生徒会が行うオレンジリボンキャンペーンなどに触れ、「具体的な実践が重要だ」と強調し、いじめ防止へ子どもがお互いに自発的な行動を促す取り組みについて、政府の見解を求めた。

安倍晋三首相は、「子どもたちが自主的に取り組むことは極めて重要。(同校の取り組みは)理想的だ」と述べ、成功例を全国に広げることが重要だと強調した。

西氏は、地方教育行政法改正案で、知事が、私学に関する専門的事項の助言・援助を教育委員会に求められるようにする点について「私学の自主性に配慮し、知事が助言を求める際には、私学側との協議を行うよう通知で明確にすべき」と要請。さらに、助言・援助を求められる内容について、「透明性と公平さを確保するため、基準を作成することが望ましい」として文書化を提案した。

これに対し、伊吹文明文部科学相は、「指摘は大切なポイントだ。どういう形で通知をしていくかは、(国会の)議論を聞いた上で、私学の建学の精神を侵すことのないよう対応する」と述べるとともに、助言・援助がなくても、未履修問題で明らかになった公私間の学習内容の違いなどを是正できる知事部局にすることが前提との見解を示した。

また、西氏は、教員の事務負担について、「教師が授業に専念できる環境をつくることが必要」として、事務職員の配置や事務量の削減などを主張。さらに、文科省の職員が教師として学校に派遣され始めた事例を踏まえ、事務の担当としての派遣も提案した。

伊吹文科相は、「まったくその通り。公明党はかねてから現場主義を大切にしている。今後、(文科省職員に)事務の分野の体験もさせればいい」と述べるとともに、財政が豊かな東京だけでなく、地方の学校にも派遣し、実態把握に努めるべきとの考えを示した。

このほか、西氏は、学習意欲の向上策や、通信制など、離島や山間部などに配慮した教員免許更新講習のあり方についても政府の見解を聞いた。

公明新聞 2007年4月21日

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論戦不発 識者は反発/「集団自決」修正 衆院教育再生委

【東京】沖縄戦の「集団自決」について教科書検定で高校の歴史教科書から日本軍関与の記述が削除された問題が二十日の衆院教育再生特別委員会で取り上げられた。安倍晋三首相は、民主党の菅直人代表代行に自らの沖縄戦観を問われ、「(検定の問題は)史実がどうだったかという議論であって、総理大臣がそういうことをいちいち言うべきなんでしょうか」と明確な答弁を避けた。

安倍首相はその後も管氏に対し「(教科書検定は)専門家が議論し、調査し、その上で意見を付けるのではないか。私がいちいち事実を判断できるのであれば、教科書の検定は私が一人でやるということになる」と繰り返した。答弁に納得しない管氏が「政治家としてひきょうな態度」と詰め寄ると、首相は「あまりに失礼」と応酬する場面があった。

一方、伊吹文明文科相は「集団自決」をめぐる今回の教科書検定について「すべて軍の強制によって、または手りゅう弾で自決したとは言い切れない。専門家は、軍の関与がなかったとは一言も言っていない。軍の関与がすべてあったということではないと言っているだけだ。一方に偏った記述はしないというだけのことだ」との認識を強調。

こうした答弁について高嶋伸欣琉大教授は「申請図書は『日本軍に集団自決を強制された人もいた』などと書いただけ。『すべて』と書いたかのように言うのは、問題のすり替えだ。強引な検定が生んだ事態を収拾できず、苦し紛れの言い訳を重ねている」と批判した。

高嶋教授は安倍首相の発言についても「沖縄戦の経験は、首相が目指す改憲の危険性を表す。それを察知し、逃げの一手を打っている」と指摘した。

沖縄タイムス 2007年4月21日

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論戦ハイライト 学力テストで個人情報収集
石井 「保護者同意あるか」
文科相 「子どもに説明する」

二十日の衆院教育再生特別委員会で、日本共産党の石井郁子議員は、二十四日実施の全国一斉学力テストが抱える数々の問題点を安倍晋三首相にただしました。

法に違反する
一斉学力テストでは、国と民間企業がテストを受けた児童・生徒の個人情報をにぎることが大きな問題になっています。

学力テスト当日は、テストのほかに「児童・生徒質問紙」に答える時間があります。昨年の予備調査には、個人の氏名や出席番号を書かせてから、「一週間に何日、学習塾に通っているか」「家の人と旅行に行くか」などプライバシーにかかわる項目が並んでいました。

個人情報保護法一六条は「個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、…利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない」と定めています。

石井氏 本人や保護者の同意は得ているのか。

伊吹文明文部科学相 保護者の同意は求めていない。実施要領を公表しているから十分理解をいただいていると思う。

石井氏 同意は得ていないということだ。個人情報保護法違反だ。民主主義の基本のルールにかかわる大問題だ。

石井氏が次に安倍首相の答弁を求めたのに対し、伊吹文科相は首相をさえぎって釈明を試みました。

「明日の『赤旗』に(保護者の)同意を求めない、と認めたと書かれると困ります。本人には説明し、同意をするから(テストを)受けている」

石井氏は「そういう答弁で済ますわけにはいかない問題だ」と厳しく批判しました。

企業に丸投げ
全国一斉学力テストは、小学校はベネッセコーポレーション、中学校はNTTデータが文部科学省から受託しています。民間産業に丸投げすることに不安が広がっています。

石井氏は、ベネッセが各小学校あてに送っているダイレクトメールを取り上げました。そこには「全国学力調査が四月二十四日に予定されておりますが、ベネッセコーポレーションの総合学力調査を学校様独自でもご実施いただくことで以下のことを実現できます」と書かれています。児童一人に付き七百円で、全国学力テストを自社の独自テストの売り込みに利用するものです。石井氏は「重大問題だ」と追及しました。

文科省の学力テストの委託契約書では、事業を受託したことで営業行為を行うことを禁止しています。安倍首相は「文科省は厳正に対処していると聞いている」と述べました。

ところが石井氏は、ベネッセが「通常の営業・販促活動を行うことに関しては、特に問題がないと考えている」と居直っている実態を指摘し、首相の認識は甘いと批判しました。

学ぶ意欲奪う
学力テストの公表と学校選択制がリンクすることで各地で弊害が起こっています。学力テストが実施され、多くの自治体で学校選択制を導入している東京都では、学校で「おまえがいると成績が下がるから休め」と言われるなど子どもが傷ついています。石井氏は「これでは子どもたちから学ぶ意欲を奪うことになる」と批判しました。

しんぶん赤旗 2007年4月21日

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学力テスト 首相、公表否定せず 石井議員 学校序列化の危険

衆院教育再生特別委員会で二十日、教育への国家統制を強める教育三法案に関する本格的審議が始まりました。

日本共産党の石井郁子議員は、二十四日実施の全国一斉学力テストについて結果公表が、学校の序列化につながる問題を追及しました。

安倍晋三首相が「個々の市町村名や学校名を明らかにした結果の公表は行わない」と述べたのに対し、石井氏は、安倍首相の著書『美しい国へ』のなかで全国的な学力調査の結果を公表すべきと主張していることをあげ、「答弁は著書と矛盾するのではないか」と迫ると、安倍首相は「学校を通じて父兄に公表していく」と述べました。

首相直属の教育再生会議も結果を公表し学校選択の判断基準にするという議論をしています。保護者に示された各学校の成績を受験産業などが一覧表にすれば、点数によるランク付けが生じる危険があります。

また安倍首相は「国全体や都道府県の状況は(国として)発表する」と述べました。

石井氏は、学力テストの結果公表と学校選択制が結びついている東京都では、子どもたちが土曜日も夏休みもテスト対策に追われていることを紹介。「これでは子どもたちが学ぶ意欲を奪われる」と結果の公表をやめるよう要求しました。さらに「学習状況の把握のためには数%の抽出調査で十分」として全国テストの中止を主張しました。

しんぶん赤旗 2007年4月21日

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【衆院教特委】政府案では教員の資質確保に疑問 藤村議員

藤村修議員(ネクスト文部科学大臣)は20日午後、教育再生特別委員会で質問に立ち、教育の格差問題、政府提出の「教育職員免許法一部改正案」について安倍首相をはじめとする閣僚の認識を質した。

藤村議員はまず、(1)親の所得や家計状態で生じる格差(2)地方自治体の財政状況により生じる格差の2つの教育の格差問題を明示。安倍首相が掲げる「再チャレンジ」の必要性を認めながら、「教育という最初のチャレンジにおいて差があってはならない」と強く表明した。

また、親の所得の差とは別に、親を亡くした「遺児」の家庭に対する奨学金制度について言及。平成15年に施行された「個人情報保護法」に対する過剰反応により、学校遺児調査による遺児数が激減。名簿協力が難しい中で奨学金の適用も限られ、他の手当のカットと併せて、「遺児」の高校進学が風前の灯になっている現状を訴えた。安倍首相はじめ担当大臣は、奨学金制度の広報活動とともに適切に対応、検討する考えを示した。

次に、財政破綻した夕張市の今年度予算において、教育費支出が前年度比マイナス53・8%になることを示し、義務教育のサービス低下は明らかであると言明。義務教育サービスの是正、再生に向け、担当大臣に対して協力連携を深め、適切な対応するよう求めた。

政府提出の「教育職員免許法一部改正案」については、単に10年毎に30時間程度の免許状更新講習を実施するものであり、教員の資質の確保という観点から見た場合あまりにも不十分であると指摘。「教員養成」を重視した民主党案との違いを明らかにした。また民主党案では、教員免許を取得しながらも実際に教壇に立っていないいわゆる「ペーパードティチャー」は更新制の適用外とし、現実的である点も強調した。 

民主党ニュース 2007年4月20日

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【衆院教特委】松本議員、民主党教育力向上3法案の内容質す

松本剛明政調会長は20日午後、衆議院教育再生特別委員会で質問に立ち、民主党「教育力向上3法案」について法案提出者の田島一成、松本大輔、笠浩史各議員に質すとともに、安倍首相に対して教育予算のあり方などについて確認した。

教育職員免許制度改革法案について「教育の実情、教員を取り巻く環境、学校現場の実情をどう考え、法案を作成したか」と松本政調会長は質問。田島議員は、「優秀な人材を教育界に据えなければならないという視点から、現状をふまえて法案作成に取り組んだ」とし、「豊かな人間性、卓越した指導力を備えるため」に、現在の4年制大学修了から、さらに1年間の教育実習を含む2年間の修士修了者に免許することとしたと説明した。また、実務経験8年以上を経た後に、さらに教職大学院大学で1年の専門的な教育を受けた場合、従来はなかった「専門免許」を取得してもらう流れを作ったと表明。また、政府案のように免許状に10年の有効期間は設けないものの、原則としては免許授与後10年毎に講習を受け修了を認定し、「専門免許」はこれらの講習は免除するしくみとなっている点などを説明した。

地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案については松本議員に質問。松本議員は教育現場の諸課題に対し、国が学習内容を決め、都道府県が教職員の採用や人事を決め、市区町村が学校の設置や管理を行うなど、責任の所在がバラバラな現状では求められるきめ細かな対応はできないと指摘し、制度改善の必要性を強調した。民主党案ではそうした課題解決に取り組んだ結果、(1)教育委員会を発展的に改組し、その事務を地方公共団体の長に移管(2)地方公共団体に新たに教育監査委員会を設置し、地方公共団体の長に移管された事務の実施状況に関し、必要な評価、監視を行い、改善のために必要な勧告を行えるようにする(3)学校ごとに保護者や地域住民、校長等から構成される学校理事会を設置し、主体的、自律的運営を行う(4)公立学校の教職員の任命は、設置者である地方公共団体の長が行うこととした点などを列挙した。

笠議員に対して松本政調会長は「学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案」に関する説明を求めた。笠議員は「教育現場の問題を現実的に解決していこうとしたら、予算がかかる」と述べたうえで、日本の教育に対する公財政支出は先進国で最低水準であり、同時に教育費にかける家計費の割合負担は逆に最高水準になっている現状を変えていかなければならないと指摘。「親の収入によって学びの機会の格差が生まれる状況を是正していかなければなない」と語った。

そうした認識を踏まえ、民主党案では(1)多様な教育機会の提供、きめ細かな教育指導の充実、安全・快適な学校教育のための諸条件の整備、心身の健康・職業選択等に関する相談体制の充実等を旨とすることを基本方針とする(2)1の基本方針に基づき、学校教育の環境整備に関する施策を総合的に策定、実施する責務を国が有するとした――などの項目を盛り込んだことを明らかにした。

民主党ニュース 2007年4月20日

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安倍首相のはっきりしない歴史認識を批判 菅代表代行

菅直人代表代行は20日午後、菅直人代表代行は衆議院教育再生特別委員会での質疑終了後、記者団に対して安倍首相との論戦を振り返り、歴史認識について述べた。

菅代行は「安倍総理は沖縄の痛ましい歴史の事実を隠す行動を積極的にはとっていないが、そうした行為を評価していることがわかった。行政全体がそうした方向に引っ張られていることに非常に危機感を感じる」と語った。

また、一国の長である安倍首相が自身の歴史認識をはっきり語らない点について菅代行は「自分の歴史認識をそのまま語れば、従軍慰安婦での発言のように国際社会に受け入れられないであろう」と分析。さらに沖縄の集団自決の問題については「自国民に対してしっかりと説明する責任が総理にはある」と指摘するとともに、「総理はどこかでそうゆう歴史を認めたくないのであろう」と指摘した。

全体的な首相の答弁姿勢に対して菅代行は「きわめて逃げの姿勢。一切逃げ。自分の主張は衣に隠しているため、議論が全く深まらない結果になった」との見方を示した。

最後に菅代行は、当時の沖縄の状況について、戦争が持っている性格が一番悲惨な形となって表れたものだとした。そうした点を説明できない安倍首相について「都合の悪いことは忘れろという考え方である。次の未来を作るべき立場なのに、過去を捏造する総理である」と厳しく批判した。

民主党ニュース 2007年4月20日

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【衆院教特委】沖縄戦集団自決の軍関与への認識質す 菅代表代行

菅直人代表代行は、衆議院教育再生特別委員会で20日午後質問に立ち、沖縄戦での集団自決に関して、教科書検定で軍の関与があったとする記述が修正意見によって、削除されたケースを取り上げ、安倍首相に認識を質した。

菅代行はまず、伊藤長崎市長射殺事件に触れ、お悔やみを述べるとともに、事件を「言論が暴力で封殺されることがあってはならない。民主主義への重大な挑戦」だとして、首相にその認識を質した。首相は、「暴力に屈することがあってはならない」と答えたが、代行の質問を「ここで取り上げるのは言いがかり、不謹慎」と異常な反応を示した。

菅代行は次に、首相の自虐的偏向教育の是正の考えを取り上げ、それを教育再生の第一と考えているのかと質した。首相は、「一定のイズムによる教育ではいけない。バランスが取れていることが大切」と答えた。

また、菅代行は、本日付けの沖縄タイムズに、沖縄戦での集団自決に関して「軍命の証言次々」とあることを示して、教科書検定の経過を質問した。伊吹文部科学大臣は、「教科書検定には介入していない。軍の関与がないとは書いていない、全くなかったとか、あったとかは書かれていない」と答えた。この答弁に対して、菅代行は、4年前の検定と変わった根拠を再三にわたって求めたが、伊吹大臣は、具体的には根拠を示さず、軍の関与がないとの意見もあり、一方に偏ってはいけないとするだけであった

菅代行は、沖縄知事が今回の教科書検定について「個人的には疑義がある」としていること、当時の沖縄が軍・官・民の共生・共死であったこと、手榴弾による自殺などを挙げ、「どうして軍の命令・指示でなかったと言えるのか」と迫り、首相の認識を質した。首相は、「私が一々ここで言うべきでしょうか」として答弁を避けた。これに対して、菅代行は従軍慰安婦に対する質問には答えているとして、答えないのは「政治家として卑怯」と論難した。

また、菅代行は、自虐史観云々と言い募ることがかえって、河野談話、村山談話などで決着した問題にアメリカでの議論など再び火をつけたのではないかと質した。首相は「関係ない」と答え、この問題の重大性を何ら理解していないことを示した。

最後に菅代行は、教育には地域の力が大切であるとの党の教育に関する基本方針を述べ質問を終えた。

民主党ニュース 2007年4月20日

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首相“免許更新制 絶対必要”

安倍総理大臣は、教育再生関連法案を審議する衆議院特別委員会で、教員免許の有効期間を10年とする免許の更新制について「教員の資質、能力を刷新する前向きな制度として絶対に必要だ」と述べ、導入の意義を強調しました。

この中で、安倍総理大臣は、教育再生関連法案の柱の1つとなっている教員免許の更新制の導入について「子どもたちの将来にきわめて大きな影響を与える先生は、常に世界の価値観や知識、技術などを身につける努力をしなければならない」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「制度の導入によって先生が自信を持ち、子どもたちやお父さん、お母さんからも尊敬を受けながら指導できるようになるのではないか。先生をたたこうということではまったくない。10年に一度、資質、能力を刷新する前向きな制度として絶対に必要だと思う」と述べました。一方、伊吹文部科学大臣は、教員の数について「今の法律のもとでは教員を増やすことができず、安倍総理大臣の熱い思いを実現することが難しいのではないか。財政再建などの要素もあるが、最大限努力して教員を増やすことが大臣としてのわたしの責任だ」と述べ、教育再生の実現には教員の数を増やすことが必要だという考えを示しました。

NHKニュース 2007年4月20日 19:17

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首相“公教育再生に全力で”

政府が最重要法案と位置づける教育再生関連法案の衆議院特別委員会での実質的な審議が始まり、安倍総理大臣は「公教育の再生は待ったなしで、『美しい国』づくりの根本は教育だ」と述べ、公教育の再生に全力で取り組む考えを強調しました。

政府が教育委員会制度の改革や教員免許の更新制の導入などを柱とする教育再生関連法案を提出しているのに対し、民主党は独自の教育関連3法案を提出しており、これらの法案についての衆議院特別委員会での実質的な審議が、安倍総理大臣も出席して始まりました。この中で、安倍総理大臣は「すべての子どもたちに高い水準の規範意識と学力を身につける機会を提供しなければならない。お金のある人だけが子どもにいい教育を提供できるということでは、格差の再生産につながる。公立学校の再生は大切な課題であり、公教育の再生は待ったなしだ。わたしの『美しい国』づくりの根本、基本は教育で、教育の再生に全力で取り組んでいく」と述べました。また、伊吹文部科学大臣は、いわゆるゆとり教育の見直しに関連して「日本の学校の授業時間数は特に義務教育で世界的に非常に短い。授業時間数を増やすには夏休みや冬休みなどの長期休暇の活用がいちばん大切であり、早急に検討し、実現の方向で努力したい」と述べ、授業時間数を増やす方向で検討を急ぐ考えを示しました。

ニュース 2007年4月20日 12:31

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国家統制の具体化 廃案に 教育3法案への石井議員の質問(大要) 衆院本会議

十七日の衆院本会議で行われた教育三法案に対する日本共産党の石井郁子議員の質問(大要)は次の通りです。

まず指摘したいのは、安倍教育改革の異常さです。

昨年の臨時国会で、教育基本法の改悪を与党単独で強行成立させました。そして総理直属の「教育再生会議」を発足させ、教育研究者と教育現場関係者を排除したまま、密室の協議で安倍総理のかかげる「改革」を国民と子どもたちにおしつけようとしているのです。その上、これら三法案を中央教育審議会でわずか一カ月の審議で答申をださせ、法案化したのです。しかも特別委員会を設置してまでゴリ押しをはかるというのは安倍内閣の強権政治のあらわれというほかありません。

教育は子どもの未来、日本の将来がかかった憲法上の重要課題です。国民と子どもの合意なしには進めるべきではありません。

「徳目」を具体化
教育三法案は、改悪教育基本法を具体化するものです。改悪教育基本法が憲法の保障する思想・良心の自由、教育の自主性・自律性をふみにじるものであり、今回提出された法案も同様の問題をもっていることを指摘せざるをえません。

法案の大きな問題の一つは「国を愛する態度」などの「徳目」を法律にかかげ、その具体化をはかっていることです。今回「学校教育法の改正」で義務教育の目標に「国と郷土を愛する態度」など多くの徳目を盛り込んでいます。義務教育の目標として法律にかかげれば「徳目」の内容や教育方法について、事細かな指示を学校・教員におこなうことができるようになるのではありませんか。

また、道徳を正式「教科」にすることも議論されていますが、正式教科となれば教科書もつくられることになります。文部科学省の行う教科書検定を通じて政府に都合のいい道徳をおしつけるというものにつながりかねません。憲法の「思想・良心の自由」に反し、人間の内面や個人の生き方の問題である道徳について、国が特定の方向をしめして押し付けることは、やってはならないことではありませんか。

そもそも安倍首相、あなたに道徳や規範意識を語る資格があるのでしょうか。タウンミーティングでの「やらせ質問」、そして松岡農林水産大臣をめぐる政治と金の問題など政治不信に拍車をかけているのがほかならぬ安倍首相だからです。子どもたちに規範意識をいう前にただすべきは安倍内閣そのものではありませんか。

三法案は、国の権限を強化し、教育への国家権力の介入を許す中身となっていることは重大です。昨年の教育基本法審議では、わが党の追及に「憲法上、教育内容への国家の関与はできるだけ抑制的に」と認め、総理も「国の権限は強まらない」と答弁しました。

ところが今回の法案はどうでしょう。

「地方教育行政法の改正」では文部科学大臣による「是正・改善」の指示、教育委員会にたいする「是正の要求」を新たにもちこみました。一九九九年地方分権一括法で削除されたものの復活であり、文部科学省の権限を強化したといわなければなりません。これらは、学校に対する直接支配を可能にし、教育委員会をこれまで以上に文部科学省の管理のもとにおくものです。これこそ、教育の地方自治、教育の地方分権を否定するものではありませんか。

また、私立学校に対する教育委員会の「指導・助言」を新たに可能としました。これでは私学の自主性への侵害になりかねません。「国の権限は強まらない」どころか強化されているではありませんか。

教員委縮まねく
同じく「学校教育法の改正」によって小中学校にこれまでの校長、教頭、教諭に加え、あらたに副校長、主幹教諭、指導教諭という職をおくこととしました。まさに管理職を強化して政府の教育方針をおしつけるために上意下達のピラミッド型の体制をつくるものです。

「教員免許法の改正」によって教員の免許状に十年の有効期間を定め、三十時間の講習修了を免許更新の条件としました。なぜ教員免許更新制が必要なのですか。いわゆる不適格教員への対応は現行制度で十分可能です。結局「十年で免許がきれるのだから、上司の言うとおりにしろ」の脅かしにほかなりません。教員を委縮させ上ばかりみる教員にしてしまうのではありませんか。

そもそも教員は教育の専門家として自律的に職務をおこなうことが要請されています。総理は、憲法上の要請である教育と教員の自律性を否定するのでしょうか。

次に四月二十四日に予定されている全国学力テストの問題です。

この学力テストは競争の教育を一層激しいものにし全国の学校と子どもたちを「序列化」するものです。既に学力テストが実施されている自治体では「点数がさがる」といわれた子どもが学校を休んだりするなど心をいためる問題がおきているのです。子どもたちの心をいためてどうして学力の向上につながるでしょうか。

また学力テストの実施を受験産業に丸投げすることも重大です。児童生徒の個人情報や学校情報が受験産業に握られるということに父母や市町村教育委員会に新たな不安が広がっています。こうした不安にどうこたえるのですか。

一斉学力テストは中止すべきです。

教育再生会議は「ゆとり教育」が学力の低下をもたらしたという一方的判断のもとに授業時間10%の増を提言し、夏休みや冬休みを短縮しようとしています。このようなことに一体どのような科学的根拠があるのですか。

また、教育再生会議は学校選択制や児童生徒が多く集まる学校への予算配分の優遇までかかげています。学力テストがこうした制度と結びつけば学校間格差は広がる一方ではありませんか。

条件の整備こそ
いま、国民が願っているのは、学力やいじめなどの問題を解決するためにもっとも有効な三十人以下学級の実施など、国際的におくれた教育条件を抜本的に整備することであり、過度の競争教育から子どもたちを解放することです。教育予算はOECD参加国最下位であり、これを抜本的にひきあげることこそ政治の責任ではありませんか。

日本共産党は教育への国家統制の具体化としての教育三法案を廃案にするとともに、一人ひとりを人間として尊重し、自然と社会の仕組みを考えさせる知育、市民道徳を身につける徳育、豊かな情操、体育を学校教育の中心にすえ公教育の充実に全力をあげるものです。

しんぶん赤旗 2007年4月18日

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「愛国心」を明確に 教育3法案で首相 衆院本会議

安倍晋三首相は十七日の衆院本会議で、みずからの「教育再生」の理念実現のため、「学校教育法を『改正』し、義務教育の目標として規範意識や公共の精神、我が国と郷土を愛する態度を明確にする。学習指導要領の改訂で具体化を図る」と述べました。

伊吹文明文部科学相は「学校での道徳教育、体験活動、我が国や郷土のの伝統や文化の学習の充実などを通じて、我が国と郷土を愛する態度の涵養(かんよう)に努めていく」と答えました。

伊吹文科相は、教員免許更新制を導入した場合の更新講習の費用について、年十万人が講習を受けると想定し、一人約三万円で、年間三十億円必要だと答弁。「費用については個人負担にする考えもある。現職については、一定の配慮が必要で、今後検討する」と答弁しました。

地方教育行政法改定案で、私立学校に対する教育委員会の「指導・助言」を可能にしたことについて、公明党の西博義議員が「私学の自主性が損なわれないよう明確にする考えはあるのか」と質問。伊吹文科相は「教育委員会が主体的・直接的に私立学校に助言等を行うことは法律上想定されていない」と答えました。

安倍首相直属の教育再生会議に関し、自民党の馳浩議員は「どうしてオープンでないのか。マスメディアの公開のもとで議論すべきだ」と批判しました。安倍首相は公開する考えを示しませんでした。

しんぶん赤旗 2007年4月18日

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教育3法案 教育論戦が再開…衆院審議入り

安倍晋三首相が「美しい国」の中心課題と位置づける教育関連3法案が17日、衆院で審議入りし、昨年の臨時国会に続き国会での教育論戦が再開される。精神性重視の「安倍カラー」を象徴する政策テーマとして、首相が「子供たちに規範意識を植え付ける」と繰り返すのに対し、「政治は生活」を訴える民主党は「教育でも格差が広がっている」点を強調。参院選に向けて世論を意識した論戦になりそうだ。

「自らの行動が規範たりえているか、日々葛藤(かっとう)している。しかし、道徳や規範意識を語るのは私たち大人の責任だ」

衆院本会議の質疑で、石井郁子氏(共産)が閣僚たちの不明朗な事務所経費問題を引き合いに「徳目を語る資格があるのか」と迫ると、安倍首相はこう切り返した。

首相は14日、参院補選応援のため福島市で演説した時も「お父さんお母さんを大切にする。こういう規範意識を身につける学校にしたい」と聴衆に訴えるなど、安倍教育改革は「学校=規範」をキーワードにしているのが大きな特徴だ。

政府の教育再生会議が道徳の教科化を提唱しているのも、首相の問題意識に応えたもの。1月の第1次報告に明記した「ゆとり教育の見直し」で授業時間10%増を目指すのも、学力向上と同時に「ゆとり=自由放任」とみなした規範強化策の側面もある。

しかし、文部科学省が13日発表した高校3年生の学力テストの結果では、ゆとり教育導入で学習内容を削った学年にもかかわらず、一部では導入前の成績を上回り、必ずしも安倍改革の前提が正しいのかどうかははっきりしていない。伊吹文明文部科学相も17日の衆院本会議質疑で「(現状を)にわかに判断できない」と手探りの状況にあることをほのめかした。

これに対し、民主党案の提案理由を説明した笠浩史氏は「公教育への財政支出は先進国で最低、家計負担は最高だ。格差の世代間連鎖が起きている」と批判した。政府は歳出削減で、教員の給与カットや定員削減も決めているが、再生会議にも予算確保を求める声が広がりつつりある。伊吹文科相も答弁で「(来年度予算編成で)首相の熱い決断に期待したい」と語るなど、民主党の増員・増額要求を無視できなくなりつつある。

「改革といっても、全国でやれることは限られている」。自民党文教族の一人はこう語り、矢継ぎ早に提言を打ち上げる再生会議には与党の視線も冷ややかだ。「国民に開かれた会議とは言えない」(馳浩・元副文科相)との批判もあり、審議では与党からも安倍教育改革の理念を問う場面が予想される。【竹島一登】

毎日新聞 2007年4月18日 10:18

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教育3法案審議入り 首相、意義を強調

安倍晋三首相は十七日の衆院本会議で、今国会の最重要法案と位置付ける教育改革関連三法案の審議入りに関し、「改正教育基本法の理念を学校現場で実現するため、義務教育の目標として規範意識や公共精神、郷土や国を愛する態度を養うことを法律上明確にする」と述べ、法改正の意義を強調した。

また、児童や生徒の生命・身体を保護するために緊急の必要がある場合、文部科学相による教育委員会への是正指示権を地方教育行政法改正案に明記したことに関し、「教育委員会が自浄能力を発揮せず、十分な責任を果たせない場合に国民の権利を守るため、国が必要な関与を行うものであり、地方分権を否定するものではない」と述べ、正当性を主張した。

伊吹文明文科相は「激しいいじめなどで生命・身体の保護が明らかに必要な場合にもかかわらず教育委員会が措置を取らない場合は、毅然(きぜん)として指示を行わなければならない」との見解を示した。

自民党の馳浩氏、共産党の石井郁子氏らへの答弁。

北海道新聞 2007年4月18日

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教育改革3法案が衆院で審議入り、民主党は対案提出

衆院は17日午後の本会議で、教育改革3法案の審議に入り、趣旨説明を行った。与党は教育再生特別委員会で集中的に審議し、今国会での成立を目指す考えだ。

一方、民主党は対案として「学校教育力向上3法案」を衆院に提出した。

政府提出の3法案は学校教育法、地方教育行政法、教員免許法等の各改正案で、昨年の臨時国会で成立した改正教育基本法のほか、政府の教育再生会議や文部科学相の諮問機関である中央教育審議会の議論を踏まえた内容となっている。

具体的には、学校教育法改正案では、義務教育の目標に「我が国と郷土を愛する態度」などを盛り込み、小中学校などに副校長、主幹教諭、指導教諭の職を新設する。地方教育行政法改正案は、一定の条件の下で文部科学相が教育委員会に強制力を伴う指示をする権限を認めることが柱だ。

讀賣新聞 2007年4月17日 19:09

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衆院に教育再生特別委=委員長に保利氏内定

衆院は13日午後の本会議で、教育関連3法改正案を審議する「教育再生に関する特別委員会」の設置を、与党などの賛成多数で可決した。委員数は45人。委員長には保利耕輔元文相が内定した。

与党は同改正案を最重要法案と位置付けており、早ければ17日の本会議で趣旨説明と質疑を行って審議入りし、今国会での成立を図る。民主党は対案を提出する見通し。

保利 耕輔氏(ほり・こうすけ)慶大法卒。文相、党国対委員長、自治相。佐賀3区、当選10回。72歳(自民)(了)

時事通信 2007年4月13日

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教育再生関連法案審議へ特別委設置

安倍総理が成立に強い意欲を示している、教育再生関連法案を審議するための特別委員会が衆議院に設置され、実質的な審議が週明けから始まる見通しとなりました。教育再生関連法案は、教育改革を進めるため学校教育法など3つの法律を改正するもので、安倍総理は国民投票法案と並んで、この国会での最重要法案と位置づけています。この法案を審議するため、定例日にとらわれず集中的に審議ができる特別委員会を設置することが、13日午後の衆議院本会議で与党の賛成多数で決まりました。しかし、民主党など野党は特別委員会の設置そのものに反対し、委員の名簿提出を拒んでいることから、法案の趣旨説明など実質的な審議は週明けに持ち越されます。教育再生特別委員会は45人の委員で構成され、委員長には保利・元文部大臣などの名前が挙がっています。

TBSニュース 2007年4月13日

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