文部科学省の動き(2008年1〜4月)


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文科省汚職 業者から数千万円集金 贈賄側顧問『情報』対価で わいろ原資にも

文部科学省の施設整備をめぐる汚職事件で、贈賄側の「五洋建設」子会社顧問倉重裕一容疑者(58)が、受注調整の見返りに業者から謝礼などとして集めた資金は、過去数年間で数千万円に上ることが二十四日、分かった。警視庁捜査二課は、資金の一部が、工事情報を倉重容疑者に提供したとされる同省元部長大島寛容疑者(59)へのわいろや、同省幹部の接待などに使われたとみている。

東京地検は同日、現金五十万円を受け渡ししたとして収賄罪で大島容疑者を、贈賄罪で倉重容疑者を起訴。警視庁は、大島被告がさらに計二百二十万円を受け取ったとして、収賄容疑で再逮捕した。

調べでは、大島容疑者は文教施設企画部技術参事官だった二〇〇四年四月に現金百万円、同部長に就任した〇五年四月には二回に分けて百万円と二十万円を倉重被告から受け取った疑い。倉重被告は贈賄罪の公訴時効(三年)が成立している。

関係者や調べによると、倉重被告は旧文部省出身で文教族の自民党参院議員(故人)の私設秘書として、同議員事務所を拠点に活動。大島容疑者らから得た工事情報などを主に空調設備の業者などに伝えたり、受注調整したりしたとされる。

その見返りとして倉重被告は受注業者から謝礼金を受領。金額はおおむね請負額の0・35%で、一回当たり数十万円から数百万円に上った。このほか、受注調整を行う集まりでは、二十社前後の業者から年間五万円程度の会費も受け取っていたという。

資金の総額は最近数年間に限っても数千万円規模。調べに対して大島容疑者は、倉重被告が工事情報をどう利用するのかについて「うすうすは知っていた」と供述しているという。

東京新聞 2008年4月25日

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文科省汚職、複数幹部も工事情報漏えいか

文部科学省の施設整備を巡る汚職事件で、「五洋建設」子会社顧問の倉重裕一容疑者(58)(贈賄容疑で逮捕)が、同省から不正に入手した文教施設の予算情報を同省所管の社団法人「文教施設協会」加盟の複数の企業に流し、多額の謝礼を受け取っていたことがわかった。

収賄側の前同省文教施設企画部長、大島寛容疑者(59)へのわいろもこの中から捻出(ねんしゅつ)していた。

警視庁は、大島容疑者のほかにも工事情報を漏らした同省幹部が複数いるとみており、倉重容疑者が情報の見返りに何らかの利益を提供した疑いがあるとみて調べている。

同庁捜査2課は、大島容疑者が逮捕容疑の約50万円のほかに、現金約200万円を倉重容疑者から受け取っていたとして24日にも収賄容疑で再逮捕する。

同庁関係者によると、五洋建設の子会社「ペンタビルダーズ」顧問の倉重容疑者は、年間予算が920億円(今年度)を超える国立大の施設整備計画やその予算配分などを、計画や予算の公表前に大島容疑者から聞き出し、施設工事を請け負う複数の設備会社に流していた。倉重容疑者の情報は設備会社にとって、受注を狙う工事を早期に絞り込むことができるうえ、他社に先駆けて営業活動できるため有益で、工事の受注に成功すると数十万〜百数十万円を支払っていた。

倉重容疑者は大島容疑者のほかにも同省の現役幹部らとゴルフや会食を繰り返しており、同課は、倉重容疑者がこうした機会を利用し、部外者が触れることのできない施設整備絡みの情報を得ていたとみている。

倉重容疑者に、予算情報の見返りとして謝礼を支払っていた設備会社の多くは、同省関連工事を受注する業者や物品納入業者などでつくる文教施設協会の会員企業。このうち都内の設備会社の役員は「(倉重容疑者に)工事受注の謝礼を払うのが慣例だった。過去5年間に数回、計400万〜500万円を渡した」「カネを支払っていた設備会社は多数ある」と証言した。

讀賣新聞 2008年4月24日 3:00

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学力テスト、232万人参加・2回目、犬山市は参加せず

全国の小学6年生と中学3年生約232万3000人が参加する2008年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が22日午前、全国の約3万2000校で一斉に始まった。特定の学年の原則全員を対象とする学力テストは昨年、43年ぶりに復活し、今年が再開後2回目。昨年に続き愛知県犬山市は参加しなかった。

テストは国語と算数・数学の2教科。それぞれ基礎知識を問う「A問題」と、知識の応用力をみる「B問題」の2種類で、1人が4種類のテストを受けることになる。子どもの学習環境と学力の関係を調べるための生活習慣アンケートも併せて実施する。

東京都内の区立小では午前8時40分すぎに担任がテストの内容を説明し、問題と解答用紙を配布。「始めてください」の掛け声とともに、4クラス計約140人の6年生が真剣な表情でテストに取りかかった。

日本経済新聞 2008年4月22日 12:38

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今年も全国学力テスト実施 愛知・犬山除く3万校超参加

全国の小学6年と中学3年の全員を対象にした文部科学省の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が22日、一斉に行われた。43年ぶりに復活した昨年に続く実施で、児童生徒計約232万3000人が参加。文科省は9月をめどに結果を公表する方針。

テストは国語と算数・数学の2教科で、それぞれ基礎的知識を問うA問題と、知識の活用力を調べるB問題がある。子どもに生活習慣などを尋ねるアンケートや、学校側に授業の状況などを聞く調査も同時に実施、正答率との相関関係なども調べる。

過度な競争や序列化を防ぐため、文科省は昨年と同様、成績の公表は都道府県別にとどめ、各教育委員会にも個別の市町村名や学校名を明らかにしないよう要請。児童生徒の個人成績は、各学校から通知される。

小中学校を合わせた参加校数は、公立は愛知県犬山市を除く計3万1910校。国立は全157校が参加する。私立は475校で、参加率は昨年より約8ポイント低い53%だった。

共同通信 2008年4月22日

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全国学力テスト:22日に3万2542校で実施

小学6年生と中学3年生を対象とする全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が22日、全国3万2542校で実施される。「ゆとり」から「確かな学力」へとかじを切った国の教育姿勢を象徴する取り組みで、43年ぶりに復活した昨年に続く実施。今年は全国で約232万3000人(小6約118万7000人、中3約113万6000人)が参加する。

国公私立別の参加校は▽国立157校▽公立3万1910校▽私立475校。国公立では、昨年に続き愛知県犬山市の14校だけが不参加。私立は約46%が参加を見送る。

文部科学省によると、昨年の小6向けの解答用紙は、原則として名前を書く方式だったが、採点などが民間企業に委託されることからプライバシー保護を求める声も強く、今年からは中3向けと同様に番号を書く方式に変えた。また、テストと共に行われる生活状況などの調査は、質問項目を再検討してやや量を減らした。【加藤隆寛】

毎日新聞 2008年4月21日 20:40

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教育振興基本計画、数値目標は見送り・中教審答申

中央教育審議会(山崎正和会長)は18日の総会で、教育行政の初の中期計画である「教育振興基本計画」の大枠をまとめた答申を渡海紀三朗文部科学相に提出した。日本の教育投資が国内総生産(GDP)に占める割合は3.5%で、先進国平均の5%より低いとして「投資の充実を図ることが必要」としたが、肝心の数値目標の設定は見送られた。

計画は今後10年間を見通した教育行政の基本方針。文科省は答申を基に、与党や他省庁の意見も聞いたうえで計画を正式に策定し、5月に閣議決定する。

答申は「今こそ『教育立国』を宣言して教育振興に取り組むべきだ」と指摘。「本格的な知識基盤社会に向かって国際競争が激しくなる中、教育の重要性は高まっている」として、国際社会をリードする人材を育てると強調した。

日本経済新聞 2008年4月18日 19:51

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101大学で試行=教員免許更新で講習

教員免許に10年間の有効期限を設け、更新には大学などの講習受講(30時間程度)が必要になる「教員免許更新制」の2009年度導入に向け、101の大学・法人で講習が試行的にスタートする。文部科学省の「免許状更新講習プログラム開発委託事業」として採択された。開講時期はおおむね6月〜8月。制度導入に伴い毎年10万人の教員が受講することになるとみられ、同省は一層の拡大を図りたい考え。

同省は今回の試行では、1カ月ごとに実施状況の報告を求める。厳格な講習修了認定や遠隔地の受講者に配慮した講習のあり方などの課題について検証し、今後の開設予定者に情報提供し、普及を図る。

採択の内訳は、北海道から沖縄までの国立大学50、公私立41、指定教員養成機関・法人10。講習は大別して、必修の「教育の最新事情」(12時間)と選択の「教科・生徒指導その他教育内容の充実」(18時間)で、修了認定には筆記や実技などの試験が課せられる。受講者は複数の大学で受講可能で、必要時間数を満たすよう講座を選ぶ。各大学などが別途、文科相の指定を受ければ、正式導入前の試行期間で更新要件を満たす者が出る可能性もある。

今回採択が決まった大学のうち、山形大学は県内を4ブロックに区分、公民館や他の大学に出向く「出張講習」を開催し遠隔地の受講者に配慮する。講師陣には他の大学の教員も加わる。早稲田大学も、大学での受講困難者にインターネットを活用した「オンデマンド方式」の講義を配信する。

また、鹿児島大学は大規模総合大学の特色を生かし、国・数・社のほか商・工・農など約90科目にも及ぶ講座を準備。種子島など離島2島での講習のほか、水産学部水産練習船による洋上講習も実施する。

今回の試行では、受講者が講座を評価するアンケート調査を実施する予定。文科省は大学・法人に調査結果を提出してもらうが、公表するかを検討中だ。(了)

時事通信 2008年4月10日

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大学施設部たびたび訪問=文科省汚職

国立大学の施設整備をめぐる汚職事件で、贈賄容疑で逮捕された五洋建設の子会社「ペンタビルダーズ」顧問倉重裕一容疑者(58)が、国立大学の施設部などをたびたび訪問していたことが9日、分かった。

国立大学は2004年4月に独立行政法人化して以降、工事の発注主体が大学側に移行。警視庁捜査二課は同容疑者が大学側に直接、受注を働き掛けていた疑いがあるとみて調べている。

倉重容疑者は06年4月、前文部科学省文教施設企画部長大島寛容疑者(59)から施設整備補助金に関する情報を教わった見返りに、現金約50万円を渡したとして逮捕された。

関係者によると、倉重容疑者は参院議員(故人)の私設秘書もしており、当時から国立大学施設部や地方の工事事務所(廃止)をたびたび訪問。担当者との面会を繰り返し、施設整備に関する情報を収集していた。

同容疑者は大島容疑者と10年以上前からの知り合いで、ゴルフや海外旅行で関係を深め、施設整備情報を公表前に入手。独立行政法人化以降は、何回も大学を訪れては、直接に受注を働き掛けた疑いがあるという。

ペンタ社は05年度までは受注がほとんどなかったが、倉重容疑者が顧問就任後、実績は急増。06年4月以降、電気通信大学や国文学研究資料館、筑波大学合宿所、筑波大学付属学校校舎での入札を落札し、3億円以上を受注している。(了)

時事通信 2008年4月9日

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教員免許更新:講習を先行実施 101の大学などで今年度

文部科学省は9日、来年度からの教員免許更新制度導入を前に、全国101の大学と機関、法人で今年度、更新に必要な講習を先行して実施すると発表した。年度内に修了した人は制度導入後の受講を免除される見通し。ネットでの講習や、水産練習船を利用した洋上講習などユニークな講習も目立っている。

制度の最初の更新対象となるのは、11年3月末に35、45、55歳となる教員。大学などが実施する講習(30時間以上)の修了認定を受ける必要がある。国立大50校、公私立大41校と10の教員養成機関・法人で先行実施する。

毎日新聞 2008年4月9日 20:12

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101大学・法人で実施 教員免許更新の試行講習

2009年度から教員免許更新制が始まるのを前に、文部科学省は9日、国の更新講習プログラム開発委託事業として、全国101大学・法人の試行講習を採択した。講習の問題点を確認し改善を図るのが目的。

改正教員免許法の規定では免許の有効期間は10年。教員は更新の際、大学などで必修領域12時間以上、選択領域18時間以上の講習を受け、修了認定を受ける必要がある。最も早い教員は11年3月に免許の有効期限が切れるが、今回の試行講習を受講すれば、更新制実施後の講習が免除されるものもある。

試行講習は5月以降に始まるが、大半は夏休み期間の7、8月に実施。へき地や島しょ部の教員向けに、出張講習をしたり、インターネットを使ったりする講習もある。

必修領域の「教育の最新事情」を扱う講習が多いが、「博物館の活用力を高める」(国立科学博物館)、「学校などに理不尽な要求をするモンスターペアレント対策」(相模女子大)といった特色を打ち出した内容もある。

共同通信 2008年4月9日

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学テ、指導要領改定を特集 07年度文部科学白書

文部科学省は8日、全国学力テストの結果や学習指導要領の改定などを特集した2007年度文部科学白書を公表した。

白書は冒頭で、改正された教育基本法や学校教育法などの内容を紹介。昨年、43年ぶりに実施した全国学力テストの結果を示し「学校の決まりを守る児童生徒の方が正答率が高い傾向」との“分析”も示した。

小中学校の授業時間数を増やした改定学習指導要領については、中教審の答申を中心に7ページにわたって解説した。

このほか京大の山中伸弥教授による世界初の万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」作製や、ハイビジョンカメラで月面撮影に成功した月周回衛星「かぐや」の成果もトピックスで紹介。

一方、道徳の教科化などの提言で論議を呼んだ教育再生会議は、わずか半ページのコラムで扱っただけ。沖縄県民の反発を引き起こした沖縄戦集団自決をめぐる教科書検定問題については「検定結果の公表後、さまざまな意見が寄せられた」と訂正申請を認めた事実関係だけを記述。

共同通信 2008年4月8日

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わいろ、遊興費に使う=文科省前部長汚職

国立大学の施設整備をめぐる汚職事件で、収賄容疑で逮捕された前文部科学省文教施設企画部長大島寛容疑者(59)が、わいろを遊興費に使っていたことが5日、警視庁捜査二課の調べで分かった。

逮捕容疑の約50万円以外にも、贈賄側から現金を受領した疑いが浮上。同課は利益供与総額が数百万円相当に上る可能性があるとみて調べている。

大島容疑者は2006年4月上旬、国立大学が発注する施設整備計画の補助金情報を教えた見返りに、五洋建設の子会社「ペンタビルダーズ」顧問倉重裕一容疑者(58)から現金約50万円を受け取ったとして逮捕された。

調べによると、大島容疑者は手渡しでわいろを受領し、遊興費に充当。倉重容疑者は五洋建設出身で、2人は10年以上前に知り合い、同容疑者は密接な関係を築こうと働き掛けたとみられる。  2人は海外旅行やゴルフをしていたほか、大島容疑者は逮捕容疑以外にも現金を受領。捜査2課は接待も含めて数百万円相当の利益供与があったとみて調べている。

大島容疑者は2000年4月に文教施設部(当時)計画課長に就任。参事官も歴任し、わいろ受領時は国立大学の施設整備の企画立案を統括する文教施設企画部長だった。

ペンタ社側は事業受注に、大島容疑者から得た情報を活用。05年度まではほとんど受注がなかったのに、06年4月以降の受注額は電気通信大学の改修工事などで、少なくとも2億円に急増させたという。(了)

時事通信 2008年4月6日

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文科省前部長、贈賄業者との関係10年以上

文部科学省キャリアによる汚職事件で、収賄容疑で逮捕された前同省文教施設企画部長大島寛容疑者(59)は、総合建設会社「五洋建設」(東京都)の子会社顧問倉重裕一容疑者(58)=贈賄容疑で逮捕=が同建設に在籍していた10年以上前からつきあいがあり、予算情報などを漏らしていたことが警視庁の調べでわかった。

同庁は、大島前部長が倉重容疑者側に継続的に便宜を図っていたとみており、親会社の五洋建設が受注した文教施設についても、落札の経緯などを調べている。

捜査2課の調べでは、大島前部長は国立大学法人などの施設整備で補助金交付先などの情報を提供した見返りなどとして、06年4月、倉重容疑者から現金約50万円を受け取ったとされる。

倉重容疑者は五洋建設に30年以上勤めたあと、06年3月、子会社の建築設備工事会社「ペンタビルダーズ」(新宿区)に顧問として移った。五洋建設を退職するまで、99年からの約7年間は東京支店総務部長、その前の91年からの約8年間は同支店総務課長を務めていた。

この間、大島前部長は一貫して文教施設関係の部署にいて、課長補佐や課長、技術参事官などを歴任。両者は10年以上前から付き合いを続けており、この関係の中で大島前部長は、五洋建設当時の倉重容疑者にも、大学の施設整備予算に関する情報などを提供していたという。

五洋建設によると、同社など3社の共同企業体(JV)は02年9月、大阪大学総合研究棟の建設工事を約14億8千万円で落札。同年12月には、同社を含む別の3社JVで、東北大学工学系総合研究所の建設工事を約17億8千万円で落札していた。

文教施設の整備事業では、国立大学法人などが文科省に施設整備費を要求し、文科省が財務省と協議するなどして予算配分が決まる。補助金交付先などを最終的に決定する権限は文科省文教施設企画部長にあるという。工事の発注は、補助金交付が決まった大学などが行い、入札などで業者を決める。

補助金交付の情報を、公表前に大島前部長から得たことで、ペンタ社は他社に先んじて受注に向けた活動ができたと警視庁はみている。

朝日新聞 2008年4月5日

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文科省汚職、逮捕の前部長は課長時代から現金受け取り

文部科学省の施設整備を巡る汚職事件で、前同省文教施設企画部長、大島寛容疑者(59)が、少なくとも5年以上前から、総額数百万円に上る現金を建設会社顧問の倉重裕一容疑者(58)から受け取っていた疑いがあることが分かった。

当時、倉重容疑者は親会社の建設大手「五洋建設」(東京都文京区)に勤務していたが、同社は過去に同省の複数の施設工事を受注しており、警視庁捜査2課は、詳しい時期や趣旨について調べている。

大島容疑者は倉重容疑者から2006年4月に現金約50万円を受け取ったとして4日に逮捕されたが、捜査関係者によると、文教施設企画部の施設企画課長だった03年より以前から、総額で数百万円を倉重容疑者から受け取ったという。

五洋建設関係者によると、倉重容疑者は1974年に同社に入社する前、国会議員秘書をしていたことがあり、その経歴を買われ、同社東京支店で官公庁の営業や総務を長く担当していた。06年3月に子会社の「ペンタビルダーズ」(新宿区)に移籍したが、大島容疑者とは10年以上前からの付き合いだった。

五洋建設は、倉重容疑者が勤務していた02年、東北大と大阪大の施設新築工事(計約30億円)をそれぞれ共同企業体(JV)で受注していた。大島容疑者は当時、同部の課長として国立大学の整備に関する業務を担当しており、捜査2課では、大島容疑者が五洋建設側に便宜を図ったかどうかも含め、調べを進める。

一方、倉重容疑者は五洋建設が同省の工事を受注していない時期にも、大島容疑者に現金を渡し、業界側の要望を取りまとめて伝えていたという。捜査2課は現金の一部は業界側の謝礼の意味を持っていた可能性もあるとみて調べている。

讀賣新聞 2008年4月5日

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“国 愛する”を強調 教育振興計画 初の答申案 中教審部会

中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別部会は二日、改悪教育基本法のもとで初めて定める教育振興基本計画の答申案を審議し、大筋で了承しました。

答申案は、改悪教基法が教育の目標に「国と郷土を愛する態度」を養うことを掲げたのを踏まえ、今後五年間の重点施策に、道徳教育や伝統・文化に関する教育の推進を位置付けました。

前回部会(二月二十九日)で示した素案では「我が国や郷土の伝統・文化を受け止め、それを継承・発展させる教育の充実」としていた部分を、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに…」と、より改悪教基法の条文にそった記述に変更しました。具体的には、道徳教材への国庫補助制度の創設や、武道の振興などに取り組むとしています。

このほか、▽幼稚園と保育所の双方の機能を持つ「認定こども園」を早期に二千カ所以上に▽約一万棟の小中学校施設の耐震化を優先実施―などを盛り込みました。

教育への財政措置については、日本は教育への公財政支出が他の先進諸国と比べても低いことを指摘しました。しかし、教育予算や教職員定数の増加は明記しませんでした。

文科省は、四月中旬をめどに開く中教審の総会で答申し、今月中にも閣議決定したい考えです。

しんぶん赤旗 2008年4月3日

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教育振興基本計画:教員増、数値盛らず 中教審部会、答申案まとまる

06年12月に成立した改正教育基本法で策定が義務づけられた「教育振興基本計画」の答申案を、中央教育審議会の特別部会が2日、まとめた。今月中旬に開く同審議会総会を経て、渡海紀三朗文部科学相に答申し、今月中にも閣議決定される見通し。焦点だった教職員定数増へ向けた予算確保の具体的な数値目標は盛り込まれず、委員からは不満の声も出た。

答申案は、▽道徳教材活用のための国庫補助制度の早期創設▽幼稚園と保育園の両機能を持つ「認定こども園」を早期に2000件以上にする▽2020年をめどに「留学生30万人計画」を実現▽生涯スポーツ環境を整備し、成人の週1回以上のスポーツ実施率を50%とする▽大地震で倒壊の危険性が高い小中学校など1万棟の耐震化を優先支援する−−などを盛り込んだ。

また、答申案は今後5年間で中心的に取り組む施策の一つとして、学習指導要領の改定と着実な実施を挙げ、「新指導要領の円滑な実施を図るため、教職員定数の改善をはじめとする条件整備を着実に実施する」とした。一方、「財政は大変厳しい。歳出改革の努力を継続する必要があり、施策の選択やコスト縮減が必要」とも記している。

文科省には当初、基本計画で予算確保の数値目標を定める狙いがあったが、財務省との交渉は難航。答申案は「意気込み」を示すだけにとどまり、一部の委員からは「これで『何かが変わる』との印象を受けない」などの声も出た。【加藤隆寛】

毎日新聞 2008年4月3日

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教育予算額の記載なく、不満も 中教審部会

中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別部会は2日、校舎耐震化1万棟、認定こども園2000園の数値目標や道徳教材の国庫補助制度などを内容とする教育振興基本計画の答申案を了承した。教員の定数増や教育予算について具体的記載がなく、一部委員から「財政当局への配慮だ」と不満が出た。

答申案では、今後5年間に(1)社会全体で教育向上(2)社会の一員としての育成(3)知性豊かな人間育成(4)教育環境整備−に取り組むとした。

施策として、家庭・地域・企業との連携強化や生涯学習・スポーツの推進、高等教育の充実などを掲げたが、多くはこれまで教育再生会議などで示された内容。数値目標は、(1)平成32年ごろまでに留学生30万人(2)博士課程在学者の約2割に生活費相当額支給−などにとどまった。

教員定数、教育予算などは「必要な措置をする」との表現にとどまり、数値の提示はなかった。

これについて片山善博委員(慶大教授、前鳥取県知事)は「事前に行われた省庁間のやりとりを明らかにしてほしい」と述べ、財政当局に配慮し、教育予算が確保されていないと非難した。

教育振興基本計画は改正教育基本法で策定が定められ、中教審が昨年2月から審議を続けてきた。4月中にも閣議決定される。

MSN産経ニュース 2008年4月2日 20:55

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道徳教育の教材に国庫補助 教育基本計画の答申案了承

中教審特別部会(部会長・三村明夫新日鉄会長)は2日、改正教育基本法に基づき策定する教育振興基本計画の答申案を了承した。道徳教育充実のため教材作りを支援する国庫補助制度や、小中学校約1万棟の耐震化、福田康夫首相が掲げる「留学生30万人計画」などが柱。ただ焦点だった教育予算の拡充については、財務省の同意が得られず具体的な投資額の明記を見送った。

基本計画は、2008年度から5年ごとの教育政策の目標や実施体制などを定めるもので、今回初めて策定する。中教審は4月中旬をめどに開く総会で渡海紀三朗文部科学相に答申。政府は4月中にも計画を閣議決定し、実施に移す。

答申案では、今後5年間に取り組む事項として(1)公立学校の学校選択制の普及や現行の「6・3・3・4制」の弾力化(2)幼稚園と保育所の機能を一元化した「認定こども園」を2000カ所以上に拡大−なども盛り込んだ。

共同通信 2008年4月2日

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道徳教材補助や留学生の30万人化…教育振興基本計画原案

2006年12月に成立した改正教育基本法に基づき、政府が初めて策定する「教育振興基本計画」の原案が1日、明らかになった。

今後5年間の政府の教育政策の目標と予算の根拠を示すもので、道徳教育推進のため、教材購入の国庫補助制度を早期に創設することや、日本への留学生を増やす「留学生30万人計画」を2020年に実現する方針などを明記している。

計画は、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)が検討してきた。2日の同審議会特別部会で議論された後、渡海文科相に答申し、4月中に閣議決定される予定だ。

改正基本法では、愛国心や伝統・文化の尊重などが定められ、新学習指導要領では道徳教育の重視が盛り込まれた。教科としての位置づけではなく、教科書の代わりに「教材」を使うため、全国の学校で広く活用されるよう国庫補助を設けることとした。

「留学生30万人計画」は、福田首相が施政方針演説で表明した。このほか、倒壊の危険性が高い小中学校の施設(約1万棟)の早期耐震化のため、優先的な財政支援を行うことや、幼稚園と保育所の機能を併せ持つ「認定こども園」の数を、現在の105か所(07年8月現在)から、5年間で2000か所以上に増やすことなどが盛り込まれた。

讀賣新聞 2008年4月1日

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文科省、新指導要領に「愛国心養成」を追加

文部科学省は、約3年の改定作業を経てまとめた小中学校の新学習指導要領を28日付官報で告示する。

先月15日公表の改定案と比べ、「我が国と郷土を愛し」といった記述が追加されたほか、「君が代」についても「歌えるよう指導する」と明記されるなど、「愛国心」の養成をうたった改正教育基本法を色濃く反映する形となった。

これらの修正点は、文科相の諮問機関「中央教育審議会」の審議を経ないまま盛り込まれており、なぜ新たな文言が突然加わったのか議論を呼ぶのは必至だ。

新しい指導要領は小学校では2011年度、中学では12年度から実施される。

今回の修正の中で目立ったのは、一昨年12月に改正された教育基本法に「我が国と郷土を愛する態度を養う」との表現で愛国心の養成が盛り込まれたことを受け、小中学校ともに全体の指針となる総則に「我が国と郷土を愛し」という文言が加わった点。同じ総則の「伝統と文化を継承し」という記述も「尊重し」に変更され、小学国語に「神話・伝承を読み聞かせる」ことが追加されるなど伝統文化の尊重も強調された。

君が代も小学音楽で「いずれの学年においても指導する」から「歌えるよう指導する」と修正され、中学社会では自衛隊の国際貢献に言及している。

先月公表の改定案には、自民党の一部議員から、竹島や尖閣諸島について「我が国固有の領土」と明記されていないとの批判が集まっており、「愛国心を強調することで、そうした批判に配慮した」(自民党中堅)という指摘もある。

文科省は「修正は中教審の答申の枠の中で行っており、批判を受けるとは考えていない」としている。

讀賣新聞 2008年3月28日

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学習指導要領を告示・文科省「実施本部」を設置

渡海紀三朗文部科学相は28日、新しい学習指導要領を告示した。文科省は同日付で「新学習指導要領実施本部」(本部長=銭谷真美事務次官)を設置。現行指導要領では趣旨が学校現場にうまく伝わらなかったとの反省から、今回は2008年度を集中周知期間と位置づける。

まず6―7月に東京、兵庫、福岡の3カ所で中央説明会を開催。その後夏休みを使って都道府県単位の地方説明会を開き、教員に新指導要領の中身を理解してもらう。これまでは教員が自費で購入していた指導要領の冊子も、今回は国が無料で配布する。

保護者向けには新しいカリキュラムの概要をまとめたパンフレットを作製し、4月をメドに幼稚園と小中学校のすべての保護者に配る。

日経NET 2008年3月28日

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学習指導要領 君が代『歌えるように』 「愛国心」総則明記 直前変更きょう告示

文部科学省は二十八日付で、小学校で二〇一一年度、中学校で一二年度から実施する学習指導要領を告示した。二月に公表した改定案を一部修正し、学校の教育活動全体についての方針を示す総則に「我が国と郷土を愛し」の文言を新たに盛り込んだ。また、小学校音楽では君が代について各学年で「指導する」としていたのを「歌えるよう指導する」と変更した。いずれも議論を呼ぶ可能性のある事柄で、意見が反映される余地のない土壇場での変更が批判を呼ぶことは必至だ。 

同省は「改定案公表後の与党からの意見や、一般公募で寄せられた意見を総合的に判断し、(愛国心などを新たに盛り込んだ)改正教育基本法の趣旨をより明確にした」と説明している。

愛国心については、道徳に「国を愛する」、社会で「国を愛する心情」の記述があるなど、学習指導要領にはすでに盛り込まれてきたが、総則に記載されるのは初めて。教科横断的な道徳教育の中で、どういう日本人を育成するかという文脈で「我が国と郷土を愛し」の文言が加えられた。改定案の段階で盛り込まなかったことについては「長くなりすぎないようにしたため」などと説明している。君が代については、指導要領の趣旨や内容について詳しく説明する解説書には一九九八年改定時から「いつでも歌えるようにする」との記述はあるが、指導要領自体に「歌えるように」とは明記されていなかった。同省は「趣旨を明確にした。先生にはより意識して指導してほしいが、児童の成績などに反映するような変更ではない」としている。

二月十五日の改定案公表後、与党内からは「教育基本法の改正が十分に反映されていない」などの声が上がっていた。翌十六日から一カ月間に、一般から電子メールや郵便、ファクスで寄せられた意見は五千六百七十九件。「社会科以外でも教えることを盛り込むべきだ」との意見がある一方「徳目を子どもに押しつける点で大きな問題」との意見もあった。

東京新聞 2008年3月28日

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「北教組ストは不法行為で遺憾」 渡海文科相が不快感

北海道教職員組合(北教組)が査定昇給制度導入に反対するストライキを起こし、教職員約1万3000人が懲戒処分となった問題で、渡海紀三朗文部科学相は25日、参院文教科学委員会で「極めて遺憾だ。職務命令違反だから不法行為。教職員の服務規律の確保に厳正を期してもらいたい」と述べ、違法ストに不快感を示した。義家弘介氏(自民)に対する答弁。

教頭昇任試験に合格した教員49人がストに参加したことについて、同省の金森越哉初等中等教育局長は「極めて不適切と言わざるを得ない。学校が責任ある管理運営態勢を確立するには、管理職の登用を厳格に行い適格者を任命することが重要だ」と述べ、北海道と札幌市の両教委を引き続き指導する考えを示した。

義家氏は「地方公務員法違反は明らかだ。(教育行政は不当な支配に服することなく行うと定めた)教育基本法第16条にも違反する」と指摘。さらに、北海道教委はスト教職員の懲戒処分を一律実施したのに、札幌市教委は1割程度にとどめたことについて、「管轄者によって処分が異なれば、教育の説得力を持たなくなる」とした。

MSN産経ニュース 2008年3月25日

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教員免許更新制:京都大研究生の佐藤利幸さん、現場の声まとめ発表 /京都

◇「費用負担軽減がカギ」−−来年4月導入

静岡県立浜北西高校の数学教諭で、京都大教育学研究科研究生の佐藤利幸さん(43)が、教員免許更新制について高校教員と大学生にアンケート調査し、意義ある制度にするための考察をまとめた。学校の中核をなす40代の教員に最も反対傾向が強く、教員と大学生共に更新講習の費用負担を小さくすることが、制度への賛成を増やすことにつながることが分かった。

教員免許更新制は09年4月からの導入が決まり、教員の能力向上のため10年ごとに講習を義務づける。佐藤さんは昨年10〜11月、全国26道府県67校の高校教員1643人と、関西で教職課程を受講する5大学の学生491人にアンケート調査した。「現場の声を聞かずに進められた新制度だが、それでいいのか」という疑問が研究のきっかけという。

新制度導入について40代の教員の30・1%、50代の27・9%が「強く反対」と答えた。また、校長・副校長・教頭の管理職の半数が反対の立場を示した。大学生では、教員になる意志が未定な人に、不安や反対が強いと分かった。佐藤さんは「文部科学省が今後、講習費用の負担軽減のための予算をどれだけ確保できるかが賛否に大きくかかわる」と分析する。

指導した高見茂教授(教育行財政)は「現場の声が反映された重要な研究だ」と評価している。【鶴谷真】

毎日新聞京都版 2008年3月22日

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教育次長に文科省企画官 道教委が内定

道教委は十三日、道教育長に次ぐポストである教育次長に、文部科学省スポーツ局企画・体育課の杉浦久弘企画官(41)を充てる人事を内定した。道の部長級に相当する教育次長への文科省出向者起用は初。学習指導要領改定や教育関連三法改正を受け同省とのパイプを太くする狙い。

杉浦氏は東大法学部卒で一九八九年入省。九六年から三年間、岩手県教委の文化課長や指導課長も務めた。

道教委は、同省からの教育次長受け入れは「教育行政激変期の過渡的な措置」として固定化しない考え。同省との課長級の人事交流は継続する。

教育関連三法改正により教職員組合の抵抗が強い副校長や主幹教諭の新設、教員免許更新制導入を控え、道教委は同省との関係強化が必要と判断した。

また財政難により独自財源を必要としない文科省の補助事業の活用にも役立てたい考え。

文科省によると、現在、都道府県教委のナンバー2ポストに同省からの出向者が就いているのは、千葉など四県のみ。

北海道新聞 2008年3月13日

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全国学力テスト、私立の参加率下がる

来月22日に実施される「全国学力テスト」に参加する私立学校が昨年より59校減少し、参加率も61・18%から53・09%に下がったことが文部科学省のまとめでわかった。

この結果、全学校の参加率も前年比0・16ポイント減の98・7%となった。

2回目となる来月のテストを児童・生徒に受験させるのは、国公私立の小学校2万1983校と、中学校1万706校の計3万2689校。このうち国立は全157校が参加し、公立は愛知県犬山市の小中学校14校を除く3万2060校。これに対し、私立の参加は472校にとどまり、前年の531校を下回った。

讀賣新聞 2008年3月13日

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全国学力調査、私立参加は53%

文部科学省は12日、小学6年と中学3年を対象に4月に実施する08年度の全国学力調査の参加予定校数を発表した。私立校は対象の889校中472校(53.1%)にとどまり、07年度の868校中531校(61.2%)から減少の見通し。国立校と、愛知県犬山市立を除いた公立校は前年同様に参加予定。

私立は小学校が184校中92校、中学校と中等教育学校が699校中380校が参加予定。特別支援学校は小学部3校、中学部3校が対象だが、いずれも参加しない。

07年度の調査は結果公表が実施から半年後の10月下旬になり、「遅い」と批判を受けたため、文科省は08年度の結果は9月上旬までに公表したいとしている。

朝日新聞 2008年3月13日

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学力テスト 私立参加率5割台に

4月に行われる全国学力テストで私立校の参加率が前年比8・43ポイント減の53・09%に低下したことが12日、文部科学省の2月時点の集計で分かった。国公立校の状況は前年と変わらず、公立校は愛知県犬山市以外、国立校は全校が実施する。総参加校数は67校減の3万2689校で、参加率は0・25ポイント減の98・70%。

私立校の参加校数は62校減の472校。減少した背景には「公立の場合、好成績の学校は自校の“売り”に活用でき、成績が悪い学校は改善するためのデータを得られるが、私立は入試時点で学力レベルを把握しておりメリットが少ない」(文科省関係者)との事情があるとみられる。

犬山市教育委員会は「子供同士の学び合いを重視する教育理念と国の教育改革の方向性は異なる」と説明するが、参加を公約に掲げて当選した田中志典市長は「市民の声を聴いて教育行政を進めたい」と話している。

全国学力テストは昨年、43年ぶりに復活。小6と中3を対象に国語と算数・数学の2教科で実施した。今年は4月22日に行われる。

MSN産経ニュース 2008年3月12日

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博士課程修了者の活用で論議−中教審

中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)大学院部会は、就職率も低く、社会のニーズとのミスマッチが指摘される大学院の博士課程修了者の活用策に関する審議を始めた。現状の問題点を分析した上で論点をまとめ、経済的支援や就職問題などについて、制度改善や体制拡充に向けた議論を進める方針だ。

大学院在学者数は、1991年に約10万人だったのが2000年には約2倍の約20万人に増え、07年は26万2113人となっている。このうち、博士課程在学者を見ると91年約3万人、2000年約6万人、07年7万4811人と着実に増えている。

しかし、07年の博士課程修了者1万6801人の就職率は58.8%。ここ数年上向いているが、分野別では、社会41.3%、人文33.0%、芸術11.7%で、工学の59.1%、理学の53.9%などと比べると非常に低い。このため、社会や人文の分野では、学位を取得するか、博士課程に在学したが学位取得に至らなかった人で、定職に就かず大学などで研究を継続している「オーバードクター」が多数存在する。

同部会は、博士課程修了者や在学者らについて、社会全体で活用を促進する方策などを議論する予定で、委員の中からは小中学校の現場で積極的に働いてもらうべきだと声も出ている。

大学院の質確保の観点からは、博士課程の競争倍率の低さも問題点として指摘されている。定員の充足率が大学評価や補助金などに反映されるケースがあり、分野によって異なるが、入学定員に対する志願者の割合は全体で0.9。数字を見れば希望者がほぼ入学できる状況となっており、入学者を選べないことで質の低下も懸念されている。

同部会はそのほか、学位審査に関する透明性・客観性確保の問題も検討する方向。また、特に諸外国に比べても低いとされる博士課程在学生への経済的支援について、充実を求める声は強く、国や大学の対応に加えて民間からの支援拡大なども含めて議論する見通し。(了)

時事通信 2008年3月5日

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民間の「検定試験」に評価制度−中教審

中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)は19日、民間事業者が実施する検定試験の質を担保し、広く社会的に認知されるようにするため、評価制度の導入を求める答申を渡海紀三朗文科相に提出した。これを受け、文科省は評価手法のガイドライン策定に向けて検討を始める。答申には、生涯学習の振興に向け、国などの役割を明確にすることも盛り込んだ。

答申は、民間の検定試験の質を保証することは「学習成果の社会通用性を向上させる一つの方策」と指摘。第三者機関が客観的に検定試験を評価する仕組みづくりを提案した上で、ガイドライン策定などで国の支援が必要とした。

このほか、国や地方自治体の役割として、学習成果を生かせる機会の提供や学校・地域・家庭の連携推進などを挙げた。答申では、図書館の司書を補佐する司書補の要件に、高卒認定試験合格者も含めることなど専門職の資格取得見直しも示された。(了)

時事通信 2008年2月19日

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道徳の教科化見送り−新学習指導要領案

文部科学省は、政府の教育再生会議が二度にわたり教科への格上げを提言した道徳の教科化を見送った。「検定教科書を作ることや、人間性の数量的な評価は難しい」と理由を説明している。 一方、同省は「教材や体制を充実させ教科の色合いを強めた」と強調する。具体的には、教材に使われている「心のノート」を全面的に改め、2009年3月末までに全児童・生徒に配布。それ以外の補助教材にも財政支援する。

各学校に推進教師を置き、道徳の時間に他教科を教えていることが多い現状を改める体制整備をするとしている。

内容面では、低学年から規範意識を身に付けさせるため、小学校の学習指導要領案で「人間として、してはならないことをしない」「集団や社会の決まりを守る」と明記した。

このほか、乳幼児期からの発達段階に応じた道徳教育の必要性や方法について、脳科学者や心理学者など有識者による検討組織を設置。来年度中に報告を求めるという。(了)

時事通信 2008年2月15日

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新学習指導要領案骨子

1、基礎的・基本的な知識、技能の習得と、活用するための思考力、判断力、表現力をはぐくむ
1、理数の年間授業時間は小学校197時間増(現行比16%増)、中学165時間増(同27%増)
1、学校週5日制は継続し、土曜日や長期休業を活用。朝の10分間学習など授業時間に算入可
1、総合的な学習の時間は削減。新たに地域の暮らし、職業や自己の将来についての学習活動を例示
1、中学の選択教科を事実上廃止
1、改正教育基本法を受け、伝統と文化に関する教育を充実
1、道徳の目標に伝統文化の継承や公共の精神尊重を追加。理念を全教科に反映
1、学習習慣を確立
1、小学5年から英語、中学の体育で武道をそれぞれ必修化
1、意見発表や説明、批評、創作、リポート作成など言語による表現活動を全教科で重視
1、自然の中での宿泊活動、職場体験活動を推進
1、幼稚園で規範意識の芽生えを培う(了)

時事通信 2008年2月15日

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授業時間、30年ぶり増−新学習指導要領案

文部科学省は15日、幼稚園から中学校までの新学習指導要領案を公表した。「ゆとり教育」を掲げた現行指導要領が学力低下の一因とされた点を踏まえ、理数や国語などの主要教科で小中学校の授業時間を1割増、学習内容も増やした。小学5年から英語が必修となるほか、改正教育基本法を受け、伝統文化の学習と道徳教育を充実させる。1977年の改定以来、減り続けた授業時間は約30年ぶりに増加に転じる。

全面改定は7回目。3月末に告示し、小学校は2011年度、中学は12年度から完全実施する。理数は09年4月から、前倒しで授業時間を増やす。

学習内容の増加分は時間数に換算すると、小中合わせて算数・数学が約15%、理科(実験、観察を含む)は約23%となる。仮分数の計算や台形の面積の求め方、イオンや遺伝など現行要領が削除、高校に移行した内容の多くを元に戻す。

知識を生活場面で試す授業を算数・数学に新設し、活用力の養成を図る。読解、表現力を付けるため、発表や創作、リポート作成の機会を増やし、音楽や美術で批評を取り入れるなど全教科で言語能力の育成を強化する。

伝統文化教育では、国語で古典や故事成語、社会科で歴史に充てる時間を増加。中学で武道を全員必修としたほか、音楽では和楽器や民謡などに触れ、美術でも日本の文化遺産を取り上げる。 道徳は教育再生会議が提言した教科化をせず、内容と教材を充実。推進教師も設置し、体制を強化する。

小学校社会では、新たに47都道府県の名称や位置を学習。漢字は現在より早い段階で書けるようにする。中学英語では扱う単語数を900語程度から1200語程度に増やす。 一方、教科横断的に子どもが自ら課題を見つけて取り組む「総合的な学習の時間」は、小中ともに削減される。

文科省は「学習内容の増加分は授業時間増に比べ、算数・数学で7割強、理科で8割程度にとどまり、ゆとりはなくならない」としている。

高校の新指導要領は今秋をめどに告示し、13年度実施とする。(了)

時事通信 2008年2月15日

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教員給与に残業手当=文科省

文部科学省は、公立学校の教員給与について、時間外勤務手当を導入する方向で検討に入った。現行では、「教員の勤務は自発的なもの」との理念から、教員給与に同手当は存在せず、代わりとして給与月額の4%の教職調整額が一律支給されている。同手当の導入は、勤務実態に応じた公平な給与体系実現が目的だが、勤務時間の管理など課題がある上、「教職」に対する考え方を大きく変える制度改革になり、議論を呼ぶことは必至だ。同省は今夏の2009年度予算概算要求までに結論をまとめる。

同省は、教員の給与体系の抜本見直しを進めているが、残業とその手当の在り方が最大のポイントとなる。もともと同省は、現行の教職調整額は維持しつつ、教務などの負担に応じて配分額を増減する方向で検討していたが、法制的な問題があると指摘され、その方法は断念。時間外勤務手当に転換させる案を軸に検討することとした。

教員給与に同手当が導入されれば、勤務時間の管理が必要。誰がどのような形で把握するのか、現場の負担増につながる懸念もあり、例えば試験の採点を自宅に持ち帰った場合にどうするかといった難しい面もある。

しかし、国立・私立学校は既に同手当を採用しており、公立の教職員組合なども導入を求めている。また、勤務時間管理が的確に行われれば、一人の教師に過剰な負担が掛かっている状況や、無用な残業が明らかになるなどの効果も期待される。

ただ、「時間外勤務」の設定に当たっては、実務面に加えて、「精神面」の議論で反対も出そうだ。もともと、時間外勤務は職務命令に基づいて行われるもので、自発的な勤務を旨とする教職にはなじまないという意見は根強い。また、「教師であれば、子どものことを常に考えるべきだ」という見方からは、勤務時間内外の線引きをす
ことに抵抗がある。

さらに、給与月額の4%とされている現行の教職調整額だが、これを残業時間に換算すると月8時間分のみとなる。同省が06年度実施した調査によると、教職員の平均残業時間は月約34時間。時間外手当が導入された場合、同省としては現行の調整額分以上の原資を求める方針だ。時間外勤務として何時間まで国庫負担分が認められるか、財務省との攻防も予想される。(了)

時事通信 2008年2月7日

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教職大学院の人気低調、国立の約半数で募集定員下回る

政府の教育再生策の目玉の一つとして今春開校する国立の教職大学院15校のうち7校で志願者数が入学定員に達しなかったことが26日、分かった。二次募集の実施を決める大学も相次いでおり、全体としての人気も低調。大学生の就職が好調なことや学費を払ってまで進学するメリットが不明確なことなどが背景にあるとみられる。

教職大学院は4月に私立の4校を含む19校が開校。入試日程は大学によって異なり、国立大では5校が合格者を発表した。

日本経済新聞 2008年1月27日

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授業は増加 統制強化 中教審 指導要領改定へ答申

中央教育審議会(山崎正和会長)は十七日、「学習指導要領の改善について」の答申を渡海紀三朗文部科学大臣に提出しました。教育基本法改悪後初めての学習指導要領改定の方向を示したもので、小中学校での授業時間増や教育活動への統制を強める内容を盛り込んでいます。

答申は今回の改定について教育基本法などの「法改正を十分踏まえる必要がある」と明記。「伝統や文化に関する教育や道徳教育、体験活動」を重視するとしています。

また、「学力の重要な要素」を(1)基礎的・基本的な知識・技能の習得(2)知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等(3)学習意欲―の三つであると規定し、この内容にそって「音読・暗唱」「反復学習」「レポートの作成、論述」など指導方法を具体的に細かく提示しています。

さらに各教科の「重点指導事項例」を示し、それを子どもが身につけたかを全国学力テストなどでチェックする仕組みをつくるなど教育活動への国家統制を強めるものになっています。

前回(一九九八年)の改定で削られた「台形の面積の求め方」(小学校算数)、「イオン」「生物の進化」(中学校理科)など多くの項目が復活しました。小中学校の授業時間は各学年とも現行より週当たり一―二時間増やす方針です。総合的な学習の時間は小中学校とも縮減。中学校の選択教科は標準の授業時間以外で行うとされ、事実上の廃止となりました。

小学校に外国語活動の時間を導入。中学校の体育で武道を必修化するとしています。

答申を受け文科省は三月までに小中学校の学習指導要領を改定します。

しんぶん赤旗 2008年1月18日

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社会教育主事、調整機能強化を=中教審分科会

中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の生涯学習分科会は、社会教育に関し技術的な指導などを行う社会教育主事の役割として、地域住民や家庭と学校との調整機能の強化が必要などとする答申素案をまとめた。生涯学習が目指す方向性には国民の学ぶ意欲の支援などを打ち出し、地域のニーズをとらえた「出向いていく」行政の推進に期待も示した。

同分科会は1月末に会合を開いた後、意見募集をした上で最終的な答申をまとめる方針。これを受けて文科省は具体的な社会教育法などの改正に着手したい考えだ。

素案では、社会教育主事の在り方について、「学校長の求めに応じて助言すること」が、地域住民の協力を得て実施する学校の教育活動に役立つと示した。現行法では、社会教育主事の職務は「社会教育を行う者に専門的技術的な助言と指導を与える」と規定されているが、学校・家庭・地域の連携を求める改正教育基本法や多様化する学習ニーズなどを背景に、調整役の重要性を強調した。

社会教育行政の任務としては、地域での教育活動や学校の支援、学習成果を生かす機会の提供を「明確に位置付けることが必要」とした。また、家庭教育の支援を充実させるため、保護者に対する情報提供も任務として明確にするよう指摘している。

今後の具体策として、子どもの学校外での教育の在り方について、効果的・効率的なプログラムの検討を求めた。一方、大人向けには公民館や職業訓練校を活用した支援などで学習の場を充実することを挙げている。

このほか、今後の方向性として▽社会全体での学習環境づくり▽地域のニーズを踏まえた目標の共有化▽ネットワークを構築した上で、必要とされるところに「出向いていく」行政の推進―などを盛り込んだ。(了)

時事通信 2008年1月18日

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国際学力テスト参加に意欲=渡海文科相

経済協力開発機構(OECD)の非公式教育大臣会合が11、12日の両日、東京都内で開かれ、19カ国と欧州連合(EU)代表の参加で「高等教育の成果の評価」をテーマに議論が行われた。会合後、記者会見した渡海紀三朗文部科学相は大学版の国際学力テストの調査研究事業について、「参加する方向で検討していきたい」と表明した。

15歳を対象に国際学習到達度調査(PISA)を実施しているOECDは、大学など高等教育機関が教育の成果や実績を把握できるよう、大学生らを対象としたテストの導入を検討している。そのため、対象科目や調査手法確立に向けた調査研究事業を計画。会合では韓国、スペイン、スウェーデンが参加に前向きの姿勢を示したという。

大学のテストに対しては、各国で年限や進学率が異なることなどもあり賛否が分かれる。OECDの事務局は「ランキングが目的ではない」点を強調。渡海文科相も「高等教育の成果を国際的に考えることは意味ある」と肯定的な考えを示した。(了)

時事通信 2008年1月15日

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文科省の08年度組織・定員改正 「教員免許企画室」を設置

2009年度にスタートする教員免許更新制導入に向けた業務に対応するため、初等中等教育局の教職員課に9人体制の「教員免許企画室」を新設する。地域ぐるみで学校を支援する取り組みを進めるため、生涯学習政策局社会教育課に「地域・学校支援推進室」も新たに設置。6人を配置する。

そのほか教育関連では、初中局児童生徒課に生徒指導調査分析係長を新たに配置し、いじめをはじめとする児童・生徒の問題行動への対応を強化。小学校での英語教員の導入などに向け、同局国際教育課に外国語教育推進専門官を新設するのに加え、国立教育政策研究所にも小学校英語の教育課程調査官を配置する。

科学技術関連では、▽科学技術・学術政策局の政策課に国際研究拠点形成支援専門官▽同局基盤政策課に基礎人材推進係長▽研究開発局宇宙開発利用課に宇宙開発推進連携係長―などを新設。文化庁では、文化財部伝統文化課に文化財保護総合活用推進調査官を新たに配置する。

省全体の定員は43人増えるが、合理化などで47人減らすため、差し引き4人減の2193人となる。(了)

時事通信 2008年1月11日

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