地方政府、地域の動き(2008年1〜6月)


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教員試験の事務作業で外部委託を検討

教員採用汚職事件を受け、県教委の小矢文則教育長は二十六日、公立学校の教員採用試験制度の透明性を高めるため、試験の事務作業を第三者機関に委託する方向で検討していることを明らかにした。

県議会文教警察委員会に報告した。委託先は県職員の採用試験を行う県人事委員会を中心に検討。七月十九日から始まる本年度の採用試験に間に合わせるため、七月上旬までに結論を出す方針。

教員採用試験の事務作業はこれまで、教養試験の問題作成などを除き、県教委内部で職員が担当してきた。今回の事件では、職務権限がある担当者の改ざんを内部でチェックできなかったとされており、県教委で見直し作業を進めていた。

小矢教育長は「透明性を県民に理解してもらうためにも、できる限り外部に委託したい」としている。

文教警察委員会は波多野順代教育委員長ら教育委員六人を呼び、事件について話を聞いた。議員からは「危機管理、緊張感が足りない」「多くの県民は事件を氷山の一角と考えている」など厳しい意見が相次いだ。

大分合同新聞 2008年6月27日 10:53

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「採点結果公開を」オンブズマンが県に請求

公立学校の教員採用汚職事件を受け、おおいた市民オンブズマン(永井敬三理事長)は二十五日、教員採用に関する公文書の情報公開を県に請求した。

二〇〇四―〇八年度の教員採用試験に関し、一次・二次試験の全受験者の採点結果が分かる書類の公開を求めた。校長・教頭ら管理職登用試験に関する文書、県教委に寄せられた不正採用・登用に関する情報などの開示も求めた。

大半の関係書類は県警が押収しており、県教委義務教育課は「公開できるかどうかの判断も難しい」という。

永井理事長は「教員採用試験の透明度を高めることが先決。オンブズマンにはこれまで十件以上の不正採用に関する情報が寄せられている」と強調した。

 × × × 

オンブズマンは同日、大分市議会議員に交通費などの名目で支給される「費用弁償」に関係する文書の情報公開を市議会に請求した。開示後、公費返還を求める住民監査請求をする予定。

(1)本年度三月定例議会で支出した費用弁償の額(2)公共交通機関を利用した場合、議員宅から市議会までの交通費―の公開を求めた。

市議会事務局によると、市議には本会議などに出席した日につき、日額七千円の費用弁償が支払われている。使途が分かる領収書などの提出義務はない。〇七年度、共産党市議四人を除く四十四人の費用弁償は計約千五百五十万円だった。

大分合同新聞 2008年6月26日 11:05

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背信の衝撃 江藤容疑者「得点改ざんした」

公立学校の教員採用をめぐる汚職事件で、佐伯市蒲江小学校長の浅利幾美容疑者(52)=佐伯市常盤西町、贈賄容疑=からわいろを受け取ったとして、収賄容疑で逮捕された県教育委義務教育課参事の江藤勝由容疑者(52)=別府市南立石=が「(浅利容疑者の子どもを合格させるため)子どもの試験の得点を水増しして改ざんした」と話していることが二十四日、関係者の話で分かった。

複数の関係者によると、江藤容疑者は昨年、課長補佐として採用試験を総括。集計後の採点データを管理する立場にあったことを利用し、得点を水増ししたという。試験は一次、二次とも五百点満点でその総合点で合否が決まる。主に加点したのは面接や模擬授業など二次試験の得点とみられるが、合格させるためには大幅な加点が必要で「目立ち過ぎないよう、一次試験の得点にも手を入れた」と話しているらしい。不正に作った「合格者リスト」を昨年九月下旬、上司に提出したとみられる。

受験者数は四百七十二人で、合格者は浅利容疑者の子ども二人を含む四十一人。二人の最終得点は全体の合格者のうち、それぞれ上位と中下位だったとされる。県教委はこの不正の手口について「不可能とは言えない」としている。

調べでは、江藤容疑者は県教委同課参事の矢野哲郎(52)=大分市大手町=と、妻で佐伯市重岡小学校教頭の矢野かおる(50)=同市宇目、いずれも贈賄容疑=の両容疑者の仲介で、浅利容疑者から金品計四百万円相当を受け取った疑い。

大分合同新聞 2008年6月25日 9:30

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<全国体力テスト>犬山市は不参加 「学力」に続き

文部科学省が今年度に初めて実施する「全国体力テスト」(全国体力・運動能力・運動習慣等調査)について、愛知県犬山市教育委員会は24日、不参加を決めた。情報開示請求が出された場合、児童数が少ない小規模校では個人のテスト結果が明らかになってしまう、というのが主な理由。同市は全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)も「競争意識をあおる」などの理由で2年連続して参加を拒否している。

この日の市教委は、児童数が少ない小規模校の個人情報の保護のあり方が議論された。出席した校長2人から「児童が1学年1人の学校では平均値が個人の結果になる」との懸念が示された。委員からは「全員参加方式に問題がある」「テストを受けたい権利も守るべきだ」などの意見が出された。採決の結果、4対2で不参加と決まった。

体力テストは、国公私立の小学5年と中学2年の全員を対象に握力、反復横跳び、50メートル走など各8種目を実施。生活、食事、運動習慣も調査し、各校ごとに7月までに実施する。国は年末までに都道府県別、国公私立別などの結果を公表するほか、市町村教委には学校別の結果も通知するという。【花井武人】

毎日新聞 2008年6月23日 14:40

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労組の役割強化を 県教組

県教職員組合(県教組・森政文委員長)の定期大会が二十日から二日間の日程で、大分市の県教育会館で始まった。

約百六十人が参加。後期高校再編計画の策定に当たり地域の声を反映するよう県教委に求めていくことや、今春から普通科の通学区が廃止された高校入試の問題点を検証していくことなど、本年度の運動方針を提案した。

二十一日は運動方針や、教育予算の拡充などを求めるスローガンを採択する。

 × × × 

森委員長はあいさつで教員採用汚職事件に触れ、「労組としてのチェック機能が十分に働いてこなかった」と述べ、人事をはじめとした県教委当局の監視を強める必要性を強調した。

来賓出席した嶋崎龍生連合大分会長も「民間企業の場合、不祥事があったり倒産した場合、経営側の責任と同時に労組のチェックが機能したかも問われる。教組としても対応を」と求めていた。

大分合同新聞 2008年6月21日 10:02

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採用システムの見直し 不信感ぬぐえるか?

教育界の”闇”に捜査の手が伸びた。二十一日、公立学校の教員採用をめぐる汚職事件で県教委幹部や小学校長ら四人が逮捕されてから一週間を迎えた。事件は「カネで合格を買う」実態を浮き彫りにした。採用システムの見直しを始めた県教委だが「結局は教職員の倫理観の問題」との声もある。採用試験への不信感をぬぐい去り、県民の信頼を回復することができるか―。

「採用過程のシステム全体を見直すべきだ」。事件を集中審議するため開いた二十日の県議会文教警察委員会。委員は抜本的な改革に踏み出すよう強い口調で求めた。

江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で逮捕=は採点データの管理や、合格者の原案を作る責任者だった。自らの権限内で不正を働いた可能性を、県教委も「不可能とは言えない」と認める。

昨年二月、おおいた市民オンブズマンは県民からの情報を基に、教員採用に不正がないか調査を申し入れた。翌三月、県教委は「事実は確認できなかった」と文書で回答。今回の事件でわいろの授受があったのはその半年後だった。永井敬三理事長は「これが実態だ」と話す。

教員採用は本来、公権力から教育の独立性を守るため、試験と採用を教委が一貫して行う。別組織の人事委員会が試験を実施する県に比べると、透明度は低い。

県教委は一カ月後に迫った試験の見直しを表明。ただ、抜本的な見直しについて小矢文則教育長は「捜査結果を待ち、第三者の意見を聞いて考える」と述べるにとどめた。

●第三者の目を入れるべきだ
山岸治男大分大学教育福祉科学部教授(教育社会学)の話 公務員の採用には公正、公平な選考が不可欠。チェック機能を持たせるため、採点やデータ管理などの実務は三人以上で行うなどの対策が必要だ。制度の見直し議論には、教育関係者以外から公募したメンバーを加えるなど第三者の目を入れるべきだ。

●教育長「進展を見極めて処分」県議会の文教警察委
県議会の文教警察委員会は二十日、臨時の委員会を開いた。県教委が教員採用汚職事件の概要や再発防止策を報告した。

小矢文則教育長は県民の信頼を損ねたことを謝罪し、関係者の処分について「事件の進展を見極め、早急に処分し、後任人事も合わせて検討する」と述べた。

委員からは「教員たちのなれ合い、腐敗を改善しないと解決策にならない」「県教委自身が改めようとする積極的な部分が見えてこない」と厳しい意見が相次いだ。

●教員採用汚職事件の概要 
事件は昨年実施された小学校教員の採用試験が舞台。県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑=が、同課人事班で採用担当だった昨年8―10月、佐伯市蒲江小学校長、浅利幾美容疑者(52)=贈賄容疑=から長男(25)と長女(22)の合格を依頼され、現金と金券計400万円相当を受け取った疑いが持たれている。
金品授受は別府市内の江藤容疑者宅などで2回にわたり行われ、仲介役とされる同課参事、矢野哲郎(52)、佐伯市重岡小学校教頭、矢野かおる(50)の両容疑者=いずれも贈賄容疑=夫婦も同席。関係者によると、夫婦は浅利容疑者から数十万円相当の謝礼を受け取っていたという。浅利容疑者の長男は3回目、長女は初めての受験で、いずれも今年、採用された。

大分合同新聞 2008年6月21日 9:56

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教員採用汚職事件で知事が謝罪

広瀬勝貞知事は十六日の記者会見で教員採用汚職事件に触れ、「(教員採用という)教育行政の基本にかかわる部分で事件が発生したことは痛恨の極み。県民の信頼を裏切ったことをおわびしたい」と述べた。

再発防止策として「採用試験の流れ(手順)に問題がなかったか県教委が分析している。信頼の置けるシステムにするため抜本的に見直していきたい」と話した。

大分合同新聞 2008年6月17日 10:18

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校長「金を渡した」 教員採用汚職事件

県の公立学校の教員採用汚職事件で、贈賄容疑で逮捕された佐伯市蒲江小学校長、浅利幾美容疑者(52)=佐伯市常盤西町=は十六日までに、県警の調べに対し「長男と長女のために金を渡した」と供述。

収賄容疑で逮捕された県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)=別府市南立石=、贈賄容疑で逮捕された同参事、矢野哲郎容疑者(52)=大分市大手町=も容疑を認めているという。

贈賄容疑で逮捕された佐伯市重岡小教頭、矢野かおる容疑者(50)=佐伯市宇目=は容疑を一部否認しているという。

「不安がないように」 全校集会で児童に説明
贈賄容疑で校長の浅利幾美容疑者が逮捕された佐伯市蒲江小学校と、教頭の矢野かおる容疑者が逮捕された同市重岡小学校は十六日、事件摘発後、初の登校日を迎え、全校集会で児童に状況説明した。県庁では臨時の教育委員会があり、小矢文則県教育長が、両容疑者と、収賄容疑で県教委義務教育課参事の江藤勝由容疑者、贈賄容疑で同参事の矢野哲郎容疑者が逮捕された事態を報告した。

蒲江小では児童が登校し始めると、校門で教諭二人が「おはよう」と声を掛けた。八時半ごろから五分間、体育館で緊急の全校集会。岡田真幸教頭が「お金を渡して頼み事をしてはいけないというルールがあります。校長先生はその決まりを守らなかったかもしれないので、話を聴かれています」と説明した。重岡小は普段と変わらず、集団登校する児童の姿が見られた。臨時の全校集会で事情を説明した。山城豊校長は「不安がないよう対応したい」と話した。

委員「信頼回復へ真実を明らかに」 県教委が臨時会
県教育委員会(波多野順代委員長)は十六日午前、急きょ臨時会を開いた。小矢教育長が事件の経過や教員採用試験見直しに向けた取り組みを説明。県民からの批判や教員採用試験への問い合わせの電話が数件あったことを報告した。

委員からは「信頼回復には真実を明らかにするしかない」「職員の倫理意識を高める必要がある」などの意見や要望が出た。

大分合同新聞 2008年6月16日 15:12

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佐伯市教育長、会見で陳謝

教員採用汚職事件で贈賄側の蒲江小学校長、浅利幾美容疑者(52)らの逮捕から一夜明けた十五日、佐伯市教委は学校への事情説明や記者会見、臨時校長会など対応に追われた。教育界を揺るがした現職教育者による犯罪に、関係者のダメージは大きく、憔悴(しょうすい)しきった様子だった。

午前十一時に佐伯教育市民ホールまな美であった記者会見で、武田隆博教育長らは「あってはならないこと」と陳謝。浅利容疑者の仕事ぶりは「非常にまじめ。積極的に学校運営にかかわっていた」、重岡小教頭の矢野かおる容疑者(50)も「校長の補佐役をしっかり務めていた」と答えた。

教員採用をめぐる贈収賄の存在について「(過去に)うわさを聞いたこともなかった。公正に実施されていたと信じていた」。しかし、採用される人が少ない中で、きょうだい二人がそろって新採用されたことは「珍しいケース」と話した。

午後三時からは同所で臨時校長会。蒲江、重岡両小学校を除く四十五小・中学校長が出席、「児童の不安を解消できるよう一丸となって対応してほしい」と求めた。

今後、服務規律の研修会(通常は年三回)を臨時に開き、各学校は集会などで児童生徒へ経緯を説明することなどを決めた。

出席した校長らは沈痛な面持ち。女性校長は「逮捕はショックでした」と言葉少なに会場を後にした。

「児童への影響心配」
蒲江小学校(児童百十八人)では午前九時から臨時職員会議があり、PTA役員も出席。岡田真幸教頭が「一日も早く学校を正常にしていこう」と呼び掛けたという。

岡田教頭は浅利容疑者について「熱心な校長でした」とうなだれ、「児童への影響が一番心配」と力なく続けた。

午後七時からは保護者ら約六十人が出席して臨時PTA総会。「子どもたちにどう伝えたらいいのか」「子どもたちは校長が不在になることを心配している」「(学校側は)分かった事実をすぐ伝えてほしい」などの質問や要望が出たという。

保護者の一人は「びっくりしているが、子どもには本当のことを伝えるしかない。教育熱心で前向きな先生という印象だった。(贈賄が)事実なら残念としか言いようがない」と話した。

重岡小学校(同七十一人)でも午後七時から保護者説明会があった。「子どもから事件について聞かれたら、どう答えればいいのか」との質問に、山城豊校長は「教頭先生は『社会的な約束を破った』と伝えてください」と答えた。保護者ら約五十人は厳しい表情だった。

「採点データの書き換え可能」 江藤容疑者の職務権限
県教委は十五日未明の記者会見などで、江藤勝由容疑者の職務権限などを明らかにした。

県教委によると、江藤容疑者は昨年の採用試験で二次選考の面接官だったが、浅利容疑者の子どもの面接はしていなかった。問題作成と採点はしておらず、問題の漏えいは考えにくいとしている。採点データを入力できる立場で、この際にデータを書き換えることは不可能ではないという。

採用試験では、点数が下位の受験者が同じような素質である場合、採用者数を増やすこともある。昨年は江藤容疑者も加わり議論し、予定以上の人数を採用したが、浅利容疑者の子どもは議論の対象ではなかった。

チェック態勢の徹底などを検討 県教委が緊急会議
県教委は十五日、県庁で課・室長と県内六カ所の教育事務所長を集め緊急会議。小矢文則教育長は、既に緊急校長会などを開いた佐伯以外の教育事務所でも市町村教委に説明することを指示。

七月予定の教員採用試験について「県民に疑念を持たれない方法を検討する」と見直しを表明。(1)二次試験に若手職員による面接を追加(2)複数職員によるチェック態勢の徹底―などを考えていることを明らかにした。

大分合同新聞 2008年6月16日 9:50

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便宜の謝礼か 教員採用贈収賄事件

大分県の公立学校の教員採用をめぐる汚職事件で、贈賄容疑で逮捕された佐伯市蒲江小学校長、浅利幾美容疑者(52)=佐伯市常盤西町=が、自分の長男(25)と長女(22)を採用試験に合格させようと、収賄容疑で逮捕された県教委義務教育課参事、江藤勝由容疑者(52)=別府市南立石=に約百万円分の金券を手渡し、二人の採用内定後にさらに数百万円の現金を手渡した疑いの強いことが十五日、県警の調べで分かった。

二人が受験した昨年の採用試験は、一次試験の結果発表が八月十七日、二次試験の結果発表が十月九日だった。県警は、浅利容疑者が、採用事務を担当する江藤容疑者に便宜を図ってもらうため、一次発表前に金券を贈り、現金は、採用の知らせを内々に受けた二次発表前に謝礼として贈ったとみている。

関係者によると、浅利容疑者が、江藤容疑者に顔が利く同課参事の矢野哲郎(52)=大分市大手町、妻で佐伯市重岡小学校教頭の矢野かおる(50)=佐伯市宇目、いずれも贈賄容疑で逮捕=の両容疑者に相談して”仲介役”を頼んだという。

浅利容疑者の二人の子どもは本年度、いずれも採用されたが、不正行為は知らなかったらしい。

県教委によると、長男は三回目、長女は初めての受験だった。

県教委、自宅など十数カ所を捜索
県警捜査二課と大分中央、佐伯両署の合同捜査本部は十五日、捜査員約五十人を動員し、江藤、矢野哲郎の両容疑者が勤める県教委義務教育課など十数カ所を家宅捜索した。

県教委が入る大分市府内町の庁舎には午前十一時半すぎ、捜査員約二十人が到着。課内のスチール棚や両容疑者の机の引き出しを調べ、採用関係の書類などを段ボール箱に次々に詰め込んだ。

閑静な住宅街にある江藤容疑者宅は午前十一時二十分に着手。近くの主婦(58)は「今でも信じられない」と驚いた様子で話した。捜索は蒲江小学校などにも及んだ。

合同捜査本部は同日、収賄容疑で江藤容疑者を、贈賄容疑で浅利容疑者ら三人をそれぞれ、大分地検に送検した。

大分合同新聞 2008年6月16日 9:07

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江藤容疑者、人事班で採用全般を総括

教育界に衝撃が走った。教員採用をめぐり、県教委幹部や現職の校長、教頭ら計四人が逮捕される「まさか」の事態に、関係者には驚きと戸惑いの声が広がった。県教委は十五日未明に緊急の記者会見を開き、小矢文則教育長は「痛恨の極み。県民に心からおわびします」と謝罪した。

江藤勝由容疑者をよく知る教員の一人は「人当たりも柔らかく、誠実できちんと仕事をする人。曲がったことが嫌いという印象だった。信じられない」。県教委職員の一人は「気さくに声をかけてくれる人。ショックで言葉も出ない」と絶句した。

別府市の江藤容疑者の自宅近くに住む女性は「普通にあいさつを交わすし、いい人。ただ、家族を含めてあまり近所付き合いはしない方」。

江藤容疑者は三月まで人事班の主幹・課長補佐として小中学校教諭、養護教諭の採用、異動などの全般を総括する役割などを担っていた。

教員採用試験は例年、七月に筆記、実技などの一次試験を実施。合格者を対象に九月、面接などの二次試験を行う。出願倍率は二〇〇四年度―〇八年度の五年間で、小学校教諭が12・7〜14・8倍、中学校が18・7〜22・1倍、養護教諭が22・7〜37・5倍と厳しい採用状況が続いている。

逮捕後、県教委が開いた記者会見で、小矢教育長は「事実であれば教育行政の根幹にかかわる、断じてあってはならないこと。徹底的に捜査してもらい、真実を明らかにしてもらう必要がある。採用試験に疑念を持たれないよう(試験の)あり方を早急、抜本的に見直したい」と話した。

●「逮捕、非常に残念」佐伯市教育長
佐伯市内の現職小学校長ら逮捕の一報を受け、同市の武田隆博教育長は一瞬言葉を失った。「事実を聞いて、非常に残念。子どもたちへの影響が懸念される。早急に対応を協議したい」と動揺を隠し切れない様子。十五日にも関係職員を集めて対応を協議するという。

蒲江小学校では、十四日午後十時半ごろまで体育館で地域の人たちがバレーボールの練習をしていたが、その後はひっそりと静まり返り、周辺の住宅の明かりも消えた。

学校近くの蒲江浦を通り掛かった三人組の主婦は、浅利幾美容疑者が逮捕されたことを知ると一様に驚いていた。

大分合同新聞 2008年6月15日 10:25

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校長ら4人逮捕 贈収賄容疑

公立学校の教員採用試験をめぐり、現金などわいろ数百万円の授受があったとして、県警捜査二課と大分中央、佐伯両署の合同捜査本部は十四日午後十時四十二分までに、収賄の疑いで県教委義務教育課参事の江藤勝由容疑者(52)=別府市南立石=を、贈賄の疑いで佐伯市の蒲江小学校長、浅利幾美容疑者(52)=佐伯市常盤西町=を逮捕した。

ほかに贈賄容疑で逮捕されたのは▼県教委同課参事の矢野哲郎(52)=大分市大手町▼妻で佐伯市重岡小学校教頭の矢野かおる(50)=佐伯市宇目=の両容疑者。

調べでは、江藤容疑者は同課人事班課長補佐(当時)として、県内の公立学校の人事や採用に関する事務を担当。二〇〇八年度の県公立学校教員採用選考試験に絡み、〇七年八月から十月にかけ、別府市内で浅利容疑者の長男と長女を合格させ、教員に採用してほしいとの趣旨と知りながら、現金と金券合わせて数百万円のわいろを受け取った疑い。

浅利容疑者が矢野容疑者夫婦に話を持ち掛け、江藤容疑者に複数回にわたって現金などを手渡したらしい。浅利容疑者の二人の子どもは本年度、いずれも採用された。

大分合同新聞 2008年6月15日 9:30

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小中学校で「法」教育=東京都教委

東京都教育委員会は、公正な社会の担い手としてルールやマナーをきちっと守れる児童・生徒を育成する「法」教育に取り組む方針を決めた。このほど策定した第2次教育ビジョンで、2012年度までに都内のすべての公立小中学校で法教育を実施する目標を掲げた。

社会のルールやマナーを守ることは本来、学業以前に家庭や地域、学校生活で体験的に身に付けるべき事項とされていた。しかし、最近は社会的に責任ある立場の親自身がルールやマナーを無視して学校に理不尽な要求をする状況が生まれているほか、学校内でもルールに基づいた集団生活を送れない児童・生徒が増えているのが実態。そこで、法教育を学校が重点的に指導すべき事項の一つとして明確に位置付けることにした。

08年度は、教員らによる協議会を設置し、カリキュラム開発を進める。裁判員制度の実施を控えた法務省との連携も視野に入れている。

実際の指導は、社会科や道徳、学校の特別活動の中で実施する方向で、指導のための資料や教員向け啓発リーフレットの作成などを急ぐ。

その上で、09年度から公開授業やシンポジウムを開催。11年度に小学校で、12年度には中学校で、それぞれ個別に法教育を実施する計画だ。(了)

時事通信 2008年6月3日

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東京・和田中の夜間授業:「夜スぺ」3年生の全希望者に 成績問わず

進学塾講師による成績上位者を対象とした夜間と土曜日の補習「夜スペシャル」(夜スペ)を1月に始めた東京都杉並区立和田中学校(代田昭久校長)が今月下旬から、成績にかかわらず3年生の希望者全員に受講の機会を与えることにした。新たに家庭教師派遣業大手のトライグループ(千代田区)と提携し、進学塾のペースに合わない生徒に対応する。

現在、夜スぺは、3年生129人のうち18人が受講している。代田校長によると、4月に3年生の生徒・保護者と面談した際、「夜スペを受講したい」との声が未受講の生徒から多くあった。希望した生徒24人に学力テストを実施したところ、習熟レベルに開きがあったため、個別指導が必要なケースがあると判断。トライ側と話を進めてきた。

新たに受講する24人は2〜3カ月間、進学塾「サピックス」(中央区)の講師による現在の夜スペを体験する。その後、「合わない」と感じた生徒はトライによる個別指導に近い形態の補習を受ける。

これまでの夜スペ同様、授業は月、水、金曜の夜と土曜の午前で、授業料は企業側の協力で個人で受講する場合の半額以下となる。

これまで成績上位者以外の補習は、土曜日に地域住民らのボランティアが受け持っていたが、3年生になると物足りなく感じる生徒も出ていたという。代田校長は「もっと勉強をしたいという子供たち全員に多様なチャンスを与えたい」と話している。【真野森作】

毎日新聞 2008年5月12日 東京朝刊

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撤回要求:現職校長、都教委に…職員会議の挙手禁止通知

職員会議で教職員の挙手・採決を禁じた通知の撤回を訴える東京都立三鷹高校の土肥信雄校長=木村健二撮影 東京都教育委員会が都立学校の職員会議で教職員による挙手や採決を全面禁止した通知を巡り、都立三鷹高(三鷹市)の土肥信雄校長(59)が「教育現場で言論の自由が失われている」と撤回を訴えていることが分かった。都立高の現職校長が都教委の方針に公然と異議を唱えるのは極めて異例だ。

都教委は06年4月、「職員会議において『挙手』『採決』等の方法を用いて職員の意向を確認するような運営は不適切であり、行わないこと」と通知し、校長ら幹部による企画調整会議を中枢に据えるよう促した。

通知後の職員会議について土肥校長は「教職員が『何を言っても意味がない』と思うようになり、活発な議論がされなくなった。教員の意見が反映しにくくなった」と主張。4月11日に立川市内で開かれた都立高校長会で、通知撤回を訴えた。

都教委は通知後、都立学校への調査を繰り返し、生徒の生活指導や学校行事について挙手をさせた校長を厳重注意にしている。07年2月以降は実施校がゼロとなっていた。

元都立久留米高校長の渡部謙一さん(64)は「教職員に『何も考えずに黙っていろ』と言っているに等しい。生き生きとした教育活動が生まれるわけがない」と指摘。一方、都教委担当者は「一部の校長が反対したとしても、全体に出した通知を撤回することはない」と話している。【木村健二】

毎日新聞 2008年5月2日

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2年連続学テ不参加犬山市 14校、淡々と通常授業 瀬見井教育長 来年「白紙から議論」

犬山市の東小学校で授業を受ける6年生(高橋美帆撮影) 全国学力テストに全国の自治体で唯一、2年連続で不参加となった犬山市では22日、市内14の小中学校で通常通りの授業が行なわれた。市内の学校を視察した瀬見井久教育長は、来年の学力テストについて「結論ありきでなく、白紙の状態から議論を積み上げて結論を出したい。参加、不参加にはこだわっていない」と述べ、柔軟に対応する考えを示した。

この日午前、市立東小学校では、テストの対象となる6年生の3クラス(87人)で、1時間目から普段通りの授業が実施された。算数の授業では、15人ずつに分かれた少人数授業が行われ、児童は楽しそうに授業を受けていた。保護者の間には、2年連続で不参加になったことについて、「一度テストを受けて良しあしを決めるべきでは」「テストの意義がわからない以上、参加のメリットがあるのか」など、賛否両論がある。

市教委は昨年、全会一致で不参加を決めたが、今年は、田中志典市長が任命した2委員が「参加すべき」と主張、3対2という採決結果となった。今月8日の臨時議会で、6人目の委員選任人事案が可決され、参加容認派と見られる新委員が加わった。9月には不参加派の委員1人の任期が切れ、来年に向けた「テスト参加」の流れは出来つつある。

参加に否定的だった瀬見井教育長はこの日の視察後、記者団に「国への問題提起という意味で、一つだけでもテストに反対していることは重要だ」と従来の主張を披露。その一方で「重要なのは決定までのプロセス。現場責任者である校長の意見を尊重したい。現場から参加の声が強くなったとしても、それが一つの結論だと思っている」と述べた。

田中市長は17日から、友好都市訪問のため、ドイツに行っており、不在だった。

讀賣新聞 2008年4月23日

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「軍強制」記載、改めて要請=沖縄県議長ら

高校教科書の沖縄戦集団自決の記述をめぐる問題で、沖縄県議や市民団体でつくる「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会(委員長・仲里利信県議会議長)は16日、文部科学省などを訪れ、2006年度の検定意見で削除された「軍による強制」の記述復活などを改めて要請した。

集団自決を命じたとする記述は虚偽として、元日本軍隊長が作家大江健三郎さんらを相手に起こした「沖縄ノート」訴訟で、大阪地裁が先月、請求を棄却した判決を受け、要請を決めた。文科省はこの訴訟を検定意見が付いた理由の1つとしていた。(了)

時事通信 2008年4月16日

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学力テスト参加派の教育委員任命へ=犬山市

文部科学省の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)に全国で唯一、不参加を決めた愛知県犬山市は8日、臨時市議会を開き、田中志典市長が提出した教育委員定数を現在の5人から6人に増員する条例改正案を可決するとともに、新たな教育委員を任命する人事案に同意した。新たな教育委員はテスト参加に前向きとされ、これで参加派と不参加派が同数となった。

犬山市は今年2月、教育委員5人のうち不参加3人、参加2人の多数決でテスト不参加を決めた。新たな教育委員は会社役員の宮田雅隆氏(41)で、宮田氏は5月、同市PTA連合会会長に就任する予定。田中市長は9月に任期が切れる不参加派の教育委員の後任に、参加に前向きな教育委員を充てたい考え。(了)

時事通信 2008年4月8日

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全国体力テスト 愛知・犬山市教委が参加回答を保留

全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)に2年連続不参加を決めた愛知県犬山市教育委員会は24日、文部科学省が新年度に初めて実施を予定している「全国体力テスト」(全国体力・運動能力・運動習慣等調査)への参加の回答を保留した。昨年からスタートさせた学力テストと同じ悉皆(しっかい)調査が特色で、委員からは「意図が不明確」など批判的な意見が過半数を占めた。

体力テストは、国公私立の小学5年と中学2年の全員を対象に握力、50メートル走など各8種目を実施。実技のほか、各学童の生活、食事などを調べ、各校について体育行事や部活動の状況なども調査する。4〜7月に実施し、12月ごろに国が都道府県別、国公私立別の結果などを公表する。

学校対象の調査を除き、これまでも体力テストは小中学校の全学年を対象に抽出方式で実施してきた。新テストはこれと別に行うもので、学年を特定し、全員参加方式の点が大きく異なり、学力テストの“体力テスト版”の色合いが濃い。同省はテストの目的を「より正確なデータを得るため」とし、各都道府県教委に28日までに参加不参加の回答を求めている。犬山市の場合は愛知県から24日までの回答を求められていた。

この日委員からは「運動能力の低下は既に明らか。なぜ全員参加の調査が必要なのか」「学力テストと同じように地域間格差が明らかになる」などの意見が出た。結局、結論を保留し、各校の意見を聞いたうえで来月22日の委員会で結論を出すことになった。【花井武人】

毎日新聞 2008年3月25日

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和田中「夜スペ」中止求める=杉並区民

東京都杉並区立和田中学校が進学塾と連携して行っている有料授業「夜スペシャル」は、施設の目的外使用に当たり違法として、区民49人が24日、区や進学塾などを相手に、授業の仮差し止めを東京地裁に申し立てた。

夜スペシャルは、成績が良い生徒のうち希望者を対象に、同校の施設を使い塾講師が有料で授業を行う制度で、1月下旬に始まった。

申立書で区民側は、税金で建てられた公立学校施設を一部企業の営利目的のために使うことを認めるもので違法と主張している。

杉並区教育委員会の話 事実関係が分からないのでコメントできない。(了)

時事通信 2008年3月24日

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横浜市立高校で社会貢献義務づけへ 卒業までに30時間

横浜市教育委員会は、市立高校全校(九校)の生徒に地域の清掃活動やスポーツ指導など社会貢献を目的とした「社会体験プロジェクト」を義務づけることを決めた。卒業までに三十時間程度、活動に参加する。十八日公表した「横浜市立高校版学習指導要領」総則(素案)に盛り込んだ。二〇一〇年度から一部の学校で実施し、一三年度に完全実施する。

指導要領によって社会貢献活動の時間を義務づけるケースは珍しいという。県教委によると、県立高校では年一回「地域貢献デー」を設け一斉に社会奉仕活動を実施しているが、その他の社会貢献活動などは各学校で独自に行っている。

社会の一員として、地域の課題に積極的にかかわろうとする社会参画意識を育てる狙い。自発性を促すため、単位を認定する「教科」ではなくホームルームなどの「特別活動」の時間を使って実施する。

プロジェクトの具体的な内容として市教委は、地域おこしや商店街の活性化、地域防災への協力、高齢者や障害者との交流活動などを想定している。各学校は地域の特色を生かした計画を策定していく。

素案は改正教育基本法や横浜教育ビジョンなどに基づき策定した。〇八年度中に国が告示する学習指導要領を待って成案とする。

社会体験プロジェクトのほか、英語力の向上を目指して英検などの到達目標を明確にした学習指導や、総合学習の時間に環境や食糧など地球規模の問題について、横浜にある国際機関や大学などの協力を得た学習を行う方針などを打ち出している。

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学力テスト不参加、犬山市長「混乱に巻き込みたくない」

全国学力調査(学力テスト)をめぐり、愛知県犬山市の田中志典(ゆきのり)市長は16日、教育委員の増員を市議会3月定例会に提案しないことを正式に明らかにした。市長は朝日新聞のインタビューに応じ、2回目となる08年度調査への不参加が確定することについて、「『断念』ではなく決断した」と述べた。市民の様々な意見を採り入れることをねらいに保護者に教育委員になってもらい、将来の参加もにらんで委員数を増やす検討を続けることも明らかにした。

田中市長は「決断」について、「私も4人の子どもたちを市内の学校に通わせている保護者だ。現場の先生や児童・生徒をこれ以上の混乱に巻き込ませたくないと考えた。また、市民や全国の人々にこれ以上、犬山のことを誤解されたくはないと思った」と胸の内を語った。

全国学力調査に対する考え方で、市長と、市教委の総意とは隔たりがあった。

市教委は「教育現場に競争を持ち込み、豊かな人間関係を育む土壌をなくし、子ども同士や学校間で格差を生む」と、学力調査の弊害を指摘してきた。

これに対し、田中市長はインタビューの中で、調査そのものに確かに問題もあるが、利点も多いので個人的にはやるべきだと思うとしたうえで、「現実には競争というものも存在する。グローバル化が日本社会で進むなかで、親として子どもたちにもっと力をつけて欲しいとも思う。学力調査を受けることは、子どもたちの状況を知るうえでも害になるとは思えない」と述べた。

これまで、「委員を増員し、(参加派を多数にして)調査に参加することもできる」と発言してきた田中市長は、実際に新たな教育委員の人選も進め、市議会とも相談してきたという。「今でも参加すべきだと考えている。だが今回、ことさらにマスメディアに取り上げられ、対立を強調された」と話す。

「教育行政への政治介入」との批判も受けているとして、「介入するつもりはない。ただ、公教育なので民主的なやり方で市民の思いを反映させた機関決定をしてほしいと望んでいる」と強調。「学力調査の功罪を、もっと保護者、市民も含めて議論すべきだ。アンケートなどで意向を尋ねる方法もある」と話す。

市教委や瀬見井久教育長は校長らへの説明や、学力調査の理解を深めるQ&Aなどをまとめた書籍を発行してきた。だが田中市長は、住民への説明はなお不十分だ、との主張だ。

犬山のこれまでの教育改革について、田中市長は肯定的にとらえ、「教育改革を否定するつもりはまるでない。むしろ賛同し、発展させたい。全国から注目され、誇りに思う」として、08年度予算でも今まで通りに少人数学級のための補助教員の費用などを積極的に認めてきたことを挙げた。

ただ、田中市長は委員の増員は今回の議会で見送っただけだとして、「改正法(改正地方教育行政法)の要請もあり、市民や保護者の意見を幅広く市教委に反映させるため、増員は考えている」と述べた。4月から施行される改正法では委員の増員が可能となり保護者が含まれるよう努めること、とされている。

今回の田中市長の「決断」について、瀬見井教育長は「改めてコメントすることはない」としている。

2回目調査に不参加を決めたことも含め教育問題全般について、市教委は21日から、四つある中学校区単位の保護者、住民を対象にした意見交換会を開く予定だ。

朝日新聞 2008年3月17日

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全国学力調査 犬山市、今年も不参加 市長断念し確定

全国学力調査(学力テスト)をめぐり、愛知県犬山市の田中志典市長が市教育委員の増員をしない方針を固めたことが15日、関係者の話でわかった。市教委は4月に実施される2回目の調査について委員5人で記名投票し、3対2で不参加を決めている。委員の増員により市教委の決定が覆される可能性があったが、増員しないことにより、調査の2度目の不参加は確実になった。(藤島大輔)

犬山市は07年4月の第1回調査で、「全国一律の学力テストは教育に競争原理を持ち込み、地域で独自に実施している公教育を壊すものだ」などとして全国の自治体で唯一、不参加だった。市教委は2月には08年度の2回目調査への不参加も決めた。

これに対し、田中市長は4月から施行される改正地方教育行政法で教育委員の増員が可能になるのにあわせ、「教育委員を増員したうえで、調査参加を承認し、4月の調査に間に合わせることもできる」などと発言。新委員の候補選びも進めており、開会中の市議会での動きが注目されていた。

関係者によると、市長は今回、市教委の決定を覆すと対立が強まり、現場の教員や児童・生徒に混乱を与えることにもなる、などの判断が働いたものとみられている。

朝日新聞 2008年3月16日

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犬山市のみ今年も不参加=全国学力テスト

文部科学省は12日、4月22日に実施する全国学力テストに参加表明した学校数(2月現在)を発表した。昨年同様、愛知県犬山市内の14校を除くすべての公立小中学校が参加する一方、私立の参加校は昨年より減った。

国立は157校すべて、公立は小中合わせ3万2060校が参加する。一方、私立は小中計472校で、昨年同期の539校を下回り、私立全体の参加率も61%から53%に下がった。

同テストは昨年、全児童・生徒を対象に、43年ぶりに復活。小6と中3の児童・生徒約233万人が、国語と算数・数学で受験した。(了)

時事通信 2008年3月13日

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35人学級の見直しを指示=橋下大阪知事

大阪府の橋下徹知事は1日までに時事通信のインタビューに応じ、小学校の1、2学年に一律導入している35人学級制について「必要ないのではないか」と述べ、少人数学級の再編成を検討するよう指示したことを明らかにした。実現すれば一部は40人学級制に逆戻りすることになり、論議を呼びそうだ。また財政再建に向け、医療費助成など府民生活に直結する事業も聖域なく削減を検討する考えを示した。

橋下知事は「40人学級制にすれば、35人学級制のために30億円を投入して配置している教員を有効活用できる」と指摘。40人学級制とすることで余る教員を、学力や生活習慣の点で少人数での指導が必要な子供(学級)に振り向ける考えを示した。

このため、少人数指導が必要な学級の在り方について調査するよう教育長に指示したことを明らかにした。

また、知事は2008年度に1100億円の収支改善を行う方針を示している本予算案の編成で、「これだけは絶対に残すと先に決めるわけにはいかない」とし、削減の検討対象に聖域を設けないことを強調した。

医療費助成や中小企業融資など府民生活に直結する事業でも「我慢してもらわなければならない部分は当然出てくる」と述べた。(了)

時事通信 2008年3月1日

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指導力不足で分限免職は違法=京都地裁

京都市立小学校で学級崩壊したクラスを受け持っていた元教員の男性(34)が、指導力不足を理由に分限免職処分を受けたのは違法として、市教育委員会を相手に処分の取り消しを求めた訴訟の判決が28日、京都地裁であった。中村隆次裁判長は「処分は裁量権の行使を誤った違法がある」として、処分を取り消した。

原告側弁護人によると、指導力不足を理由として、本人の意思に反して解雇する分限免職処分が違法とされたのは初めてという。

判決で中村裁判長は、市教委が処分理由とした35項目について、半数以上は事実として認められないか、事実であっても「教員としての評価に影響しない」と指摘。一方、学級崩壊が生じたことなど、生活や学習指導に不十分な面があったと認定した。

その上で、管理職との関係性や児童の特性などの要因もあり、「学級崩壊が生じたことが、直ちに元教員の能力が欠如していると即断されるべきでない」と判断。「市教委の判断は客観的に合理性を持つものとして許容される限度を超えており、不当」とした。

判決によると、元教員は2004年4月、市立小学校に試用期間一年の条件付きで採用され、05年3月31日付で分限免職処分を受けた。

市教委の話 児童の教育保障のためには必要で妥当な処分であったと考えており、残念な判決だ。控訴を考えたい。(了)

時事通信 2008年2月28日

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犬山市、今年も不参加 全国学力テスト

文部科学省が昨年4月に小学6年と中学3年生を対象に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で、全国の自治体で唯一参加を拒否した愛知県犬山市の市教育委員会は19日午前、定例会を開き、今年4月の同テストも参加しないことを賛成多数で決定した。

投票の結果、「不参加」3票、「参加」2票だった。昨年12月に就任した新しい教育委員2人が参加票を投じたとみられる。文科省では現在、各自治体の参加・不参加を調査中だが、犬山市は昨年に続いて全国唯一の不参加の自治体となる可能性がある。

同市教委は昨年3月の臨時会で「(全国学力テストによる)市場競争原理の導入は犬山の教育理念に反する」との理由で、全会一致で不参加を決議。一昨年12月の市長選で「参加」を主張して初当選した田中志典市長との対立が続いていた。

採決に先立ち、瀬見井久教育長は「教委制度には独自性があり、国とは一線を画すもの。国に反発するのは有意義で誇るべきことだ」と述べた。

これに対し、田中市長は「昨年の不参加決定以来、教委は保護者ら市民への説明責任を放棄している。十分な説明をしないのは独善的で、民主的とは言えない」と批判した。

中日新聞 2008年2月19日 夕刊

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学力テスト「今年も不参加」−愛知県犬山市

愛知県犬山市教育委員会は19日、文部科学省が2007年度から実施している「全国学力テスト」に08年度も参加しない方針を決めた。同日の定例教育委員会で多数決で不参加を採択した。同市は昨年4月実施の同テストに国公立では唯一参加しておらず、動向が注目されていた。

市教委によると、昨年は5人の教育委員が全員一致で不参加を決定した。その後、参加を目指す田中志典市長が委員改選などに合わせて自身の立場に近い委員2人を任命。今回は記名投票形式で採択し、3対2で不参加が決まった。

しかし、田中市長はさらに教育委員を2人増員する条例制定も示唆しており、増員が実現するなどすれば、来月24日の定例教育委員会で参加を再採択する可能性も手続き上は残っているという。(了)

時事通信 2008年2月19日

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愛知・犬山市教委、今年も不参加決定

田中志典市長(写真奥)が見守る中、学力テスト不参加を決めた犬山市教委=同市内で2008年2月19日午前11時20分ごろ、安達一正撮影

昨年の全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)に自治体で唯一参加しなかった愛知県犬山市の教育委員会は19日、今年の同テスト(4月22日実施)への参加問題を協議し、投票の結果、不参加を決めた。しかし、参加に意欲を示す田中志典(ゆきのり)市長は参加派の教育委員の増員も検討中といい、なお曲折が予想される。

この日の議論では「問題点が改善されていない」「社会の99%が認めている」など、テストに対する賛否の意見が出た。その後の委員5人による記名投票の結果は不参加3、参加2で不参加を決めた。

昨年は全会一致で不参加を決めたが、11月に同市監査委員から「不参加決定は事務局主導で、審議が不十分」との監査結果が出され、問題が再燃。田中市長は12月、委員2人の後任に参加派を選任したほか、今年1月には瀬見井久教育長と丹羽俊夫委員長に辞職を迫るなど対立が深まっていた。

地方教育行政法改正で4月から教育委員の増員が可能になったのを受け、田中市長は議会に増員を打診中といい、実際には学力テスト実施直前まで混とんとした状況が続きそうだ。【花井武人、安達一正】

毎日新聞 2008年2月19日 14:12

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私学助成、聖域とせず=橋下大阪知事

大阪府の橋下徹知事は、18日に開かれた私学助成の充実を求める私立学校保護者大会を欠席した。同日、記者団に対し「私学助成と言っても、セーフティーネットにかかわる部分と、そうでない部分がある」と述べ、私学助成についても聖域なく、削減も含めて検討する考えを示した。

同大会には、2004年度から毎年知事が出席していた。橋下知事は欠席の理由として、担当部局による政策課題の説明と予定が重なったことを挙げた。予定が合えば出席したかとの記者団の問いに対しては、「保護者の集まりか、経営者の集まりか分からなかった」とした上で、「保護者の集まりなら出ただろう。ただ、今回の大会は、要望書を見ると保護者の集まりとは違うと思った」と述べた。(了)

時事通信 2008年2月19日

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公民館長に公募制導入=大分市

大分市は、市内12公民館のうち11館と、グリーンカルチャーセンターの館長が、それぞれ任期満了となる時期に合わせ、2008年度から順次、公募制を導入する。これまで教職員・市職員退職者を任命していたが、多彩な人材を充てることで、公民館活動を活性化し地域づくりに生かすのが狙いだ。

08年度は、現職が任期満了となる3館(大分南部、坂ノ市、大南)で実施。45歳以上63歳未満の市民を対象に、15日から29日まで申し込みを受け付ける。申込書と課題論文による1次試験と、個別面接の2次試験を実施し、有識者を入れた選考委員会で選考する。

任期は5月1日から09年3月末までで、更新は最長3年間。赴任する館は市が指定する。勤務の日数は月17日で、時間は午前9時〜午後5時または午前8時半〜午後4時半とする。(了)

時事通信 2008年2月7日

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主幹教諭設置で給料表改定へ−徳島県人事委

徳島県人事委員会は5日、学校教育法の改正に伴い2008年度から設置できる副校長と主幹教諭、指導教諭の給与のあり方について、現行の給料表を4級制から5級制に改定することなどを知事と県議会議長に勧告した。

勧告では、全国人事委員会連合会の研究の成果を踏まえ、給料表の級構成を現行の4級制に特2級を加えた5級制に改め、副校長を教頭と同じ3級、主幹教諭、指導教諭を特2級とする。また諸手当のうち一般職員の超過勤務手当に当たる教職調整額は、主幹教諭、指導教諭も一般教諭と同様、支給対象(給与月額の4%)とすることなどを求めている。

県は勧告に基づき、2月県議会に条例改正案を提出し、可決されれば08年4月から施行する方針。(了)

時事通信 2008年2月5日

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氏名収集再開、君が代不起立で 神奈川教委

神奈川県教育委員会が入学式、卒業式の君が代斉唱時に起立しなかった教職員の氏名について情報収集していた問題で、引地孝一同県教育長は4日の県教委の会合で「粘り強く(起立などを)指導していく方針に変わりはない」と述べ、一度停止していた氏名把握と県教委への報告を3月の卒業式から再開する方針を明らかにした。

県教委も「思想信条のみに従って行動されては、学校の運営管理上、大きな支障を生じる恐れがある」として了承した。

この問題では、氏名を収集された教員らが「思想信条についての情報収集に当たる」として異議を申し立て、昨年10月に県個人情報保護審査会が「県条例違反」と答申した。これを受け、県教委は氏名収集をいったん停止した一方、収集の可否について県個人情報保護審議会に改めて諮問。審議会は、収集は「不適」としつつ、最終判断は「教委に委ねられる」との答申を1月にまとめていた。

氏名収集を再開することについて、同教育長は「不起立の理由については問うていない」などと述べ、条例違反
には当たらないとの見解を示した。(了)

時事通信 2008年2月4日

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成績上位者対象 杉並区立和田中の進学塾連携授業が始まる

進学塾SAPIXの講師を招いて行われた授業風景=26日午前、東京都杉並区の区立和田中学校  東京都杉並区の区立和田中学校(藤原和博校長)で26日午前、進学塾講師による有料特別授業通称「夜スペシャル」が始まった。2年生の生徒約11人が参加し、2時間強にわたり、塾講師による英語の講義を受ける。

特別授業は、同校生徒の保護者らのボランティアと進学塾「サピックス」(東京)とが連携。放課後の教室を利用し、塾から派遣された講師が有料授業を行う。平日夜に数学と国語を学ぶ週3日のコースと、これに加えて土曜日午前に英語を学ぶコースがある。

2年生約130人のうち、主に成績上位の生徒が対象。高校受験に向けて成績アップを目指す。

入室テストに合格した生徒は1回45分の授業につき500円、月額で1万8000〜2万4000円の授業料を支払う。同塾の通常の受講料の半額程度で学び、家庭の経済状況で費用負担が難しい場合には、軽減措置が講じられる。

今回の試みは、平成15年に都内の公立中で初の民間企業出身の校長となった藤原校長が「私立中に行かずに済む受験サポートを」と提案。運営は和田中の保護者や地域住民らがつくるボランティア「地域本部」が行う形を取った。

今月9日に開始する予定だったが、都教育委員会が義務教育の機会均等や公共施設の利用といったことを問題視。杉並区教委に実施の再考を求めるなど論議を呼んだ。

区教委は23日、特別授業を「学校教育外活動」と位置づけることを決め、都教委も24日に「(特別授業は)学力の向上という公共の利益のためで、不適切なものではない」との見解をまとめ、実施を了承した。

同中では大学生らが発案する全生徒対象の土曜補習(年5000円)を実施しているが、今回の試みは成績上位者が対象。

MSN産経ニュース 2008年1月26日 9:53

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教育長批判、委員増を示唆 学力テスト対立の愛知・犬山市長

全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の不参加をめぐり、市長と教育委員会側が対立している愛知県犬山市で、参加を推進する田中志典市長は25
日、記者会見で「今の教育委員会は瀬見井久教育長の独裁体制。(教育委員の定数の)バランスを崩す必要がある」と述べ、教育委員を増員させることを示唆
した。

現在犬山市教委の5委員のうち、3人が不参加を決めた委員。昨年12月、市長は改選などに合わせて、自らの立場に近い2人を委員に任命した。増員は市
長寄りの委員を増やし、全国学力テスト参加に結び付ける狙いがあるとみられる。

田中市長は会見で、委員数の上限を撤廃した改正地方教育行政法が4月から施行されるのに合わせて、3月の市議会に委員増員の条例案を出すこともありう
るとしたが「議会と相談しないといけない」と明言は避けた。

田中市長は会見に先立つ同日午前、市教委にオブザーバー参加。昨年の不参加決定について、監査委員が「市教委は審議不十分」としたことを挙げ、瀬見井
教育長らに「責任者として辞職すべき」と発言した。瀬見井教育長は「(市長が辞職を求めるのは)筋違い。コメントしない」とした。

犬山市は国公立で唯一昨年の全国学力テストに不参加だった。市教委は2月に今年のテストへの参加の是非を決定する予定。

共同通信 2008年1月25日

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犬山市長 教育長に辞職求める

去年4月に行われた全国一斉の学力テストに、自治体として全国で唯一参加しなかった愛知県犬山市の教育委員会が25日、今年のテストへの参加について協議しました。教育委員会では、学力テストへの不参加を決めた教育委員会の審議は不十分だとする監査結果への対応や、次の学力テストへの対応などについて話し合いました。ところが会議の冒頭、傍聴人として参加した田中志典市長が発言し「監査結果では、『教育委員会は、会議規則が守られなかった』とされている。教育長と教育委員長は、責任を負って辞職すべきだ」と述べ、会議に出席している2人の辞職を求めました。このため委員会では、次の学力テストについて、改めて協議することになりました。

NHKニュース 2008年1月25日

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学力テスト不振で特命チーム=高知県教委

高知県教育委員会は、2007年4月に行われた全国学力テストの結果が振るわなかったことを受け、専従の指導主事らから成る特命チームを08年度に設け、中学校の学力対策に乗り出す方針を決めた。

小中学校課によると、同課内に専従の指導主事6人を配置するとともに、各教育事務所と関係課職員も兼務で加わる形で、特命チームは18人体制となる見通し。

全国学力テストの結果が特に不振だった中学校のてこ入れ策を市町村教委と検討した上で、主に特命チームの専従職員が学校現場に入り、授業の改善や生徒指導などに当たる。専従職員が必要に応じ、教壇に立つこともあるという。

同課は、県全体の人員スリム化の流れの中で時限的な措置になるとの見通しを示した上で、当面2年間で成果を出したいとしている。

昨年4月の全国学力テストで、同県の公立中平均正答率はいずれも全国平均以下。特に数学Aは全国平均を9.1ポイント、数学Bは同10.0ポイント下回った。(了)

時事通信 2008年1月17日

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小2も35人学級=愛知県

愛知県は、現行制度で小学校1年生のみを対象としている35人学級を、2008年度から小学校2年生にも広げる。集団生活に不慣れな低学年児童に対して、よりきめ細かな授業が行えるようにするのが狙い。08年度当初予算案に、加配する教職員268人分の人件費として約20億円を計上する。

県教育委員会の試算によると、小2に35人学級を採用した場合、小2の学級数は268増え、2577学級となる見込み。県は学級数が増える分、教職員を新たに確保する。

同県は04年度から小1に35人学級を導入した。小2への拡充について、県教委財務施設課は「35人学級を小2まで広げ、目配りを続けることで、学習導入期でのつまずき回避が期待できる」としている。

小2への35人学級拡充は、神田真秋知事が07年2月にあった知事選の際のマニフェストで、08年度から実施する方針を提示していた。このマニフェストでは09年度から中1を35人学級とする目標も掲げている。(了)

時事通信 2008年1月15日

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改めて検定意見撤回要請=沖縄県議長ら

沖縄戦の集団自決をめぐる教科書検定で、文部科学省が教科書会社の訂正申請でも「日本軍の強制」という記述を認めなかったことについて、仲里利信沖縄県会議長らは15日、同省を訪れ、改めて検定意見の撤回と記述の復活を要請した。

応対した池坊保子副大臣は「県民の気持ちを真摯(しんし)に受け止め、きちんと対応したと思っている」と述べ、要請に応えるのは難しいとの認識を示した。

仲里議長は昨年12月、訂正後の記述で軍の「関与」が認められたことについて「80点」と評価していた。しかし、この日の面談後、訂正承認と同時に出された文科相談話に謝罪や今後の検定方針への言及がなかった点を挙げ、「評価はかなり甘かった」と述べた。

その上で、記述復活について「時間をかけてでもずっと(要請を)やっていきたい」と話した。今後の運動方針は、改めて県民大会実行委員会を開いて協議するという。(了)

時事通信 2008年1月15日

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学力テスト11年度に正答70% 初の目標値設定

県三役と部長級でつくる県振興推進委員会が11日、県庁で開かれ、沖縄振興計画の行動計画に位置付けられる11分野の第3次計画(2008―11年度)の素案を了承した。このうち県は国の同意が必要な法定4分野を除いた7分野を公表。教育推進計画では、07年度の全国学力テストの結果が全国最下位だったことを受け、初めて具体的な目標値を定めた。平均正答率が小学生65・1%、中学生が60・1%だったのを、11年度には「小中学生とも70%」と掲げている。法定の4分野は24日、沖縄振興審議会の終了後に発表される。

県教委の杉浦友平教育管理統括監は「07年度から学力テストが実施されたことを受けた」と学力テストを計画に盛り込んだ理由を説明。

目標値については「県として70%は目指せるところで、全国平均がどうなるとかいうものではない」などと述べ、「ランク付けのためではない」と強調した。

このほかの分野別計画では、福祉保健推進計画で第2次計画になかった自殺や生活習慣病対策などが新しく盛り込まれた。

自殺死亡率は06年度が27・5人(人口10万人当たり)だったところを11年度は25・3人を掲げる。

琉球新報 2008年1月12日

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犬山市長 教育委員増員を検討 学力テスト参加へかじ切りか

昨年四月の国の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)に全国の自治体で唯一参加しなかった犬山市の田中志典市長は新春会見で十一日、現在五人の市教育委員の増員を検討していることを明らかにした。市教委に学力テスト“肯定派”の委員を加え、参加へとかじを切りたい考えだ。

改正された地方教育行政の組織および運営に関する法律が四月から施行され、原則五人と定められた教育委員の数の弾力化が認められる。委員に保護者を選任することも義務づけられる。増員のためには市議会が条例制定案を可決する必要がある。

同市教委は昨年三月、委員五人全員が学力テスト不参加で一致した。その後、二委員が辞職と任期切れで退任。後任の二委員はいずれも学力テスト参加に賛成する田中市長の主張に近く、学力テスト賛成の二委員が新しく加われば、採決では逆転すると見られる。

会見で田中市長は「市民の声があり、テストには参加すべきだ」とこれまでの主張を述べ、「全国一斉にテストを受けることで教える側の授業改善につながる。競争原理はだめだと言うが、そうならないよう工夫すればいい。否定からは建設的なものは生まれない」と市教委を批判した。

田中市長は市議会三月定例会に条例改正案を提出する用意があることをにじませ、新しい委員には保護者のほか女性の選任を示唆した。

これに対し、瀬見井久教育長は「特にコメントすることはない」と話した。(早川昌幸)

中日新聞 2008年1月12日

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犬山市長 教育委員の増員検討 学力テスト参加へ布石

愛知県犬山市の田中志典市長は11日の記者会見で、市教育委員の増員を検討していることを明らかにした。全国の自治体で唯一不参加だった全国学力調査(学力テスト)の是認派を多数にするのがねらいとみられる。田中市長は「3月の定例市議会で増員提案もできるのではないか。新委員を選任後、調査参加を承認し、4月の調査に間に合わせることもできる」などと発言した。

現在の委員数は瀬見井久教育長を含め5人。昨年4月に実施された今年度調査は全会一致で不参加を決めた。市教委は今年4月に実施される新年度の全国学力調査についても参加の是非を検討してきたが、昨年12月には委員2人の後任に参加是認派を推す人事案を田中市長が市議会に提案、承認されていた。

田中市長は会見で、「(学力テストを)受けたいという児童や生徒がいるのに受けさせないのはおかしい」と改めて市教委の姿勢を批判した。

4月に施行される改正地方教育行政法では、原則5人だった都道府県や市の教育委員数の弾力化を認め、教育委員に児童・生徒の保護者を選任するよう義務づけている。田中市長はこれに合わせ、増員の委員を保護者とする考えだ。

朝日新聞 2008年1月12日

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犬山市長 教育委員の増員検討 学力テスト参加の方向

昨年の全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)に自治体で唯一参加しなかった愛知県犬山市の田中志典市長は11日、教育委員の定数を増やし、今年のテストへの参加を検討していることを明らかにした。法改正で教育委員の定数増が認められたことによる措置で、同市が一転してテストに参加する可能性が出てきた。

自治体の教育委員は現在5人と定められているが、昨年の地方教育行政法改正で、今年4月から増員が認められた。昨年、テスト参加を拒否した同市教委では、瀬見井久教育長ら5人の委員全員が参加に反対した。その後、委員2人が任期満了などで改選され、昨年12月に賛成派とされる2人が就任した。

定数増の条例案が3月の市議会で承認されれば、賛成派が2人以上任命されるのは確実。賛成派が4人以上になって反対派3人を上回り、今年4月22日に予定されているテストへの参加を決める可能性が高い。教育委員会の独立性を保持する観点から、条例制定には市教委とのコンセンサスを図る必要があるとされ、田中市長の判断が注目される。

田中市長はこの日の記者会見で「昨年のテスト実施後、不参加を表明する自治体がないのは、授業の改善に役立っているから。“犬山の子は犬山独自の教育で”という市教委の主張は唯我独尊」と話し、テスト参加に強い意欲を示した。一方、瀬見井久教育長は「コメントすることはない」との談話を出した。【花井武人】

毎日新聞 2008年1月12日

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区立中の塾授業 都教委『待った』 機会均等に疑義

民間出身の藤原和博氏(52)が校長を務める東京都杉並区立和田中学校で今月から始める予定だった、大手進学塾の有料授業「夜スペシャル」について、都教育委員会は七日、井出隆安・同区教育長を都庁に呼び、「学校教育の機会均等などの観点から疑義がある」などとして実施の再考を求める文書を手渡した。同区教委は「教育の地方分権が求められている今日、都教委がこのような指導を行ったのは極めて残念」と反発している。

区教委は九日に予定していた「夜スペシャル」の初回授業をいったん中止し、同日の定例教育委員会でこの問題について対応を協議する。都教委の指導には、法的な拘束力はなく、区教委は「(指導の)内容を十分検討し、地域の自主的な取り組みが実現できるよう支援していきたい」と主張しており、授業の実施に意欲をみせている。

「夜スペシャル」は、地域住民らでつくる「和田中地域本部」が主催。大手進学塾「サピックス」(東京都中央区)と連携し、塾講師が二年生の希望者に、国語・数学・英語の三教科を教える。

授業は月・水・金曜の夜間と土曜の午前中で、月額受講料は平日コースが一万八千円、土曜を加えた週四日コースが二万四千円の予定。

都教委は文書で、学校施設を特定の私塾が使用して料金を取り、そこで使う教材の開発に校長・教員が関与することについて▽義務教育の機会均等確保▽公立学校施設の公共性・非営利性▽教育公務員の兼業・兼職の適正手続き−の点から疑義がある、と指摘した。

杉並区は、和田中で実践している商店経営などを模擬体験しながら社会の仕組みについて考える授業「よのなか科」や、教育基本条例の制定を目指すなど、区独自の教育改革で全国的に注目されている。

■都教委の判断適切
教育評論家の尾木直樹さんの話 特定の公立学校が進学実績を上げるために、特定の子どもだけを教えるのは教育の破壊だ。都教委の判断は適切。憲法や教育基本法を踏まえずに「教育の地方分権」とは言えない。

■子どもの声を聞け
杉並区で「百瀬創造教育研究所」を主宰する百瀬昭次さんの話 新しいことを取り入れようとする藤原校長の姿勢は評価できる。塾の先生は、楽しく教える技術を持っているから、学校もそれを学べばいい。学校の主人公の子どもたちの声を聞くことが大事だ。

東京新聞 2008年1月8日

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