地方政府、地域の動き(2008年8月)


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中頓別の教育長非常勤化 町議4人、条例改正案提出へ

【中頓別】行財政改革の一環として教育長の常勤・非常勤を自治体が選択できる条例案を検討していた宗谷管内中頓別町議会の議員四人は二十七日までに、「教育長は特別職とし、教育委員会が常勤か非常勤かを決定する」とする条例改正案をまとめた。九月二日開会の臨時町議会に提出する。可決されれば全国初。

「教育長の給与及び勤務時間等に関する条例」改正案としてまとめた。教育長の身分について、文部科学省は、過去の通達などを根拠に「常勤の一般職」とするよう指導しているが、四議員らは、二〇〇〇年の地方分権一括法施行によって自治体が決められるようになったとの考えから、非常勤にできる「特別職」と規定した。

非常勤の給与は町特別職報酬等審議会で定めるとし、期末手当や退職金は支給しない。常勤の四年間の給与と退職金は計三千五百万円余りだが、非常勤となった場合、一定程度の削減が見込まれる。

当初、町議八人のうち石神忠信議長を除く七人全員での提案を目指したが、三人が「非常勤化に道を開くべきではない」と反対したため、柳沢雅宏議員が代表して提案し、三人が賛成者になることにした。

柳沢議員は「常勤、非常勤を教育委員会が自主的に判断する案で、即、非常勤化ではないが、行財政改革の観点から選択肢として必要」としている。

北海道新聞 2008年8月28日

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人事部門、教員出身者を削減 県教委が検討

県教育委員会は二十四日、会合を開き、教員採用汚職事件で採点データの改ざんなどが横行していた人事部門について、教員出身職員を減らす方向で調整することを申し合わせた。月末に公表予定の教育行政の抜本的な見直しに向けた改革案に盛り込まれる見通し。

会合終了後、県教育委員会の麻生益直委員長らが報道陣の質問に答えた。

人事部門での教員出身職員の具体的な役割などについては今後詰める。また、採用試験をめぐる汚職事件が起きた義務教育課だけでなく、高校教育課も対象とする方針。

麻生委員長は「(県教委全体の中で)教員出身の職員が多くなっており、人事に関する制度を見直すことになる。その中で(人事部門の教員出身者も)自動的に減るのではないか」と話した。

採用試験を担当する義務教育課、高校教育課の人事部門は教員出身者に加え、学校事務、知事部局出身の職員がいる。しかし、権限があるポストの多くは教員出身者で占めてきた。

今回の汚職事件では、採点データの集計や入力を含めた職務権限が、教員出身だった元県教委義務教育課参事(人事班総括)の江藤勝由被告(52)=収賄罪で起訴=に集中。チェック機能が働かず、制度的な問題が浮き彫りになった。

会合ではこのほか、教員採用、校長・教頭任用試験に絡んだ一連の事件に関する職員への処分についても意見を交換。麻生委員長らは、地方公務員法に基づく処分が、不正に関与した職員だけでなく、管理監督責任がある職員など、広範囲になる見通しを示した。

大分合同新聞 2008年8月25日

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県教委、模範解答と配点公開 教員採用試験

メールで記事を紹介する 印刷する 県教委は十二日、県庁の情報センターで、七月に実施した二〇〇九年度公立学校教員採用選考試験(一次試験)の筆記試験の模範解答と、配点表の公開を始めた。これまでは非公開だったが、教員採用試験をめぐる汚職事件を受け、試験の透明性を高めるため、改善した。

公開を始めた模範解答は一次の教養試験(一般、教職)や教科ごとの専門試験で、選択式のほか、記述式の問題も含む。配点表は設問ごと。それぞれ一枚十円でコピーすることができる。既に問題用紙の持ち帰りは一次試験から認めており、模範解答と配点表を合わせれば、受験生はより正確な自己採点ができる。

県教委は集団討論(一次試験)や面接(二次試験)の評価基準といった採点基準についても、来年度の採用試験後の公表に向けて検討を進めている。

大分合同新聞 2008年8月13日

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明確な根拠は示せず 学テ結果非開示決定

全国学力テストの二〇〇七−〇八年度の市町村別、学校別結果を鳥取県教育委員会が非開示と決めた十一日、序列化を懸念して開示に反対してきた学校現場や市町村教委から安堵(あんど)の声が聞かれる一方、「原則公開」をうたう県条例を運用すれば開示は当然との制度論的疑念や開示を学力向上に生かす取り組みの必要性を指摘する意見も上がった。〇九年度以降の結果の取り扱いは先送りされ、条例の内容も含めて開示の是非をめぐる議論は今後も続くことになる。

県教育委員会の臨時委員会は制度論、教育論双方を交えた議論の末、六人の教育委員のうち五人が非開示を支持、中永広樹県教育長のみが開示を主張した。開示の必要性に触れながら非開示を前提としたテストだったという「約束」を理由に反対した委員も。異例の多数決で結論を出したものの、非開示の明確な根拠、決め手に乏しかった。

中永教育長は県情報公開審議会の答申の重みを尊重したい意向を再度明言。「漠然とした恐れを拡大解釈するのではなく、明確な恐れを提示しないといけない」とし、県の基礎学力調査の結果公表後に支障を来した具体事例が現場から多くは上がらなかったと指摘した。

若木剛委員は「開示した場合のデメリットを具体的にというなら、メリットも具体化してほしい」と主張。今出コズエ委員も「(現場は)点数主義などの価値観が強まることを懸念しているのでは。成熟した社会ができていないから不安が出てくるのだろう」と、現場から噴出した開示への強い反対に理解を示した。

県教委によると、PTA関係者との意見交換会の反応は「西部は半々。東・中部は八−九割が非開示」だったという。

東部での意見交換会に出席した上山弘子委員は開示を懸念する保護者の声を紹介しながらも「開示によって、どういう教育をしていくのかを学校も保護者も考える機会になるのではないか」と開示のメリットを強調。ただ、非開示を前提にテストが行われたことを踏まえ「大人が児童らにうそをつくことになる」と最終的には非開示に回った。

山田委員長は「開示を序列化ではなく、教育の質向上へ結び付けることを皆で考えるような『成熟した社会』ができていない現段階では、開示への条件整備が必要」と説いた。

唯一明確に開示の立場を取った中永教育長は「恐れがあってもはね返していくのが教育。たかが二教科、二学年の結果で、参考までの数字だ。この数字以外にもそれぞれの学校が展開する独自の教育があるはずなのに」と唇をかんだ。

日本海新聞 2008年8月12日

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学テ結果「非開示」 鳥取県教委、答申覆す

文部科学省が実施している全国学力テストの市町村別、学校別の結果を開示するよう求めた鳥取県情報公開審議会の答申を受け、県教育委員会(山田修平委員長、六人)は十一日、臨時委員会を開き、二〇〇七年度結果の非開示を多数決で決定。〇八年度結果も非開示とした。答申を覆す異例の結論。〇九年度以降の対応は今後検討する。

学校現場や市町村教委から開示へ強い反対が相次ぎ、「教育的配慮が必要」と判断。過度な競争が生じる恐れ▽テストは非公開を前提に実施−などを非開示の理由とした。

臨時委員会では、中永広樹県教育長が「原則公開」とした県情報公開条例の理念を踏まえて「非開示にすれば法治国家としての根底が崩れる」と開示へ理解を求めたが、他の委員からは「開示が教育にいい影響を与えるほど社会は成熟していない」「答申は教育論を理解していない」と反対意見が続出した。

山田委員長は〇七年度と〇八年度を非開示とし、〇九年度以降は今後検討する議案を提案。中永教育長は反対したが、開示請求のあった〇七年度に加えて〇八年度の結果も非開示とすることを決めた。

開示の是非をめぐる問題は、地方紙記者による昨年十月の開示請求が発端。県教委は非開示を決定したが、記者は異議を申し立て、県情報公開審議会は七月八日、県独自の基礎学力調査で結果が公表されても序列化などの問題が生じていないことなどを理由に開示を答申していた。

日本海新聞 2008年8月12日

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全国学力テスト:鳥取県教委、成績開示せず 「国などの信頼損なう」

文部科学省が07年度に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)について、鳥取県教育委員会(委員長、山田修平・鳥取短大学長)は11日の臨時委員会で、市町村別・学校別の成績を開示しないことを決めた。県情報公開審議会が開示するよう答申していたが、市町村教育長やPTA会長らの大半が非開示を要求。県教委がこうした声に押し切られた形となった。

文科省は国全体と都道府県別の教科ごとの平均正答数や、設問別の正答率などを公表。全国学力テストの実施要領は「市町村別、学校別データは不開示情報として取り扱うこと」と規定している。

一方、県条例は非開示にすべき公文書を「学力調査の結果で10人以下の学級のもの」と規定。これまで「11人以上のデータは開示」という解釈で運用してきた。答申は「文科省通知に法的拘束力はなく、条例が規定する非開示の情報にも該当しない」と判断したが、臨時委員会では6委員中5人が「非開示を前提に実施しており、開示すれば国や市町村教委との信頼関係を損なう」と反対した。

市町村別と学校別の成績は、山陰中央新報の記者が昨年10月に情報公開を請求。県教委の非開示決定に異議を申し立て、県情報公開審議会が7月8日、開示を答申していた。

文科省の銭谷真美事務次官は同月10日の会見で、県教委に開示しないよう求めたことを明かしたが、平井伸治・鳥取県知事は「条例が定めるルールに管理されるべきだ」と開示を支持していた。【宇多川はるか】

毎日新聞 2008年8月11日

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文科省は安堵 学力テスト結果非開示は「適切」に 

鳥取県教委が全国学力テスト(学テ)の結果を非開示としたことについて、地域・学校別の公表は行わないよう求めてきた文部科学省は「適切な判断だ」と胸をなでおろしている。

文科省では「鳥取県の情報公開条例は学テの結果を一部を除いて開示すると定めた例外的な規定」として、他自治体へ波及することは少ないとみていた。だが、大阪府枚方市では情報公開を求める住民訴訟が起きており、鳥取県が開示すれば、他の自治体も雪崩を打って公開することも予測された。

「非開示を前提とした学テが自治体の考えで公開されるようでは、保護者として参加できない」(曽我邦彦日本PTA全国協議会長)と、全国規模の学テがわずか2年で崩壊する危険もあっただけに、文科省側にとっては穏当な結果だったといえる。

一方、学テの実施手続きの問題が指摘されている。文科省では、実施要領で地域別、学校別の非公表を求めながら、要領を順守するよう各教委に確認していなかった。「来年度以降は文書か説明会で非開示であることの確認を取る必要がある」(文科省幹部)との方針を示唆した。

また、学テの目的は結果を活用した学力向上だとしながら、結果そのものを公表しないことにも疑問の声が出ている。

独自の学テを実施している東京都では市区町村別の結果を公表し、上位の国分寺市や小金井市などの指導法は参考にもなっている。

学校選択制を採用している自治体では、学テの結果を公表すると入学希望者が増減するとの指摘があるが、「学テの成績で学校を選ぶ親はほとんどいない」(東京都足立区の保護者)との見方もあり、改めて公表について是非が問われそうだ。

MSN産経ニュース 2008年8月11日 22:26

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「子供は力あるのに…」 学テ非開示決定受け、鳥取県教育長

臨時委員会終了後に記者会見する、鳥取県の中永広樹教育長=11日午後、鳥取県庁 「子供には受け止める力があるのに。残念だ」。全国学力テストの結果を開示するよう求めた鳥取県情報公開審議会の答申を受けながら、再び非開示を決定した県教育委員会の委員6人で唯一“開示派”の中永広樹県教育長は11日、臨時委員会終了後に記者会見し、無念さをにじませた。

市町村教委などから、競争をあおり、序列化につながるとの強い反発を受けての結論。中永教育長は「従うが、県情報公開条例を尊重すべきだと言ってきたことに間違いはない」と話し、「大人が先回りして心配ばかりするのでは子供の力を奪うだけ。2教科だけのテスト結果で子供が劣等感にさいなまれてつぶれたりするだろうか」と首をかしげた。

MSN産経ニュース 2008年8月11日 17:55

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学力テスト、一転非開示決定=鳥取県

文部科学省が実施した「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の市町村・学校別結果の開示をめぐり、鳥取県教育委員会は11日、臨時教育委員会を開き、2007、08年度の結果について非開示決定をした。

教育長が県教委の非開示決定を取り消した県情報公開審議会の答申を尊重する考えを示し、全国で初めて市町村・学校別結果の開示が認められるかが注目されていた。

県教委は、先月15日の定例会で開示の是非を協議したが、結論を先送りし、市町村教育長やPTA役員の意見を参考に再協議した。

各委員が意見を述べた後、山田修平委員長が07、08年度の結果については非開示、来年度の結果ついては検討を提案し、委員会で採決した。

非開示理由として、▽子供たちの心情に教育的配慮が必要▽開示により過度な競争が生じる恐れが否定できない▽学力テストは非公開を前提に実施した−をあげた。

この開示請求は昨年10月、地方紙記者が行ったが、県教委は個々の市町村・学校名を明らかにしないとする文科省通知を基に、非開示決定した。異議申し立てを受け、同審議会は先月、文科省通知には県情報公開条例の開示義務を上回る法的拘束力がないなどとして、条例に基づき、10人以下の学級以外について開示すべきだと答申した。(了)

時事通信 2008年8月11日

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全国学力テスト結果開示で協議 鳥取県教委、非開示へ

小中学生を対象にした全国学力テストの市町村別、学校別の結果を開示するよう求めた鳥取県情報公開審議会の答申を受け、県教育委員会は11日、開示の可否を決める臨時の委員会を開いた。2007年度と08年度の結果は非開示とする議案を可決する見通しとなった。

臨時委員会では、県独自のテストを想定し、全県的な学力調査の結果について10人以下の学級を除き情報を開示するよう定めた県情報公開条例を踏まえ、中永広樹県教育長が「ここで非開示にすれば法治国家としての根底が崩れる」と開示への理解を求めた。

しかし、委員からは「開示が教育にいい影響を与えるほど社会は成熟していない」「答申に従うのがルールなのだろうが、答申は教育論を理解していない」などと反対意見が出た。

山田修平委員長は07年度と08年度の結果を非開示とし、来年度以降は今後検討することを提案した。

共同通信 2008年8月10日

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鳥取11市町が不参加検討 学力テスト、結果開示なら

小中学生を対象にした全国学力テストの市町村別、学校別結果の開示をめぐり揺れる鳥取県で、開示した場合、県内19市町村のうち11市町の教育委員会が、来年のテストへの不参加も含めて検討する考えであることが9日、共同通信のアンケートで分かった。

情報開示を進める県と、参加主体の地元自治体が対立する構図。全国の公立で不参加は愛知県犬山市だけで、参加しない自治体が増えれば、全国の小6と中3全員参加が前提のテストの存在意義が揺らぎかねない。鳥取県教委は開示するかどうか11日に決める方針。

アンケートは全市町村教委に質問用紙を送付、17市町村が回答した。

15市町村が開示に「反対」で、うち11市町が「不参加も検討」と答えた。反対派は「過度の競争や序列化につながる」「学校間に順位を付けるのは本来の目的から外れる」と懸念。「どこまで開示するかは市町村教委が考えるべきだ」と県教委の主導に反発する声も複数あった。

共同通信 2008年8月9日

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麻生教育委員長「教員出身者に人事させぬ」

教員採用、校長・教頭の任用をめぐる一連の県教委汚職事件では元職を含めた県教委幹部、小学校教員の関与や不正が次々と明らかになり、大分の教育に深い傷跡を残した。不正は根絶できるのか。関係者に事件への思い、教育再生に向けた決意を聞いた。

信頼回復「全体で」

―一連の事件をどう見るか。
麻生 事件の解決自体は警察、司法の判断を待つしかない。私たちにできるのは実態の解明と再発防止に向けた改革の遂行だ。県教委のプロジェクトチーム(PT)が八月末をめどに改革案を取りまとめる見通しだが、改革を継続するには常設の組織も必要だ。
―不正を長年放置した県教委に対する県民の視線は厳しい。
麻生 承知している。信頼回復には何年もかかるだろう。一方で、一部の現場教員や県教委職員が“被害者”のような意識を持っているように思える。民間企業なら、営業のミスでも製造部門も含めた会社全体で信頼回復に努める。今回の事件は一握りの人間が起こした事件でなく、組織全体の問題と考えるべきだ。
―県教委の構造的な問題が事件の遠因との指摘もある。
麻生 県教委は学校事務職と教員、知事部局出身者でつくる“混成部隊”だが、採用人事の実権を教員出身者が握っていた。現場の声を吸い上げるため教員出身者は必要だが、「人事は教員出身者にさせない」くらいの気概がないと改革の実現は難しい。

委員全員に責任

―教育長を含めて教育委員の責任は。
麻生 六人の委員全員に責任がある。ただ、今は組織の抜本的な見直しに取り組むPTを支えることが大切。PTの改革案がまとまれば、委員として責任の取り方を検討することになるだろう。教育委員としてのあるべき姿も再考していく。
―教員採用で不正が明確になった場合、教育委員会が採用取り消しや、そのあおりを受けた受験者の救済を決めることになる。
麻生 どこから見ても厳格で、納得できる判断をしなければならない。それだけにPTが進める証拠の洗い出しが重要だ。採用取り消しという結論が出た場合、対象者全員が納得しないことは覚悟している。
―口利きが問題になっているが、関与したことはあるのか。
麻生 事前通知を含め、まったくない。たとえ依頼があっても、この立場にあれば断るのが当然だ。

▽麻生氏プロフィル 八鹿酒造社長。2006年4月から県教育委員。7月22日、教育委員長に就任(任期1年)。九重町在住。51歳。

大分合同新聞 2008年8月8日夕刊

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県教委汚職事件 OBも聞き取りへ 

大分県の教員採用や校長・教頭の昇任試験で行われていた不正を確認するため、県教委の教育行政改革プロジェクトチーム(PT)が進めている、幹部や過去の人事担当者ら現職員を対象にした聞き取り調査が七日、ほぼ終わった。PTは、現職への二度目の聞き取りに着手するとともに、OBの調査に向けて具体的人選に入ることを明らかにした。

聞き取りを行うOBの人数、日程は今後詰めるという。県教委は七月二十九日に調査の実施要領を発表した際、OBについては「必要に応じて行う」としていた。

PTの照山龍治総務審議監は七日の調査終了後、「OBにも聞き取りをしたい。対象者を検討する」と述べた。再度、話を聞く現職員についても、これまでの調査内容を検討した上で、対象者を絞り込むという。

聞き取り調査は不正の実態解明や制度の抜本的見直しのために設置したPT職員が実施。不正の有無や事件の背景のほか、試験や人事制度などの改善案などについて、七月三十日以降、過去十年間さかのぼり、教委幹部や人事担当者ら現職九十人から話を聞いた。残る調査対象は四人で、八日にも終わる予定。

現職幹部のうち、元県教委義務教育課参事、矢野哲郎被告(52)=贈賄罪で起訴=が、今春の異動で佐伯市内の小中学校長から同課参事に昇進の際、商品券を受け取ったとされる県教委ナンバー2の教育審議監(60)は七月八日以降、体調不良を理由に年次休暇を取っている。照山総務審議監は「病気ということで見通しは立たないが、調査はしたい」と、あらためて意欲を示した。

聞き取りと合わせ、昇任試験での働き掛けの有無や信頼回復策などを尋ねるため、すべての公立小中学校と高校の校長・教頭(約千七十人)に送った調査票は八割強を回収したという。PTは、集まった調査票を分析した上で、必要があれば本人からの聞き取りも行う方針。

大分合同新聞 2008年8月8日

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由布市の教育委員 後任に清永氏起用へ

由布市の首藤奉文市長は七日の市議会全員協議会で、県教委汚職事件に絡み収賄罪で起訴され、市教育委員を罷免された二宮政人被告(61)の後任に、元市教育長の清永直孝氏(72)を起用する意向を明らかにした。八日午前の臨時市議会で任命への同意を求める。

市議会の同意が得られれば、市教委は八日午後にも清永氏を含む五人の教育委員で臨時教育委員会を開く。二宮被告は市教育長を懲戒免職となったため、互選により新しい市教育長を決める。

清永氏は市内挾間町出身。中学校長、旧挾間町教育長などを経て、市発足後の二〇〇五年十月から約一年間、市教育長を務めた。二宮被告の前任者に当たる。

首藤市長は全員協議会で、清永氏の選任理由について「(元職の経験を踏まえて)現在の事態をまとめ、乗り切ることができる人材」と述べた。

大分合同新聞 2008年8月7日夕刊

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県教育長が全小中学生に「おわび」

教員採用や校長・教頭昇任試験に絡んで、汚職や口利きが横行していたことを受け、県教委の小矢文則教育長は登校日の六日、県内すべての公立小中学校の約九万八千人の児童・生徒に、一連の事件についての思いをつづった「手紙」を渡した。「県教育行政の責任者として深くおわびします」と謝罪し、教育再生への決意や、子どもに社会のルールを守る大切さを訴えた。

学校の先生であれ、悪いことをした人は必ず罰せられなければなりません―。 小学校の校長や教頭、県教委幹部ら五人が逮捕、起訴された一連の事件について経緯を説明し、「皆さんの心は大変傷つけられたことでしょう。夏休みに入った今も不安に思っている人もいるでしょう」と気遣った。

教員採用や校長・教頭昇任試験では、得点の改ざんによって採用された教員がいることや、昇任をめぐって商品券を渡したとされる教員の存在が、連日のように報道されている。学校や教員に対しての不信と不安が広がる中で、「先生は皆さんのことを一番大事に思い、成長することをいつも願っています。このことだけはしっかり胸に刻んでください」と、児童・生徒に呼び掛けた。

県教委トップの教育長が子どもに直接、手紙で思いを伝えるのは異例。文面は自分で考えたという。

文中で「大分の教育をよくすることを皆さんに約束します」と誓った小矢教育長は、「事件の一番の被害者は子どもたち。児童・生徒に直接、私の気持ちを伝えたかった」と話している。

大分合同新聞 2008年8月6日夕刊

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事前通知の依頼で大分市教育長が謝罪

大分市教委の足立一馬教育長(61)は六日午前、市議会本会議場で、本年度の教員採用試験で県教委に合格者の事前通知を依頼したことを認め、謝罪した。

同日の臨時市議会の開会前に発言した。足立教育長は「一次試験通過者のうち教員時代の教え子や、校長時代に一緒に勤務した臨時講師など十数人の名前を書いたメモを、当時の県教委の教育審議監二人に渡して合否の連絡を依頼した。合格発表の前後に連絡を受けた」と経過を説明。

その上で「ぎりぎり許される範囲と思っていたが、今思えば決して許されることではなく、市民の信頼を著しく損なう行為だった。深くおわびする」と頭を下げた。市教委の学校教育部長が口利きをしたとされる件については「引き続き事実関係を調査している」と述べるにとどまった。

足立教育長は本会議前の議会運営委員会でも謝罪した。

大分合同新聞 2008年8月6日夕刊

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県、県教委が口利き防止要綱を制定

大分県と県教委は四日、教員採用試験や校長・教頭任用試験に絡んで汚職や口利きが横行していたことの反省に立ち、政治家やOBらから不当な働き掛けがあった場合に、その内容を公表することなどを盛り込んだ、いわゆる「口利き防止要綱」をまとめ、即日施行した。

一連の汚職事件の舞台となった県教委は要綱で、職員がプレッシャーを感じる公職者に、国会議員や県議、市町村首長、議員ら政治家と、県教委OBらを挙げた。これらの人物から受ける(1)職員(臨時職などを含む)採用、校長や教頭への昇任、転任(2)指導主事や社会教育主事の選考(3)入学試験―などに関しての不当な働き掛けを対象とした。

口利きなどをされた場合、職員はまず相手に撤回を求める。それに応じない場合は、名前や要望してきた内容などを記録票にまとめ、県情報公開条例に基づき公開対象とするほか、県教委のホームページでも随時、概要を公表する。

上司と部下など、職員間で不当な働き掛けがあった場合は、不正行為を通報した職員を保護する「公益通報制度」で対応するほか、県教委の教育行政改革プロジェクトチームが八月末までにまとめる人事や組織制度の抜本的な見直しの中でも対策を検討する。

教育委員への働き掛けは要綱に定めていないが、圧力があった場合は教育委員会に報告することを委員間で申し合わせる予定。市町村教育長らへの同様の働き掛けを防ぐため、各市町村教委にも防止策づくりを文書で要請する。

小矢文則教育長は要綱について「職員への不当な働き掛けの歯止めになるし、口利きもなくなるはずだ。わたしたち自身も公正に職務を執行するため、意識を高める必要がある」と話している。

口利きに関する防止要綱は、三重や山口の県教委でも制定している。

【県教委が制定した「口利き防止要綱」(要旨)】 

◎要綱の対象になる「一定の公職にある者など」の範囲
・国会議員、県議、県内の市町村議(元職や秘書を含む)
・県内の市町村長(元職や秘書を含む)
・各種団体(外郭団体や民間企業など)の役員
・県教委や県の元職員
◎対象になる職務
・職員の採用(校長を含む)、昇任、転任
・指導主事と社会教育主事の選考
・入学試験
・売買、請負、委託、損失補償などの契約
◎不当な働き掛けがあった場合の対応
・職員は相手方に対して撤回を促す
・撤回されない場合は記録が残り、原則公開されることを説明
・説明後に記録票を作成、所属長に提出
・所属長は教育長に報告。教育長は教育委員会に報告
・記録の件数や概要は毎年度分をホームページで公開

※県の要綱では、職務に「資格試験」が含まれている。不当な働き掛けの報告先は部局長と行政企画課長

大分合同新聞 2008年8月5日

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口利き防止の具体策 県議会 ようやく議論

教員採用試験をめぐる県議の「口利き」問題について、県議会の会派代表者会議が四日午前に開かれ、全員協議会を十八日に開くことを決めた。口利き防止と県議会の監視機能強化のための具体策を検討する。県警が県教委汚職事件の捜査で押収した「口利きリスト」には複数の県議の名前があることが分かっている。県議会としてようやく議員側の問題について議論を始めた形だが、自浄能力を発揮できるか注目される。

会議には正副両議長と五会派の代表、議会運営委員長の八人が出席。非公開で行われた。終了後、会見した阿部英仁議長は「第三回定例議会(二十七日に開会予定)で議論されると思うが、その前に全員協議会を開いて議員の意見を聞き、議会としての姿勢を明確にすべきだと提案した」と説明。口利き問題について「わたしも含め、そういうことがなされないよう方向性を定めたい」と述べた。

全員協議会の協議項目について近藤和義副議長は「特定の利益にかかわる口利きへの対応と、今回の事件で議会が監視機能を果たせなかったことを踏まえてどうするかについて議論する」とした。

八日に再度、会派代表者会議を開いて、全員協議会に提案する対応策の素案を話し合う。

共産党県委員会が要望した地方自治法に基づく調査特別委員会の設置について阿部議長は「捜査が進行している時点では難しい」と否定的な考えを示した。

大分合同新聞 2008年8月4日夕刊

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合格取り消し2年分だけに「不公平」の声

大分県の教員採用試験をめぐる汚職事件で、県教委は得点操作による不正合格者の採用を取り消し、不正のあおりで不合格となった受験者の救済をするため、元義務教育課参事の江藤勝由被告(52)=収賄罪で起訴=が改ざんしたとされる試験データの解析を始めた。ただ、大きな判断材料となる改ざんデータは二〇〇七、〇八年度の二カ年度分しか残っていない。不正は「少なくとも十年以上前から、脈々と続いていた」(元県教委幹部)とされ、関係者からは「二年分だけを対象にするのは実態を十分反映しておらず、公平性を欠く恐れもある」との指摘がある

県教委は七月二十九日、県警が押収した江藤被告ら人事担当者のパソコン二台のハードディスクをコピーし、データの復元、解析作業に着手。江藤被告はわいろを受け取ったり、上司からの指示を受け、特定の受験者を合格させるため得点を改ざんしたとされ、その過程の把握を急いでいる。

関係者によると、改ざんは加点、減点を繰り返す複雑な手法だったという。中には、〇七年度は実力で合格圏内に入っていたにもかかわらず減点されて不合格となったが、翌〇八年度には加点によって不正合格した受験者がいることが分かっている。

こうした事実から、今後、二年分のデータの解析を進めた結果、不正合格者と推認される中にも、それ以前の受験で、不正のあおりを受けて合格圏内からはじかれた受験者が入っている可能性も考えられ、不正の認定は難しい判断を迫られそう。教育関係者からは「残っているデータだけで採用を取り消すことは、果たして適切なのか」と疑問の声も上がっている。

さらに、原簿となる両年度の答案用紙は十年保存の規定に反して既に破棄されている。このため、県教委が進めているデータ復元の結果が本当に正しいのか、照合して確認することは不可能な状況。長年、横行してきた不正採用の問題を”清算”する道のりは険しそうだ。

大分合同新聞 2008年8月4日

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校長の昇任 依頼ないのに口利きか

大分県教委の汚職事件に絡み、元県教委義務教育課参事、江藤勝由被告(52)=収賄罪で起訴=が、二〇〇八年度の管理職任用試験で、佐伯市内の小学校の校長一人と教頭二人から高額の商品券を受け取った疑惑で、試験の事務作業を担当していた江藤被告が、旧知の仲だった元同課参事、矢野哲郎被告(52)=贈賄罪で起訴=から「口利き」を受け、校長を合格させた疑いの強いことが二日、関係者の話で分かった。校長自身は何も依頼していないといい、矢野被告の”おせっかい”で合格した形だ。

校長と矢野被告は以前、同じ佐伯市内で勤務し、教頭への昇任時期が一緒だったことなどから交流があった。

校長は試験前、矢野被告から「(江藤被告に)あいさつに行こう」と複数回、誘いを受けたが、「昇任試験を控えた身で、県教委の人に会うのはよくない」と断っていたという。しかし、矢野被告が試験前に教頭二人を江藤被告に引き合わせた際、管理職試験を受ける”仲間”として、校長の名前を伝えたらしい。江藤被告は校長の得点を改ざんしていたという。

校長は二回目の校長試験で、今春、昇任。三月二十三日ごろ「異動内示後なので問題ない」と判断し、矢野被告らと一緒に初めて江藤被告宅を訪れ、十万円の商品券を贈ったとされる。

同様に昇任した教頭二人も計百万円の商品券を贈ったとされ、県警は、江藤被告や校長、教頭らを贈収賄容疑で立件する方針。矢野被告は校長、教頭の三人に商品券の額も提示していたという。

教頭二人は江藤被告に事前に面接試験の内容を教えてもらったとされ、県警の任意の事情聴取に対し、「(商品券は)自分たちの昇任の謝礼だった」と認めている。校長は「(今春、参事に昇進した)江藤被告の昇進祝いのつもりだった」と、わいろ性を否定しているという。

大分合同新聞 2008年8月3日

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県教委汚職事件 模範解答と配点公表へ

教員採用試験をめぐる汚職事件を受けて県教委は二日までに、一次試験で実施している筆記試験の模範解答と配点を公表することを決めた。試験の透明性を高めるためで、受験者は正確な自己採点が可能となり、得点改ざんなどの不正を防ぐ効果が期待できる。

公開するのは一次の教養試験(一般、教職)や教科ごとの専門試験で、選択式のほか記述式の問題も含む。一次試験合格発表翌日の十五日から、県庁の情報センターで公開予定。問題用紙の持ち帰りは七月の一次試験から既に認めている。

集団討論(一次試験)や面接(二次試験)の採点基準については、来年度実施の採用試験後の公表に向けて検討しているが、「受験者が基準に合わせてテクニックに走る恐れがある」(県教委幹部)との指摘もあり、慎重に議論を進める。

文部科学省の調査では、四十七都道府県と十七政令市の教育委員会のうち、大分県の教員汚職事件を受けて、五十都道府県市教委が配点などの選考基準の公表を改善したり、改善の意向を示している。昨年段階で基準を公表していたのは二十道県市教委だけだった。

大分合同新聞 2008年8月3日

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「家族に受験者なし」 面接官誓約書提出へ

教員採用汚職事件を受け、県教委は九月に行う二〇〇九年度教員採用試験の二次試験で、面接を担当する面接官予定者全員(約二百人)に対して、受験者が家族にいないことを確認する誓約書を出させることが二日、分かった。事前に面接官の”身体検査”をしっかり行うことで、受験者に安心して面接を受けてもらうのが狙い。

面接官は県教委のほか、知事部局、人事委職員、民間企業の人事担当者ら。これまでは身内の受験者の有無はチェックしていなかったが、一連の汚職事件を受け、「受験者の不信を少しでもぬぐい去らなければならない」(県教委幹部)として実施することになった。面接官予定者の家族に受験者がいる場合は、別の職員に差し替える。一次試験の問題作成者(約六十人)には、同様の誓約書を求めていた。

二次試験は九月十六―十九日に実施予定。模擬授業のほか、今回の試験から面接の回数を二回に増やした。最初の面接では模擬授業の中身や教員としての意欲を県教委、知事部局などの若手職員が見る。二回目の面接では県教委幹部らが人柄や社会性などを中心にチェックする。面接官になっても、どの受験者を担当するかは当日朝まで分からない。

汚職事件を受けて県教委は〇九年度公立学校教員採用試験の事務作業を大幅に見直し、県職員の採用試験を行う人事委員会と共同で実施している。今回の試験から、二次試験終了後の採用者を決める最終段階でも、「絶対にミスをしないため」(高校教育課)、受験者の答案用紙と成績を照合する作業を加えた。

大分合同新聞 2008年8月2日夕刊

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